新規事業開発のI&CO、ITのトランベリアと資本業務提携

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新規事業開発のI&CO東京(本社・東京都渋谷区)は19日、医療・ウェルネスツーリズムの予約プラットフォームを提供するマレーシア企業トランベリアと資本業務提携を行ったと発表した。
両社の専門性とリソースの相乗効果を通じてアジア市場における事業の拡大を加速する。提携にともない、I&COアジア太平洋(APAC)代表の高宮範有氏がトランベリアのCDO(最高デザイン責任者)に就任し、デザイン面でのトランベリアの企業価値向上やビジネスの加速を支援する。

トランベリアは、マレーシア在住の日本人とマレーシア人が立ち上げたITスタートアップ企業で、世界22カ国35都市で2,000以上の医療・美容・ウェルネスサービスを取り扱っている。2022年にはマレーシア保健省傘下の医療ツーリズム促進機構マレーシア・ヘルスケア・トラベル・カウンシルのデジタルパートナーとなり、医療ツーリズムのデジタルトランスフォーメーション(DX)とアクセシビリティ向上に取り組んでいる。

I&COは、グローバル視点の戦略策定やデザイン開発に強みを持ち、これまで国内外企業のブランディングプロジェクトを多数手がけてきた。今回の提携では、トランベリアが提供するプラットフォームのユーザーエクスペリエンス(UX)デザインや、同社のビジネスアセットなどのデザイン監修を手がける。

「世界と日本の接点を作る」という両社共通の目的のもと、I&COは今回の提携をアジアへの架け橋として、これまでニューヨークおよび東京を拠点としていた事業をアジア各地に展開する。アジア進出に際してI&CO APACは、これまでにアジアを拠点とするスタートアップ200社以上と連携を進めており、今後もパートナーシップを順次拡大していく計画だ。

中国電力、マレーシアでのCCS事業で三井物産と共同検討

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中国電力(本社・広島県広島市)は、三井物産(本社・東京都千代田区)がマレーシアで進めている二酸化炭素(CO2)を回収して地下へ貯留する「CCS」事業について、共同検討を行う。19日に三井物産と覚書を締結した。

三井物産が進めるマレーシア沖でのCCS事業は、先進的CCSにも採択されるなど、早期実現の可能性が高い。中国電力はCCSの早期導入に向けた検討を進める中で、2030年度CO2排出削減目標(2013年度比で半減)の達成や2050年カーボンニュートラルに向けた取り組みとも合致すると判断した。

共同検討では、中国電力グループの石炭火力発電所で排出されるCO2の分離・回収から、液化・貯蔵、マレーシアへの液化CO2の海上輸送、マレーシア沖でのCO2地下貯留まで、一連のバリューチェーン構築について、調査・検討を行っていく。

中国電力は、発電所で排出されるCO2の分離・回収、液化・貯蔵、輸送事業者への引き渡しまでを担う意向で、今後、海上浮体式貯蔵設備の採用など先進的な取り組みも視野に、設備コストなどの検討を進めていくとしている。

三井物産は、国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)のCCS事業会社であるペトロナスCCSソリューションズ、仏トタル・エナジーズのCCS事業会社トタル・エナジーズ・カーボン・ニュートラリティ・ベンチャーズと共同で、マレーシア沖でCCS開発を進めている。

欧州森林破壊防止規則の順守を支援、政府が技術委員会設置

【クアラルンプール】 農園一次産業省と天然資源・環境持続可能性省は一次産品を生産する企業を守るための技術委員会を設置した。欧州連合(EU)が昨年6月、森林破壊と森林劣化に関する決まり「欧州森林破壊防止規則(EUDR)」を発効させたことに対応する。

EUDRは、EU市場で販売される、あるいはEUから輸出される対象品が、森林破壊にかかわっていないと証明することを義務づけるもので、大企業に対しては今年12月30日から、中小企業には2025年6月30日から適用を開始する。

ジョハリ・アブドル・ガニ農園一次産品相のX(旧ツイッター)への投稿によると、マレーシアから輸出される一次産品がEUDRに抵触しないよう、順守を徹底する。

一次産品のうち農産物は国内総生産(GDP)の5.2%を占めており、100万人以上の労働者を雇用している。

ジョハリ氏は「国として森林伐採、環境の持続性の問題に直接かかわらないと、国際社会から否定的に見られる恐れがある」とした。

委員会は、森林伐採に関する規則、トレーサビリティー(商品の生産から消費までの追跡可能性)、ジオロケーション(地理的位置測定)の課題に取り組む。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ボルネオポスト、2月17日、ベルナマ通信、2月16日)

LRTアンパン線の乗客数目標は1日20万人、全線運行再開で

【クアラルンプール】 軽便鉄道(LRT)を運営するラピッド・レールは、17日午前6時にLRTアンパン線マスジッド・ジャメーバンダラヤ駅間の運行が再開したことを受け、同線の今年の1日平均乗客数目標を20万人と発表した。昨年の乗客数は15万5,000人だった。

同区間は昨年1月にバンダラヤ駅付近で起きた線路損傷のため、運行が休止されていた。線路および高架橋の修理は昨年12月末に完了していたが、今年1月1日から2月16日まで試験や検査・検証が実施され、公共陸運局(APAD)の承認を得て再開が決定されたという。再開後の運行本数はピーク時で37本と休止前の本数に戻り、中央ビジネス地区(CBD)で3分ごと、中央ビジネス地区以外(非CBD)で6分ごとの運行となっている。

ラピッド・レールは、運行再開により、通勤客が増加し、乗客の移動が促進されることで、沿線の経済活動が再び活発になることを期待しているとし、休止期間中の乗客の忍耐に感謝の意を表したいと述べた。
(マレーシアン・リザーブ、エッジ、ベルナマ通信、2月17日)

日産車のタンチョン、セレンダの浮体式太陽光発電所を稼働開始

【ペタリンジャヤ】 日産自動車販売などを手掛けるタンチョン・モーター・ホールディングス(TMCH)は、セランゴール州セレンダ湖上に新設した浮体式大規模太陽光発電所(LSSPV)が稼働を開始したと発表した。2020年にエネルギー委員会が実施したLSSPV4プロジェクト提案募集に応じたもので、同グループ初の再生可能エネルギー分野への進出となる。

TMCHは、政府系電力会社のテナガ・ナショナル(TNB)との間で電力供給契約(PPA)を締結しており、25年間、104万3,000メガワット時(MWh)のグリーン電力を供給する。LSSPVは1月5日に運転を開始しており、運営はTMCHの子会社TCサナジー (TCS)が担当する。

TMCHによると、LSSPVにより二酸化炭素排出量61万221トンが削減でき、またセレンダ湖の生物多様性や水質を維持するため、湖水面の60%までしか覆っていないという。

TMCHのダニエル・ホー最高経営責任者(CEO)は、将来の世代に向けた環境保全に貢献できることをうれしく思うと述べた。
(ザ・スター、2月17日)

阪急阪神エクスプレス、クアンタン事務所を移転

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 阪急阪神エクスプレス(本社・大阪府大阪市)は、マレーシア法人である阪急阪神エクスプレス(マレーシア)がパハン州クアンタン事務所を移転し、2月16日付けで業務を開始したと発表した。新たな住所はクアンタン港に隣接するカワサン・ペリンダストリアン・ゲベン。

阪急阪神エクスプレスは、マレーシアにおいて、1994年4月にクアラルンプール本社・支店とクアラルンプール空港事務所を開設。その後、ペナン支店を1994年10月、ジョホールバル支店を1997年4月、バターワース事務所を1997年7月、ポートクラン事務所を1999年4月、パシルグダン事務所を2000年7月、クアンタン事務所を2020年9月、マラッカ事務所を2023年7月にそれぞれ開設している。

ザヒド副首相が日本を訪問、TVETやハラル強化で

【クアラルンプール】 アハマド・ザヒド副首相は、2月17日より7日間の日程で日本を訪問。技術職業教育訓練(TVET)やハラル(イスラムの戒律に則った)産業の強化に向けて、東京・大阪などで日本の関係者と会合を行うと明らかにした。ザヒド副首相は、地方地域開発相を兼任し、マレーシア・ハラル委員会の委員長も務めている。

マレーシア外務省によると、同氏が副首相に就任して以来初の訪日となり、ザンブリー・アブドル・カディル高等教育相や関係省庁職員、高等教育機関の代表も同行している。

東京では、芝浦工業大学からの名誉学位授与、盛山正仁 文部科学相との会談、農村開発・環境保全活動を行う非政府組織(NGO)オイスカの中野悦子 理事長への表敬訪問、国立東京工業高等専門学校(東京高専)の視察などを行う。大阪では、大阪商工会議所との懇談会および円卓会議に出席し、神戸でハラル神戸牛の三田食肉公社も視察する予定。

ザヒド副首相が18日に主催した夕食会には日本在住のマレーシア人200人が参加した。
(エッジ、2月19日、ザ・サン電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、2月18日、ザ・スター電子版、2月17日)

筑波大学マレーシア分校、資格庁より暫定認定を取得

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア分校設立を目指す筑波大学は15日、2023年12月付けでマレーシア資格庁(MQA)から、新設する「学際サイエンス・デザイン専門学群」に対する暫定認定を取得したと発表した。

筑波大学は日本の文部科学省から2023年8月末にマレーシア分校設立について認可を取得。日本の大学が海外で日本の学位が取得できるプログラムを設置するのは初めてとなる。今後マレーシアの高等教育省との間で手続きを進め、今年9月にクアラルンプールのマラヤ大学内で開校する計画だ。

筑波大学マレーシア分校は、マレーシア政府の要請に基づき、日本の大学の学位授与を通じて、日本文化や日本的勤労観・価値観の育成などを促すことを目的として設立される。筑波大学の「学群・学類制」の確立で培われた「学際的教育」の取り組みに基づき、様々な分野にまたがる問題解決型学習(PBL)による実践的な教育を行う。マレーシアおよび近隣諸国が抱えるグローバルな課題解決に貢献できる人材の育成を目指す。現地教育機関や企業との連携による日本の大学の教育モデルの改善や、日本型高等教育の輸出・発展に主導的な役割を果たすことも期待されているという。

ジョホールバルで開発のホテル、ハイアットが運営を受託

【クアラルンプール】 バングサ・ハイツ・パビリオンは、ジョホール州ジョホールバルで開発中の複合施設「キーサイドJBCC」内のホテルの運営についてハイアット・ホテルズと委託契約を交わした。「ハイアットプレイス・ジョホールバルシティーセンター」という名称で運営する。

キーサイドJBCCは、ホテル200室のほか、高級サービス住宅482戸、小売り施設24区画などで構成する29建て複合ビルで、開発費は6億リンギ。26年末に完工の予定。ハイアットのバスチャン・トゥゾー開発担当域内副社長は「キーサイドJBCCは市のビジネス街に極めて近く、立地として最高だ」と述べた。

バングサ・ハイツのアーロン・ヤップ最高経営責任者(CEO)によると、サービス住宅は昨年売り出され、成約率は90%に達した。床面積はそれぞれ40-65平方メートルで、販売価格は70万-105万リンギ。シンガポール系アスコット・インターナショナル・グループが運営する。

小売店の販売価格は1平方フィート(0.0929平方メートル)3,000-3,500リンギ。キーサイドJBCCはシンガポールとの連絡橋からも近い。
(エッジ、2月15日)

海上自衛隊、マレーシア海軍と初の共同訓練実施

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 海上自衛隊海上幕僚監部は14日、海上自衛隊が「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けての連携強化のため、13日にマレーシア海軍と初の共同訓練を実施したと発表した。

海上自衛隊の戦術技量の向上及びマレーシア海軍との連携の強化が主目的で、海上自衛隊からは第47次派遣海賊対処行動水上部隊の護衛艦「さざなみ」、マレーシア海軍からはフリゲート艦「ジェバット」がそれぞれ参加して、アンダマン海で各種戦術訓練を実施した。

護衛艦「さざなみ」は、11日から13日にかけてクラン港に寄港した。同艦長の伴昌幸2等海佐は、「本訓練を通じて、本艦の戦術技量の向上を図るとともに、『自由で開かれたインド太平洋』の維持・強化に向けて、マレーシア海軍との相互理解の増進及び信頼関係並びに連携の強化を図った。本艦は引き続き高い緊張感をもって、様々な不測事態に即応できる態勢を維持し、以後の任務に従事していく」と述べた。