CMCO再施行でショッピングモールの客足が激減

【クアラルンプール】 条件付き行動制限令(CMCO)の再施行で小売店が苦境に陥っているようだ。小売業調査会社リテール・グループ・マレーシアのタン・ハイシン代表によると、市民は人込みや閉鎖空間を避けるようになっており、ショッピングモールの客足は60%、場所によっては90%、減少したという。
回復のための行動制限令(RMCO)が6月に導入された時は、以前ほどではないが飲食施設やショッピングモールに客足が戻った。
タン氏は「5月に実施の1回目のCMCOの時と異なり、2回目のCMCOは小売業に壊滅的打撃を与えている。特に必需品以外の商品を扱う業者、娯楽施設運営者が苦境にある」と述べた。
経済分野のシンクタンク、センター・フォー・マーケット・エデュケーションのフェルリト最高経営責任者(CEO)は来年度予算には経済回復のための戦略が欠如していると指摘。「感染封じ込め政策は回復戦略があって初めて効果を発揮する」と述べた。
小売業では電子商取引が勢いを増しているが、タン氏は、実店舗に取って代わることはないとの意見だ。また電子商取引利用で、写真と違う商品が送られてきたなど不快な経験をした消費者も多いと述べた。
(マレーシアン・リザーブ、11月9日)

コメ輸入のベルナス、独占契約を10年延長

【クアラルンプール】 マレーシア農業食品産業省(旧・農業農業関連産業省)は、コメ輸入を独占的に手掛けるパディベラス・ナショナル(ベルナス)に対する独占契約を向こう10年間延長することに合意したと発表した。
ロナルド・キアンディ大臣は下院議会質疑の中で、新契約にはいくつかの新しい条件が盛り込まれ以前と比べて内容的に改善されたと指摘。国家の食料安全保障に基づくコメ備蓄量の拡大など、これまで5つあった社会的義務の数が10項目に増やされたと明らかにした。
その上で「社会的義務の項目増加はマレーシア人の主食である米を保護する上で重要」と強調し、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大により世界経済の不透明さが拡大する中にあって、ベルナスが食糧危機が起きた際の緩衝機関となると述べた。
ベルナスは1971年に設立された国立米穀公社(LPN)が1996年に民営化されてできた会社で、政府は2011年に契約を10年延長し、来年1月に期限が満了することになっていた。前・希望同盟(PH)政権時代には独占的とされた4社の一つに挙げられ、事業解体の検討対象となっていた。
(マレーシアン・リザーブ、11月10日)

セカイマルシェ、海外サプライチェーン多元化等支援事業実施へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 セカイマルシェ(本社・東京都、グローバル拠点・クアラルンプール)は10日、 経済産業省、日本貿易振興機構(ジェトロ)が推進する「海外サプライチェーン多元化等支援事業」の事業者として採択されたと発表した。
セカイマルシェは、マレーシアやシンガポールにおける新たな消費者の「品揃え需要」に対応しうるサプライチェーンの構築を目指して、小ロット多品種フルフィルメントサービス提供が有益であることを検証し、東南アジアにおけるECプラットフォームおよび共同配送サービスのアジア全域展開を目指す。小口集荷・共同配送網の構築により重複コストを下げ、コスト競争力を実現する計画だ。
また日本国内外生産者の農産物をセカイマルシェが直接需要者に販売。納品後のフルフィルメントを同社が一気通貫で行うことにより、コストを最小化、利便性を最大化する。
セカイマルシェは、生産者と消費者をダイレクトにつなぐ生鮮食品ECプラットフォーム。現在、東南アジアのホテル・飲食店200社以上の顧客が利用している。生産者に必要な受発注、決済、物流等のフルフィルメントソリューションを一貫して提供し、日本、マレーシアを中心に、世界中の生産者からこだわり食材を2,000点以上を揃えている。

 

マレーシア経済:2021年予算について(1)

11月6日、マレーシア政府の2021年予算案が上程されました。この予算は「史上最大」の予算規模となっており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けた国民に対して直接的な支援を積極的に行っています。ただ、COVID-19対策に設立された特別基金への支出は2020年の半分程度であり、コロナ禍が続いた場合、さらに予算を積み増す可能性もあると考えられます。

2021年予算では、医療関係者への500リンギの直接給付に代表されるように、COVID-19で影響を受けた人々、所得階層下位40%(B40)の家計に対する手厚い給付や税控除が目立ちます。例年行われている国民に対する直接給付金も増額されています。その他、医療費の控除、所得税減税、雇用者年金基金(EPF)の納付率引き下げなど、例年以上に国民への直接的なベネフィットが目立つ予算になっています。

予算演説の前半では、こうした国民への個別の支援策の発表が1時間近く続きました。2010年代半ばから既に経済成長よりも国民への分配を重視する予算となっていましたが、今回の予算はその中でも分配重視となっています。雇用補助金の延長や、ローンの返済困難者に対する支援もあり、COVID-19の感染が拡大するなかで、国民の不安を和らげる予算であると言えます。

近年のマレーシア政府の予算は、財政再建路線の制約が強かったため、国民への分配を重視しつつも、様々な面で財政赤字を減らすための工夫をしてきました。しかし、コロナ禍において、財政再建を理由に緊縮予算にすることなく、積極的に国民に対する支援を行っており、この方向性は正しいと言えるでしょう。

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新型コロナ感染者は新たに822人、サバ州が259人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)11日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から822人増加したと発表した。アクティブ感染者数は1万1,497人で、累計感染者数は4万2,872人となった。

州・地域別の感染者数は▽サバ州(259人)▽ネグリ・センビラン州(225人)▽セランゴール州(178人)▽ラブアン(46人)▽ペナン島(26人)▽クアラルンプール(Kl、21人)▽ケダ州(17人)▽サラワク州(14人)▽ペラ州(14人)▽ジョホール州(10人)▽マラッカ州(6人)▽プトラジャヤ(3人)▽ペルリス州(2人)▽クランタン州(1人)ーーとなった。パハン、トレンガヌ2州はゼロだった。新たに769人が退院し、累計治癒者は3万1,073人だった。死者数は2人増えて累計302人となった。

保健省のノール・ヒシャム事務次官によると、10日には新たに4つのクラスターを確認した。サバ州ケニンガウの「リアワン・クラスター」で24人、コタキナバルの「タタハン」で18人、タワウの「GKタワウ」で49人に陽性反応が出た。一方でクランタン州コタバルとタナ・メラで発生した「クベ・クラスター」では10人の感染を確認した。

これまで156のクラスターが発生しているが、うち106のクラスターが収束しており、50のクラスターで感染者が増加しているという。

感染者減少ならばCMCO期間短縮の可能性も=上級相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は11日、一部の州を除き全国的に発令されている条件付き行動制限令(CMCO)について感染者数が減少に転じれば12月6日までとしていた期間を短縮する可能性があると言明した。

サブリ上級相は、CMCO範囲をほぼ全国的に拡大したことについて、さらに感染拡大が広がらないようするための予防的措置だと言明。例としてイエローやグリーンゾーンだったネグリ・センビラン州がセランゴール州が近いために急激に感染者が増加したことを挙げた。その上でサブリ上級相は、保健省が1、2週間の単位で勧告を行なう予定であり、レッドゾーンがイエローやグリーンに変わればCMCO期間を短縮する可能性があると述べた。

■セパンの「メダン88」をEMCO指定■

一方でサブリ上級相は、セランゴール州セパンの「メダン88」を12日付けで強化行動制限令(EMCO)を適用すると発表した。期間は25日までで、周辺の店舗88カ所、建物284カ所、住民800人が影響を受ける。