東京センチュリーの孫会社、現地IT機器処分企業を買収

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 東京センチュリー(本社・東京都千代田区)は9日、連結子会社である米CSIリーシング(CSI)が、マレーシア子会社CSIリーシング・マレーシア(CSIマレーシア)を通じて、IT機器の適正処分を請け負うITADサービスのエクスポートエクセルの全株式を取得したと発表した。

本買収により、CSIにとってはアジア地域初となる、ITADサービスの自社拠点をマレーシアに構えることとなる。ITADサービスは、特に企業統治やコンプライアンスを重視する多国籍企業を中心に、IT機器の導入においてニーズが高まっており、CSIはIT機器のFMVリース(残価設定リース)とITADサービスなどを組み合わせたITライフサイクルマネジメントサービスを世界50カ国以上で展開している。また、100%子会社である米EPCが有する高品質なITADサービスをこれまで世界22拠点で展開し、年間150万件以上ものデータ消去や機器の破砕処理を安全かつ適切に実施してきた。

CSIマレーシアが全株式を取得したエクスポートエクセルは、複数の大手ITメーカーのITADパートナーを務めるなど、優れたサービスノウハウと処理能力を有しており、エクスポートエクセルは今後、CSIのアジア地域における初のITADサービス拠点として、CSIマレーシアからのリース満了機器の取り扱いを拡大するとともに、EPCとの連携によるサービスラインナップ拡充や営業力強化を通じ、事業基盤と収益の拡大を図っていく。CSI マレーシアは本件を通じた ITAD サービスの内製化により、アジア全域におけるCSIの競争力の向上とさらなる業容拡大に貢献していく方針だ。

 

ダイアログと森松、2.5億リンギを投じJV工場を拡張へ

【クアラルンプール】 石油・ガス関連サービスのダイアログ・グループとステンレスタンク製造の森松工業(本社・岐阜県本巣市)の香港子会社である森松国際控股は、合弁会社(JV)である森松ダイアログ(M)に2億5,000万リンギを投資すると発表した。

森松ダイアログ(M)は、電気自動車(EV)用バッテリー、半導体、グリーンエネルギー向け原材料生産装置の製造を行っている。今回の投資で、ジョホール州ペンゲランに構えるエンジニアリング・加工施設の拡張を行い、敷地面積を1万8,245平方メートルとし、年間3億リンギの生産体制を確立することを目指す。海外需要の急増から輸出の拡大が見込まれるという。

拡張工事は2025年第1四半期までに完了する予定。森松国際控股は森松ダイアログ(M)の株式51%、ダイアログは49%を所有している。
拡張工事の起工式に出席したジョホール州のオン・ハフィズ・ガジ首相は、新施設はペンゲランの成長に寄与するとし、新たに500人の雇用機会も創出すると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月8日、エッジ、11月7日)

丸紅、現地企業と協業で森林再生プロジェクトの事業性検証を開始

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 丸紅(本社・東京都千代田区)は6日、サバ・サラワクの両州において、現地パートナー企業2社とそれぞれ覚書を締結し、森林再生を通じた環境植林プロジェクトの事業性検証を開始したと発表した。

サバ州では、植林事業のサバ・ソフトウッズをパートナーに、同社が保有する植林地内の荒廃地を対象とした森林再生に取り組む。サラワク州では、KTSリソーシーズと共に、劣化したパーム農園の原生種への転換、および荒廃したココナッツ農園のマングローブ林への転換・再生等の手法で生物多様性の維持・改善に寄与していく。

同プロジェクトでは、マレーシア政府が掲げる環境保全と地球温暖化対策への寄与という社会公益性に加え、経済性も同時に実現することを目的としている。生物多様性の回復、地域コミュニティにおける雇用を創出し、森林再生や原生種への転換による炭素吸収・固定を通じたカーボンクレジットプログラムの確立を目指す方針だ。

埼玉県、8日にKLで県産品の試飲・試食会を開催

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 埼玉県は、マレーシアの食品関連事業者を対象とした埼玉県産食品の試飲・試食会を8日、クアラルンプール(KL)市内のホテルで開催する。

日本貿易振興機構(ジェトロ)が共催する「埼玉県の酒と食の魅力発見イベント“Sedap!SAITAMA”」と題する試飲・試食会には、埼玉県内企業33社が出展する。うち10社が自社ブースを設置し、23社がサンプル展示を行う。埼玉県内企業の新たな海外市場の販路開拓を支援する。

出展者の内訳は、アルコール飲料製造が10社、加工食品製造が16社、食に関連する工芸品製造が7社となっており、品目は日本酒、果実酒、ビール、ジン、ウイスキー、ワインといったアルコール飲料、ラーメン、そば、うどん、かりんとう、ポップコーン、せんべい、芋クッキー、のりといった加工食品、醤油、焼き鳥のたれ、キムチのたれ、プリンの素といった調味料、緑茶などとなっている。東南アジアを歴訪中の経済訪問団を率いる大野元裕知事が挨拶する予定。

イベントにはマレーシアの食品関連事業者40数社が来訪する予定で、会場を自由巡覧し、埼玉県企業による試飲・試食提供や商品提案を通じたネットワーキングを行う。イベント実施後には、オンライン商談機会を提供し、県内企業がマレーシア食品市場に参入する足掛かりとなるよう支援する。

日本からのFDI、今年は3百億リンギ超の見通し=アンワル首相

【クアラルンプール】 岸田文雄首相と会談したアンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は5日の記者会見で、日本からの外国直接投資(FDI)が、今年は300億リンギを超えるとの見通しを表明。マレーシアに対する日本の投資家の信頼感が示されていると述べた。

テンク・ザフルル投資貿易産業相も10月25日に開催された「マレーシア・日本ビジネスラウンドテーブル」の基調講演で、日本からのFDIについて、今年は300億リンギを超えるという見通しを明らかにしていた。ザフルル大臣は、日本は2015年から8年連続でマレーシアにとり、第4番目の貿易相手国であると言明。マレーシアの総貿易高は2022年に512.6億米ドル(1,817.3億リンギ)に上り、日本との貿易が6.4%を占めたと明らかにした。

「マレーシア・日本ビジネスラウンドテーブル」では、日本商工会議所(JCCI)とマレーシア製造業者連盟(FMM)が、二国間クレジット制度に係わる協力協定にも署名している。二国間クレジット制度は、途上国と協力して温室効果ガスの削減に取り組み、削減の成果を両国で分け合う制度。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月6日、マレー・メイル、11月3日)

日本、域内安定に向けマレーシアとの協力を強化へ=岸田首相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシアを公式訪問した岸田文雄首相は5日、域内の平和や安定性の維持において、マレーシアとの協力を強化したいという考えを明らかにした。北朝鮮の核開発や中国の東シナ海・南シナ海における領海主張などにより、域内の安全への懸念が生じていることが背景にある。

岸田首相は、国営「ベルナマ通信」の書面インタビューに対し、外務大臣としてマレーシアを訪問した2015年に、両国間の関係が「強化されたパートナーシップ」から「戦略的パートナーシップ」に格上げされたとし、インド洋と太平洋を結ぶ重要な海上交通路に位置するマレーシアと一層連携を深めていきたいと回答した。

具体的には、サプライチェーンの強靭化やマレーシアが注力しているデジタルおよびグリーン分野などでの協力を強化していくとした。また、マレーシアが優位性を持つ、文化の多様性やイスラム金融・ハラル(イスラムの戒律に則った)分野において日本はマレーシアから学び、イスラム諸国やASEAN(東南アジア諸国連合)諸国への市場拡大を図るなど、ビジネスチャンスを広げていきたいと述べた。

岸田首相が来馬、アンワル首相と会談で両国の協力関係を確認

【クアラルンプール】 岸田文雄首相は、4ー5日の2日間の日程でマレーシアを訪問し、5日にアンワル・イブラヒム首相と首脳会談を行った。首相就任後初のマレーシアへの公式訪問となる。

首脳会談では、防衛、安全保障、教育、エネルギー転換など幅広い分野における二国間関係について話し合われた。アンワル首相は福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出について、他国からの懸念を受けとめるべきだとしながらも、環境への影響が無視できるレベルだと国際原子力機関(IAEA)が承認したことにマレーシアは満足していると言明。その他、筑波大学の分校設立の促進、12月に東京で開催される日本ASEAN(東南アジア諸国連合)友好協力50周年特別首脳会議などについても協議が行われた。両首相は、日本の総務省とマレーシアの通信デジタル省との間で締結された協力覚書の締結にも立ち会った。

岸田首相は会談後、自身のX(旧称・ツイッター)で「『戦略的パートナー』である両国関係を更に発展させ、地域・国際社会の平和と安定のために緊密に連携してまいります」と発信。アンワル首相も、「貿易相手国第4位である日本との強力な協力関係を維持していく」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、11月3日)

三井物産、アシアタ傘下のデジタルマーケ企業に追加投資へ

【クアラルンプール】 三井物産(本社・東京都千代田区)は2日、通信大手アシアタ傘下でアジア12カ国でデジタルマーケティング事業を展開するアシアタ・デジタル・アナリティクス(ADA)の持株会社アシアタ・デジタル・サービシーズ(ADS)の株式16.7%を約5,800万米ドルで追加取得すると発表した。

これに伴い、三井物産のADS株式持分比率は従来の3.3%から20%まで増加し、ADSは持分法適用会社となる。また、ADAへの実質的な出資比率は12.69%となる。
ADAは豊富な保有データおよび人工知能(AI)によるデータ分析に基づき、潜在顧客分析から顧客獲得、維持、ライフタイムバリューの最大化まで、一貫サービスを提供するデジタルマーケティング事業会社。三井物産は、2017年にアシアタ傘下であるカンボジアの携帯通信企業スマートアシアタに出資し、2019年にはADSに初出資していた。

三井物産は、今回の追加投資後、出資先・取引先にADAのデジタルマーケティングサービスを提供し、顧客企業のマーケティングDXを一層支援し、ADAの更なる成長戦略を推進する。今後もさらなる成長が見込まれるアジアにおけるデジタルマーケティング事業を通じて、必要な人々に必要な情報・サービスを届けることができる世界を下支えし、豊かな暮らしづくりに貢献していく方針だ。

カールスバーグ、サッポロプレミアムビールの販売代理店に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 サッポロホールディングス(本社・東京都渋谷区)は1日、グループ企業サッポロビール(本社・同)がビール大手のカールスバーグ社との間で、マレーシア、香港・マカオ、シンガポールにおける「サッポロプレミアムビール」などの販売に関する代理店契約に向けた合意書を締結したと発表した。

販売開始日は2024年1月1日。マレーシアでは、カールスバーグのマレーシア工場における生産委託契約に向けた合意書も締結し、同工場での製造を行う。対象品目は「サッポロプレミアムビール」の320ミリリットル(ml)缶、325ml瓶、640ml瓶、10リットル(L)樽、22.7L樽。香港・マカオ、シンガポールでは「ヱビスビール」の販売も行うが、マレーシアでは「サッポロプレミアムビール」のみとなる。
サッポロビールは、サッポログループが2022年に策定した中期経営計画のもと、「海外酒類の売上収益を2026年までに22年比1.5倍の約1,070億円に成長させる」ことを目標に掲げており、その中でも東南アジア諸国連合(ASEAN)市場は市場規模・成長性において重要な市場と位置付け、2011年に竣工したベトナム工場を拠点に、これまでも段階的に売上を拡大してきた。

サッポロビールは、今回のカールスバーグ社との提携により、同社が有する東アジア・東南アジア市場での流通網を活用し、「サッポロプレミアムビール」のさらなる市場浸透および日本のビールブランドとして「ASEAN地域ナンバーワン」を目指す。「2026年にはASEANプラス香港市場で150万ケースの販売」という目標の達成に向け取り組んでいく方針だ。

朝日印刷、マレーシアのキンタプレスを子会社化

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 朝日印刷(本社・富山県富山市)は10月31日、マレーシアの印刷会社キンタ・プレス・アンド・パッケージング(M)の株式65.0%を取得し、子会社化したと発表した。

取得株式数は160万9,400株で、取得額は7,670万リンギ。

キンタ・プレスはペラ州に所在し、高価格帯の化粧品、食品向け製品を中心に包装材、箱、ラベル、印刷などを一貫して手掛けている。従業員数は240人で、2022年度の売り上げは5,768万リンギ。

朝日印刷は、2022年に策定した2024年度までの目指す姿を示す中期経営計画において、「海外事業推進」を重要な事業戦略の 1 つとして掲げ、東南アジア諸国連合(ASEAN)での事業拡大に取り組んでいるとした上で、キンタ・プレス子会社化により、朝日印刷のマレーシア製造子会社のハーリー(マレーシア)およびシン・ニッポン・インダストリーズとの協業、朝日印刷と連携した営業提案活動等によるグループ全体でのシナジー創出を図るとしている。