【クアラルンプール】 ハムザ・ザイヌディン内務相は1日の下院質疑で、警察の逮捕や家宅捜索の状況を携帯電話などを使用し録画、配信することは犯罪にあたるとの見解を示した。公務執行妨害や捜査妨害で刑法第186条に基づく処分を受ける可能性があるという。

ハムザ氏によると、録画や配信を他人にシェアするのは通信マルチメディア法(CMA)第233条により、他者を妨害する違反行為に当たる。録画した場合には警察により携帯電話を捜査、押収される可能性があるという。

クアラルンプール(KL)警察のアズミ・アブ署長は、機密情報の虚偽表示や暴露を懸念したためだとコメント。警察の捜査は、犯罪組織に作戦を知られないように秘密裏に行われ、場合によっては抵抗する容疑者を力づくで取り押さえることもあり、悪意をもって一部を切り取られた映像が流通した場合、誤解を招き、警察に対する国民の信頼を失墜させてしまうと述べた。

モハメド・ハニフ弁護士は、個人が警察からの取締対象となった際に自分を守るために映像を撮影した場合、その映像が流布されない限り、犯罪とは見なされないはずだと述べた。家宅捜索を受けたり、警察に呼び止められたりしたときに、裁判などの場合に備えそのときの様子を記録しておくのは問題ないが、公表するのは、犯罪者の証拠隠滅などにつながり、警察の捜査に支障をきたす可能性があるため問題があるとした。一般市民は、映像撮影を中止するよう警察から命令されたらそれを守るべきであり、万が一そのようなビデオを所持している場合は、弁護士に助言を求めることができると述べた。

一方、弁護士団体ロイヤーズ・フォー・リバティは、ハムザ内務相の主張は何の法的根拠もなく、録画や配信は刑法第186条で規定されている警察官の職務執行の妨害には当たらないと主張。国民への脅迫であるとして、首相と内閣に対し撤回を求めると述べた。
(ザ・サン、ザ・スター、8月3日、ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月1日)