コメ自給率、5年後メドに75%を目標

【クアラルンプール】 農業・食品産業省(MAFI)は、コメの自給率を2025年をメドに75%にまで引き上げる計画だ。下院議会の質疑の中でロナルド・キアンディー大臣が明らかにした。
コメの自給率引き上げ目標は、次期5カ年計画、「第12次マレーシア計画(12MP、対象期間;2021ー2025年)」に盛り込まれる見通し。輸入依存を減らすためで、現在の目標である73%を上方修正した。政府は2008年、マレーシア農業研究開発研究所(MARDI)が15種、マレーシア国民大学(UKM)が2種、それぞれ開発した合計17種のコメの品種を特定。政府が承認した9つの生産者に下で、7万4,000トンの種もみを生産している。
MAFIは12MPにおいて、コメの生産、反芻動物(牛や羊)、農業、漁業に焦点を当てる方針を決定。野菜については自給率70%、わずか23%にとどまっている反芻動物については50%の目標を掲げている。
(マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、11月25日)

国立動物園が経営危機、CMCOで資金ショートの恐れ

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)の国立動物園(ズー・ネガラ)が新型コロナウイルス「Covid-19」第三波による収益の落ち込みにより資金ショートに直面し経営危機に陥っている。

感染再拡大を受けて条件付き行動制限令(CMCO)が発令されたことから動物園は閉鎖に追い込まれ、ひと月100万リンギかかっている維持費を賄うことが困難になっている。コストの内訳は人件費が40万リンギ、エサ代が35万リンギ、保守管理その他が18万リンギとなっており、手持ち資金は3カ月分しかないという。

行動制限令(MCO)が緩和され、復興に向けた行動制限令(RMCO)となり動物園の経営が本格再開されたことから収益は改善。6月は45万リンギだった収益が7月には100万リンギ、8月には130万リンギ、9月は85万リンギと順調にきていた。しかし首都圏にCMCOが発令された10月は15万リンギに落ち込んだ。CMCO発令後には政府からは何ら支援が行なわれていないという

ズー・ネガラでは動物たちのエサ代を稼ぐためインターネットを通じて一口25リンギの里親募集スキームを行なっており、果物や野菜、肉などの現物による支援で凌いでいる状況だ。

(ベルナマ通信、11月17、20日)

エアアジアグループ、7—9月期で赤字が8億リンギに拡大

【クアラルンプール】 格安航空会社エアアジア・グループは、7—9月期(同社第3四半期)で赤字が8億5,178万リンギに拡大したと発表した。
同期の売り上げは4億4,291万リンギにとどまり、前年同期比85.6%の大幅マイナスとなった。固定費を前年比50%削減したものの、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大に伴う国境封鎖による旅行需要が低迷したことで売り上げが激減した。
赤字のうち6億6,300万リンギは使用権に関わる減価償却とリース利息関連で、2億8,100万リンギ相当の燃料ヘッジ損失や4億4,400万リンギ相当の売掛金の減損も重なったが、3億9,400万リンギ相当の資産売却益で一部相殺された。
ボー・リンガム社長は、「国境封鎖とロックダウンが近く解除されることを期待しているが、規制が続く場合でも国内線部門でのみ2021年まで事業を維持する準備ができている」と言明。固定費を半減しスリム化に成功したことで四半期および月次ベースでの比較で営業指標が大幅に改善していると強調した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月24日、エアアジア発表資料)

エアアジア、日本国内線への2度目の挑戦も失敗に

エアアジアが日本で2014年に合弁会社として設立し、2017年から日本の国内線を運航していたエアアジア・ジャパンが11月17日に、東京地裁に破産手続き開始を申し立てました。エアアジア本体がマレーシアで2001年に設立され、アジアのLCC(格安航空)市場を席巻してきましたが、日本市場は鬼門中の鬼門だったと言えそうです。
エアアジアは、2011年にも日本国内線への進出を試み、全日本空輸と提携していったんは就航しましたが、2013年には提携解消してバニラ・エアと社名変更、2019年にはピーチ・アビエーションに吸収されました。このエアアジア・ジャパンは、今回、破産手続きを開始したエアアジア・ジャパンとは別の法人格となります。
2度目のチャレンジは航空業界ではなく、楽天、ノエビアホールディングス、アルペンといった異業種の企業からの出資を受ける形で始まりました。筆者が2016年にトニー・フェルナンデス会長にインタビューをした際に、日本の大手航空会社とエアアジアはカルチャーが違いすぎると話していました。中部国際空港をハブとして、2017年に新千歳行きを皮切りに、仙台、福岡へと就航し、国際線として台北にも飛ばしていました。
一方、日本国内ではLCCによる競争が激化していた時期でしたが、エアアジア・ジャパンは2014年の会社設立から今までに、社長が5人目となり、短期間で頻繁に交代していた印象が拭えず、一貫した経営方針で日本の国内線市場に根付くのは難しかったのではないかとも推察されます。
トニー・フェルナンデスは、マレーシアでは起業家として高い評価を受け、若者たちのロールモデルとしても人気がありますが、日本国内市場への2度目の挑戦は、コロナ禍という不測の事態がとどめを刺すという形で残念ながら失敗に終わりました。

※本連載の内容は著者の所属組織の見解を代表するものではなく、個人的な見解に基づくものです。

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新型コロナ新規感染者数は970人、再び3ケタ台に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は25日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が前日から970人増加したと発表した。前日は過去最高となる2,188人となっていたが、再び3桁台に戻った。アクティブ感染者数は1万2,971人で、累計感染者数は5万9,817人となった。

州・地域別の感染者数はネグリ・センビラン州が最も多く318人となった。それに▽サバ州(293人)▽セランゴール州(115人)▽ペラ州(80人)▽クアラルンプール(KL、44人)▽ラブアン(37人)▽ジョホール州(30人)▽ケダ州(24人)▽ペナン島(14人)▽クランタン州(8人)▽パハン州(2人)▽サラワク州(2人)▽マラッカ州(1人)▽プトラジャヤ(1人)▽トレンガヌ州(1人)ーーが続いた。ペルリス州のみゼロだった。過去最多となる2,348人が退院し、累計治癒者は4万6,501人となった。死者数は4人増えて累計345人となった。

保健省のノール・ヒシャム事務次官は24日、首都圏における新規感染者数の多くが職場でのクラスターが原因となっていると述べた。最も感染者が多かったのは、「テラタイ」および「ダマンレラ」クラスターで両方とも建設現場で発生しており、KLやセランゴール州で感染者が出ていると言明。そのほかにも「チェルガス」、「ヘンティアン」、「カヤ」クラスターがあり、この5つのクラスターが職場に関連して、ネグリ・センビラン州、マラッカ州、クランタン州、ペラ州でも多くの感染者を出しているとした。一方で同日は新たなクラスターは発生しなかったと言明。現在感染者を出している167のクラスターのうち、83が職場に関連していると明らかにした。