10月14日から首都圏で実施されている条件付き行動制限令(MCO)が1カ月間で解除されると仮定した場合、GDPへの影響はどの程度になるでしょうか。Googleが提供する人の移動データ(Community mobility report)を利用してごく大まかに計算してみます。

表はKLとスランゴール州のCMCO導入後の人流の変化を2020年1〜2月上旬の比較で示したものです。両地域とも職場への人流については3割前後減っており、減少幅は6月平均よりもやや大きく、小売店などへの人流は4〜5割減少して5月平均と6月平均の中間となっていることが分かります。職場への人流を元に製造業生産指数を推測すると0〜マイナス5%、小売店への人流を元に卸売・小売業売上高を推測するとマイナス15〜マイナス20%となります(連載319回参照)。

KLとスランゴール州を合わせると、2019年時点でマレーシアの製造業GDPの32%、建設業GDPの59%、サービス業GDPの51%を占めています。CMCOにより建設業はサービス業に近いと影響を受けるとみなして計算すると、今回の首都圏へのCMCOはマレーシアのGDPを5〜7%押し下げる計算になります。ただし、CMCOを1カ月限定とすれば、四半期GDPでは影響は1/3となり、押し下げ幅は1.5%〜2.5%程度となります。

2020年第2四半期のGDP成長率はMCOの影響を1カ月 強受けたことで、マイナス17.1%となりました。今回のCMCOが、首都圏以外の経済にあたえる間接的な影響を考慮しても、3〜5月のMCOとの比較では、GDPへの影響はかなり小さく抑えることができそうです。

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