【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】  日本貿易振興機構(ジェトロ)は7日、昨年実施したアジア・オセアニア20カ国・地域への進出日系企業の実態調査結果を公表。これに基づきジェトロ・クアラルンプール(KL)事務所がマレーシアを含む東南アジア諸国連合(ASEAN)主要6カ国(マレーシア、シンガポール、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム)について比較・分析した。
2021年の営業利益見込みについては、マレーシアにおける黒字企業の割合は前年の50.0%から59.7%へと10 ポイント近く上昇。特に大企業の黒字比率は 67.7%と、中小企業(41.1%)との乖離が際立つ結果となった。ただ営業利益が前年比で「改善」した率は新型コロナウイルス「Covid-19」に伴う操業規制が響いて35.0%にとどまり、6カ国全体平均(41.6%)を下回った。
2022年の見通しでは、マレーシアは「改善」比率が58.7%へ大幅上昇。インドネシアに次いで高かった。「悪化」比率も 30.1%から 4.9%へ減少した。2022年の景況感はマレーシアのDI値は53.8ポイントで6カ国でトップだった。
今後1ー2年の事業展開の方向性について「拡大」と回答した企業の割合はマレーシアでは43.2%となり、前年の36.1%から上昇。「現状維持」、「縮小」、「移転・撤退」は減少した。
マレーシア進出日系企業のうち、製造業では一般機械、輸送機器、鉄・非鉄・金属が、非製造業では、情報通信業、販売会社、商社・卸売業がそれぞれ、業種大分類全体を上回る「拡大」比率を記録した。
事業展開を「拡大」すると回答した企業のうち、拡大する機能として最多だったのは「販売機能」で、マレーシアでも「販売機能」とする回答が最大の 51.2%を占めた。また「生産機能(高付加価値品)」(37.8%)と「生産機能(汎用品)」(36.6%)も他国に比べて高く、機能の多角化が見て取れる結果となった。
経営上の問題点は6カ国ともに「従業員の賃金上昇」が引き続きトップで、前年との比較ではマレーシアなどで「競合相手の台頭(コスト面で競合)」とする回答の上昇も目立った。マレーシアでは特に「従業員の質」や「競合相手の台頭」を問題視する企業の割合が高かった。
脱炭素化(温室効果ガスの排出削減)への取り組み状況については、取り組んでいる企業と取り組む予定の企業は6カ国で6ー7割だが、特にマレーシアは「すでに取り組んでいる」企業の割合が 37.1%と高かった
脱炭素化に取り組む理由については「本社(親会社)からの指示・勧奨」がいずれの国でも最多だったが、特にマレーシアはその割合が74.8%と高かった。具体的な取り組みとして、「省エネ・省資源化」が最多で、マレーシア進出日系企業は、各取り組みにおいて比較的高い比率を示した 。