【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシアで新型コロナウイルス「Covid-19」の全国の基本再生産数(R0)が1.0に迫っており、カイリー・ジャマルディン保健相は感染力がより強いオミクロン株が国内で広がっている可能性があるとして注意を呼び掛けた。
R0は感染者1人が何人に感染を広げる可能性があるかを示す指数で、1月1日時点で0.99まで上昇した。新規感染者数は12月26日以降上昇傾向をみせており、12月31日時点でオミクロン株の感染者は64人に達している。うち63人が海外からの入国者だが、残る1人については市中感染が疑われている。
カイリー保健相は、「デルタ株に比べて悪性でないとの指摘もあるが、感染力が強いため感染者が増えればそれだけ入院患者が増加し、集中治療室(ICU)の稼働率が高まるため医療崩壊の恐れがある」と指摘。追加接種の対象を拡大することやマスク着用の徹底、室内の換気、感染情報の共有や入国管理の強化で感染拡大を遅らせることができると述べた。

■2度の追加接種について検討を開始■
オミクロン株拡大の恐れが高まっていることを受け、カイリー保健相は、1、2度目にシノバック製ワクチンを接種した後に追加接種としてファイザー製を接種した人を対象とした2度目の追加接種の可能性について検討を始めたことを明らかにした。
米エール大学とドミニカ共和国保健省の研究者の発表を受けたもので、これらの接種者は他の株と比較してオミクロン株に対する免疫応答が低いことが分かった。従来型と比べて抗体レベルが6.3倍、デルタ株と比べても2.7倍低かったという。共同研究者の岩崎明子エール大教授は、2回の追加接種が必要となる可能性があるとしている。