【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イドリス・アハマド首相府相(宗教問題担当、汎マレーシア・イスラム党=PAS所属)が恒例の「盆踊り大会」に異教の要素が含まれていると主張しムスリムに参加しないよう呼びかけ波紋を呼んでいる。
「盆踊り大会」はクアラルンプール(KL)日本人会や日本人学校、在マレーシア日本大使館が主催する日本文化を紹介するイベントで、1977年に開始された。新型コロナウイルス「Covid-19」による2年の中断期間をはさんで今年7月16日にセランゴール州シャアラム、同月30日にペナンで予定されている。大多数の参加者がマレー系であるため、影響が懸念される。
セランゴール州のアミルディン・シャリ州首相は、同州では何十年にもわたって盆踊り大会が開催されており、日本とマレーシアの組織、個人、コミュニティ間の関係を強化することが目的となっていると強調。予定通りイベントを開催する考えを示した。その上で、イベントについて宗教的なものではなく日本文化の祭典と見なしており、これまで何ら指摘を受けたことがないため、日本大使館や関連分野の研究者と連絡を取り、イベントの詳細情報を入手すると共に州イスラム当局に問い合わせると述べた。
シャアラム市議会のムハンマド・シャキル・アミール議員は、盆踊り大会の魅力が踊りや太鼓といった音楽的要素にあるとした上で、なぜ開始から30年も経ってから問題にされなければならないのかと疑問を呈し、「PASはマレーシアの文化的多様性についての無知と理解の欠如を示した」と批判した。
シャキル氏はまた「シャアラムにはかなりの数の日本人駐在員が住んでいる。日本人コミュニティのために日本人学校もある。彼らが地域のクラブなどを通じて文化的行事を行うのは当然のこと」と指摘した。