都市の安全性ランク、KLは60都市中32位にアップ

【クアラルンプール =マレーシアBIZナビ】 世界60都市を対象に、都市の安全性を評価した「セーフ・シティーズ・インデックス2021」によると、クアラルンプール(KL)のスコアは66.6ポイントで32番目に安全な都市であることがわかった。2019年に実施された前回調査の35位(66.3ポイント)よりランクが上がった。
「セーフ・シティーズ・インデックス2021」は、NEC協賛のもと、英エコノミスト誌の調査機関エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が評価したもので、2019年から2年ぶり4回目の調査となった。76項目で構成された指数を、デジタル・セキュリティ、医療・健康環境の安全性、インフラの安全性、個人の安全性の4つのカテゴリーで分析した。
KLは「個人の安全性」で33位と比較的評価が高かったが、「デジタル・セキュリティ」で35位、「インフラの安全性」で37位、「医療・健康環境の安全性」で38位、と評価が低かった。
全体トップはコペンハーゲンだった。2位がトロント、3位がシンガポール、4位がシドニー、5位が東京となった。
アジアからは香港が8位、大阪が17位、台北が24位、ソウルが25位、上海が30位で、KLより上位となった。北京(36位)やバンコク(43位)、ホーチミン(45位)、ジャカルタ(46位)、マニラ(51位)、ヤンゴン(60位)はKLよりランクが低かった。

半導体不足、マレーシアのコロナ感染急増で深刻化

【クアラルンプール】 マレーシアでの新型コロナウイルス(Covid-19)感染者数の急増によって、自動車メーカーを苦しませている半導体不足やその他の部品の調達難がさらに深刻化する恐れがある。
近年、半導体メーカーのインフィニオン・テクノロジーズ、NXPセミコンダクターズ、STマイクロエレクトロニクスが生産拠点を構えるなど、マレーシアは半導体製品の検査と最終加工における重要な拠点となっているが、現在、コロナ感染の拡大によりロックダウンが実施されているため、生産能力が大幅に低下している。
最近、規制緩和により、ワクチン接種を条件に営業再開が許可されたが、現場は依然として不安定なままだ。工場で感染が発覚した場合、衛生管理のために2週間ほど操業停止する必要があるが、デルタ変異株は特に感染力が強く、感染を防ぐのが難しい。半導体製造の中でも検査・最終加工の過程は、自動化されておらず多くの人員を必要とするため、特に感染の影響を受けやすいという。
フォードは先週、「マレーシアでのコロナ感染拡大による半導体関連部品不足」を理由に、人気のピックアップトラック「F-150」の生産を一時的に停止すると発表した。トヨタ自動車も先週、14の工場で生産を停止すると発表したが、これは、特にタイ、ベトナム、マレーシアからの部品供給がコロナの影響を受け滞っているためだ。インフィニオンは8月の決算説明会で、マレーシアでの製造上の制約が今期の売上に引き続き影響を与える可能性が高いと述べた。操業停止による損失額は数百万ユーロにのぼるという。STマイクロ社は最近、ジョホール州ムアルの組立工場の操業を11日間停止したが、それにより第3四半期の売上高と粗利益率に影響が出るという。
マレーシアは、スマートフォンから自動車まで様々な製品に搭載されている積層セラミックコンデンサー(MLCC)の重要な生産拠点でもあり、ロックダウンによりMLCCの供給も滞っている。日産自動車とゼネラルモーターズは、マレーシアでの操業停止により部品不足が深刻化しているとし、日産は8月にテネシー州スマーナ工場の生産ラインを2週間停止した。
自動車メーカーは半導体不足によって今年だけで1千億ドル以上の損失を被ると予測されている。最終的な損失額は、マレーシア政府が今後どれだけ効果的な感染症対策ができるかによって決まると見られている。
(ブルームバーグ、8月24日)

産業界、イスマイルサブリ新政権に経済活動の再開を要請

【ペタリンジャヤ】 産業界は、先ごろ就任したイスマイル・サブリ・ヤアコブ新首相率いる新政権に対し、民間部門の経済回復を促進させるために、まだ事業活動が認められていないセクターにおける経済活動の再開を許可するよう求めている。
マレーシア経営者連盟(MEF)のサイド・フセイン会長は、経済活動再開が景気回復につながり、雇用創出や、企業および消費者の信頼感を高めることができると述べた。特に事業所の98%以上を占める中小企業(SME)や零細企業の事業継続のためには、事業再開を許可し、賃金補助金や無利子ローンなどの支援が必要だと主張。また政府や政府関連企業(GLC)による雇用創出や大規模プロジェクトの再開も景気活性化には必須だとした。
マレーシア製造業者連盟(FMM)のソー・ティエンライ会長も、より多くの経済活動の再開を許可することで収入を生み出し、ビジネスコストを下げることが重要だと強調。購買力の向上や生活費を引き下げるための対策を講じて、国民の幸福度を向上させることも必要だと述べた。またビジネス環境を整えるとともに、政策をよりシンプルで透明性の高いものにするべきだと主張。「信頼性、明確性、一貫性、確実性」という4つの方針に基づいていなくてはならないとした。
マレーシアSME協会のマイケル・カン会長は、SMEや零細企業に対する助成金給付や融資の提供など、前政権にも多くの提案をしたと言明。SMEは1年半以上苦しい状況にあり、対策がなければさらに事業が閉鎖され、失業者増えると予想。SMEは手持ち現金が非常に少ない状態にあるとして、店舗などの資産を売却する時にかかる税金や手数料の免除も求めた

今週中に閣僚人事を発表、野党の入閣はない=サブリ新首相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 就任したばかりのイスマイル・サブリ・ヤアコブ新首相は、今週中に内閣閣僚人事を発表すると言明。ただ野党を取り込んだ挙国一致内閣にはならないとの見通しを示した。
イスマイル・サブリ首相は、野党からの協力の申し出に対して感謝を示した上で、「野党と協力するというのは野党を入閣させることを意味している訳ではない」と言明。野党からの意見は新型コロナ対策特別委員会と国家復興評議会(MHN)を通じて聞くことができると述べた。
また副首相をサラワク政党連合(GPS)から選出するとの噂については、検討を行なっていることを認めた上で、巷に出回っている様々な憶測については「すべてデマであり信じないように」と強調。正式発表まで待つように呼び掛けた。GPSは下院議会で18議席をもつ有力政党であり、ムヒディン・ヤシン前首相辞任後の後任人事についてはかなり早い時期からイスマイル・サブリ氏を支持する意向を示していた。
副首相人事については、ムヒディン前首相が党首を務め31議席を保有する統一プリブミ党(PPBM)から選出するとの見方が有力だが、PPBM内ではハムザ・ザイヌディン書記長とアズミン・アリ前上級相が争っているとされる。イスマイル・サブリ氏が総裁補を務める統一マレー国民組織(UMNO)内からは副首相もUMNO内から出すべきとの声もあり、こうした声を受けてアズミン氏がPPBM内のシンパを連れてUMNOに電撃移籍するとの噂もある。

新型コロナの感染者数は2万837人、再び2万人超える

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は24日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が2万837人となったと発表した。アクティブ感染者数は26万2,713人で、累計感染者数は159万3,602人となった。
州・地域別の感染者数はセランゴール州が最も多く4,645人だった。それに▽サバ(3,376人)▽ペナン(2,054人)▽ケダ(1,772人)▽ジョホール(1,743人)▽サラワク(1,543人)▽クランタン(1,422人)▽クアラルンプール(KL、1,284人)▽ペラ(1,242人)▽パハン(521人)▽マラッカ(396人)▽トレンガヌ(383人)▽ネグリ・センビラン(351人)▽ペルリス(74人)▽プトラジャヤ(27人)▽ラブアン(4人)ーーが続いた。1万8,613人が新たに回復し、累計治癒者は131万6,336人。死者数は211人で、累計で1万4,553人となった。
保健省によると、23日に確認された感染者のうちカテゴリー1(無症状)が46.6%、カテゴリー2(軽度の症状)が51.0%、カテゴリー3(肺炎の症状)が1.0%、カテゴリー4(酸素吸入が必要)が0.6%、カテゴリー5(人工呼吸器を装着する必要)が0.8%だった。
また同日は新たに30カ所のクラスターを確認した。職場で18カ所、コミュニティで10カ所の他、老人ホームでクラスターが発生した。州・地域別ではクランタンが8カ所で最多となった。