【クアラルンプール】 マレーシアの通貨リンギは19日、対米ドル為替で1米ドル=4.7703リンギと過去最安値を更新した。前回の最安値は、アジア通貨危機が発生した25年前の1998年で、1米ドル=4.725リンギだった。対米ドル相場で今年、円に次ぐ大幅下落となっている。

リンギ下落はイスラエル・ハマス紛争などを背景に、安全資産としての米ドルに資金が流れているためで、最大の貿易相手国である中国の経済減速もあって、マレーシアの輸出が9月まで7カ月連続して減少したことも要因となっている。

サンウェイ・ビジネス・スクールのイア・キムレン教授は、一層の利上げ観測を背景に米ドルは値上がりを続けており、1米ドル=5リンギまでリンギは下がる可能性があると指摘。ただ米経済の基礎的条件は弱まっており、米ドルが現在の水準を維持することはできず、景気の冷え込みとともに下落し、リンギを含むほかの通貨が米ドルに対し値上がりしていくと述べた。

マレーシア科学技術大学のジェフリー・ウィリアムズ教授も同様に、1米ドル=5リンギまで下落する可能性があるとの意見だが、これは地政学的な不確実性とより安全な市場に投資が向かうための一時的なものだとし、長期的には4.0-4.5リンギの範囲で推移するとみている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、10月19日)