サバ州政府、日本への直行便再開に向け航空会社と協議へ

【コタキナバル】 サバ州政府は、コタキナバル(KK)と日本の直行便再開に向け、航空会社との協議を進める方針だ。同州のジャフリー・アリフィン観光文化環境相が10日、明らかにした。

ジャフリー氏によると、格安航空会社エアアジア・マレーシアが昨年8月から、コタキナバル―台北―福岡線を運航しているものの、直行便はない。同氏は「直行便は観光セクターの活性化に大きく貢献するため、非常に重要」と指摘した。

具体的には、以前に期間限定などで直行便運航の実績があるマレーシア航空や、エアアジアを中心に協議していく考えを示した。ただし、世界的な燃油価格の高騰などを踏まえ、「路線の再開方法を検討すると同時に、日本との経済・社会関係を強化するための協力活動やプログラムを推進していく」と付け加えた。

同氏はこの日、同州のイスラム文明博物館で開催中の「すしを愛でる」展で行われたイベントに出席。同展は国際交流基金による海外巡回展の一環で、イベントには四方敬之 駐マレーシア日本大使らも出席し、食を通じた相互の文化理解の重要性について言及した。同展は6月7日まで開催されている。
(ザ・スター、ボルネオポスト、4月10日)

マレーシアのタンカー6隻がホルムズ海峡通過、5月までの供給確保

【クアラルンプール】 ホルムズ海峡封鎖で立ち往生していたマレーシアの原油タンカー7隻のうち6隻が海峡を無事通過し、マレーシアに向けて航行中だ。アンワル・イブラヒム首相は、残りの1隻が損傷により港に停泊しているものの、4月と5月の石油供給は確保されていると述べた。1隻は間もなくマレーシアに到着する予定。

アンワル首相は国営石油会社、ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)のムハンマド・タウフィク最高経営責任者(CEO)から最新の状況について説明を受けたことを明らかにした上で、「4月と5月の石油供給が引き続き安定した状態を維持できることを願っている」と言明。財政圧力の高まりにもかかわらず、現在の燃料価格を維持するという政府の決意を改めて表明し、エネルギー情勢を継続的に監視していると強調した。

アンワル首相は、「ペトロナス元CEOで経済アドバイザーのハッサン・マリカン氏が議長を務める委員会がエネルギー需要全体の見直しを行っており、内閣は現在の経済状況を踏まえ、状況が引き続き管理下に置かれるよう日々の動向を厳密に監視している」と述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ビジネス・トゥデー、ザ・スター電子版、4月10日)

【総点検・マレーシア経済】第544回:変わるアジアの半導体GVC

第544回:変わるアジアの半導体GVC

ここ数年、マレーシアの台湾からの輸入が急増しています。最近は、マレーシアからアメリカへの輸出急増が注目されていますが、輸入側の構造も静かに変わりつつあります。2025年、台湾はマレーシアの輸入先として米国を上回り、中国、シンガポールに続く3位になりました。特に、直近2年で台湾からの輸入は84%も増加しています。

マレーシアの台湾からの輸入の約6割は半導体関連です。半導体関連製品は貿易統計で詳細な品目を判別するのが難しいのですが、台湾側のHSコード11桁のデータを分析することで、実態が見えてきました。

台湾がマレーシアに輸出している半導体の品目は主に3つ。HSコードでは8542.3900.120/219/228で、それぞれ、以下のような品目を指しています。

ICウェハー(.120)は半導体が形成されたウェハーです。光沢のある褐色の円盤に半導体がびっしりと形成されているものです。これを切断すると、半導体チップの中核部分が取り出せます。それがICチップ(.219)です。さらに、切り出した半導体チップを複数組み合わせて基板に実装したものがIC中間アセンブリ(.228)となります。

<図1>

近年、台湾からマレーシアへの輸出が急増しているのはICチップとIC中間アセンブリですが、より大幅に増加しているのはIC中間アセンブリです。

<図2>

これは、台湾とマレーシアの後工程の分業関係の変化を示しています。従来は、ICウエハーを台湾で生産し、それをマレーシアに送ってダイシングやパッケージングの後工程で処理していました。それが、ダイシングやモジュールへの組み立てという後工程の一部まで台湾内で行われるようになっています。

こうした分業関係の変化は、主に台湾のTSMCとマレーシアのインテルの協業関係の深まりによるものです。インテルは当初、自社製半導体のコアをすべて自社の前工程で生産していました。しかし、微細化の競争でTSMCに後れを取ったため、GPU/SoCタイルを2023年頃から、CPUタイルを2024年頃からTSMCに外注するようになっています。

マレーシアの台湾からの半導体半製品の輸入が急増する一方で、どこまでをどちらの国の工程で行うかについては、水面下での綱引きがあります。これまで前工程の誘致こそが半導体産業の高度化への道とされていましたが、いつの間にか主戦場は、先進後工程となっているのです。

これは、半導体の実装技術が高度化し、後工程がもはや労働集約的なローテク工程ではなくなっているためです。TSMCはCoWoS(Chip on Wafer on Substrate)という先進パッケージング技術を持っています。一方で、インテルは後工程で2.5Dパッケージング技術EMIB(Embedded Multi-die Interconnect Bridge)と3Dパッケージング技術Foverosを持っており、ペナン工場に投入しています。

インテルは前工程ではTSMCに対して劣勢が続いていますが、後工程の実装技術ではアドバンテージを持っています。50年前、労働集約的な半導体の組み立て検査から始まったマレーシアのインテルは、今やインテルの屋台骨を支える存在になりつつあるのです。

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp

 

【イスラム金融の基礎知識】第590回 パキスタンの湾岸資本のイスラム銀行の現状

第590回 パキスタンの湾岸資本のイスラム銀行の現状

Q: パキスタンのアル・バラカ銀行の現状は?

A: 湾岸諸国に本社があるパキスタンのイスラム銀行のトップが、パキスタンでの現状について地元メディアに語った。

インタビューに応じたのは、パキスタン・アル・バラカ銀行のムハンマド・アティフ・ハニーフCEOだ。アル・バラカ銀行は、バハレーンに本社を構えるグローバルなイスラム銀行グループで、パキスタンには1991年に進出し、現在は国内に200近い支店を構えている。2022年にCEOに就任したムハンマド氏は、まずは社内改革として従業員の福利厚生に力を入れた。中でも、従業員の家族がタカフル保険に加入できるようにした結果、従業員のやる気が高まり、このことが顧客や株主との良好な関係構築に繋がったとしている。

同銀行は、国と国民が置かれている経済状況に基づいてビジネスを展開している。例えば輸出業者に対し、オンライン・セミナーを実施するなどして関心をもらうことで、貿易の拡大に繋げようとしている。また、パキスタン初となるハラール産業会議を主催したり、ロンドンで開催されたハラール産業イベントでは国内輸出業者の支援を行うなど、この分野の発展と貿易金融の業務拡大を目指している。

個人向けについても、ハッジの民間事業者向けのプラットフォームを構築したことで、市場のシェアを2年間で18%から60%に拡大した。またUAEへの出稼ぎ・移住者が増加している状況を踏まえて、デジタル・バンキングや海外送金に力を入れている。

世界銀行の2024年の統計によれば、パキスタンの人口およそ2.5億人のうち、成人の銀行口座保有率は27%にとどまっており、国内にはおよそ1億人の非保有者がいることになる。CEOによれば、これは潜在的な市場拡大の余地であるとしており、この層にどう届くかが今後の発展のカギとなりそうだ。

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp

 

 

国家災害対策評議会、内閣が設置を承認=副首相

【プトラジャヤ】 アハマド・ザヒド・ハミディ副首相は、新たな組織である国家災害対策評議会(MPBN)の設立を内閣が承認したと明らかにした。国家災害管理庁(NADMA)が評議会の事務局を務める。常任メンバーには各州首相が含まれ、定期的に開催される州首相の会合直後に評議会会合が行われる。

ザヒド氏は、国はより迅速な戦略的意思決定、円滑な連携、そして現場でのシームレスな行動を実現するための体制を必要としており、連邦政府と州政府間のギャップを埋める必要があると強調。「我々は単に災害に対応するだけでなく、国が事前に備え、リスクを最小限に抑え、人命、財産、経済への被害を最小限に抑えることを目指している」と述べた。

ザヒド氏は、2024年に発表した「国家災害リスク軽減政策2030」に沿って、以前の中央災害管理委員会でこの評議会の設立を提案し詳細を詰めたと説明。今回の組織再編により、NADMAが主導機関としての役割を強化することになると述べた
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、マレー・メイル、ベルナマ通信、4月9日)

シェル給油所で一時的な在庫不足、政府が冷静な対応呼びかけ

【クアラルンプール】 シェルの国内小売部門を担当するシェル・マレーシア・トレーディングは9日、「燃料供給の継続性を確保するための取り組みを最優先していく」との声明を発表した。ペナン州を中心に燃料が不足しているとの噂がソーシャルネットワーク上で広がり、国内取引物価省(KPDN)が8日、一部のシェルで在庫切れが確認されたが一時的なもので、パニック買いを控えるよう呼びかけていた。

KPDNペナン支部のS・ジェガン局長によると、レギュラーガソリン「RON95」の不足が確認された給油所が1カ所、ディーゼル燃料の不足があった給油所が5カ所あり、いずれもシェル系だったという。原因についてジェガン氏は、中東情勢を踏まえ「当初の予定より燃料輸送船の到着が遅れ、一時的な供給の乱れが生じた」と説明した。

シェルの声明は、こうした状況を受けたもので、安定供給に努めていることを強調しつつ、消費者行動に起因する需要の急増がさらなる供給不足を招きかねないとし、消費者に理解を求めた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、4月9日、ザ・サン、ザ・スター、ベルナマ通信、4月8日)

輸入品価格が3―10%上昇する可能性=マイディン社長

【ペタリンジャヤ】 大手スーパー、マイディン・ハイパーマーケットのアミール・アリ・マイディン社長は、世界的なエネルギー危機による供給国への圧力などが原因で、輸入品価格が今後数カ月で3―10%上昇する可能性があるとの見方を示した。

輸入業者からの情報に基づく予想で、5月か6月には影響が出る可能性がある。ただ供給業者からは具体的な値上げ幅や時期について知らされていないという。アミール氏は「私の予想では値上げ幅は5―10%以上、20%以下。おそらく3%から10%の範囲内に収まるので、極端に価格が高騰することはないだろう」と述べた。

アミール氏は、「マレーシアは中国、インド、ベトナム、フィリピンといった国々から生活必需品を輸入しているが、これらの国々は現在、燃料価格の高騰という圧力に直面している」とした上で、「これらの国々で燃料価格の上昇圧力が強まれば物価は上昇する。価格が上昇すればその影響はマレーシアにも及び、物価も上昇するだろう」と述べた。

アミール氏はまた、物流コスト上昇も要因の一つだと指摘。「物流コストは既に上昇傾向にあるため、物価に反映するもう一つの圧力要因となっている」と述べた。

その上でアミール氏は、生活必需品の価格が10%以上上昇した場合、政府が低所得者層(B40)向けの生活費支援給付制度、「スンバンガン・アサス・ラフマ―(SARA=基礎的慈悲の寄付)」のような対象を絞った支援を強化することを提案した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、4月8日)

エネルギー戦略の見直しが必要、対話会でアンワル首相

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は6日、トルコとの関係に関する対話会における基調演説で、エネルギー供給の混乱によるリスクの高まりを背景に、マレーシアはより持続可能な、多様化した、費用効果の高いエネルギー戦略への転換が必要と戦略見直しを表明した。

アンワル氏は「ペルシャ湾岸諸国など戦略的に重要な地域で緊張が起これば、紛争の脅威にとどまらない。現在進行中の地政学上の緊張によるエネルギー供給混乱の影響をマレーシアも免れない」とした上で、エネルギー戦略の抜本的転換を加速する必要があると述べた。

さらに、世界的なエネルギー供給の混乱は価格上昇をもたらし、先進国、途上国を問わず、生産システム、供給網、生活費に波及し、経済の安定を損なうと述べた。

マレーシアは石油輸出国であると同時に輸入もしており、この先3-4カ月、多少の価格変動はあっても安定的供給を維持できる。液化天然ガス(LNG)も国内生産、オーストラリアからの長期調達契約などがあり、不足は生じないという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレー・メイル、マレーシアン・リザーブ、4月7日)

スーパーGTマレーシア戦が6月開催延期、コスト上昇受け

【クアラルンプール】 6月にマレーシアで開催が予定されていた「スーパーGT」シリーズの第3戦が、イラン情勢などに伴うコスト上昇を受け、延期されることになった。主催のGTアソシエイション(本社・東京都品川区)と、マレーシアの「HAROスポーツ&エンターテイメント」が8日、発表した。

高級スポーツカーレースの「スーパーGT」シリーズは昨年、全8戦のうち1戦を、セランゴール州のセパン・インターナショナル・サーキットで開催。2013年にも開催されており、12年ぶりの復活として話題になった。2日間で約7万6,000人が来場した。

今年は2年連続の開催としてファンから期待が高まっていた。両社は「難しい決断だったが、延期は一時的なものであり、状況が整い次第、マレーシアで開催するという決意を改めて表明する」と強調。HAROのファリザル・ハッサン最高経営責任者(CEO)は「マレーシア開催が戻ってくる時には、これまでの倍以上にエキサイティングなイベントにすることを約束する」とした。

チケットはすでに発売されており、払い戻しを希望する場合は、4月30日までに申請が必要という。
(ポールタン、4月8日、発表資料)

補助金なし「RON95」とディーゼルが値上げ、前週価格に基づき

【クアラルンプール】 財務省は8日、4月9日から4月15日までの1週間の燃料小売価格を発表。米国・イランの停戦合意を受けて原油国際価格が大幅に下落したにも関わらず、レギュラーガソリン「RON95」の補助金なし価格と半島部のディーゼル価格が引き上げられた。

値上げについて財務省は、燃料小売価格が現時点での水準ではなく前週の平均価格に基づいて決定されているためだとし、既存の供給は高値で調達されており、それがガソリンの高値につながっていると説明した。

「RON95」の補助金なし価格は前週の3.87リンギから40セン引き上げ4.27リンギとする。新燃料補助金制度「ブディ・マダニRON95(BUDI95)」適用外のハイオクガソリン「RON97」の価格も4.95リンギから40セン引き上げ5.35リンギとする。また半島部における「ユーロ5 B10」および「B20」ディーゼル価格は、1リットルあたり6.02リンギから6.72リンギに70セン引き上げる。

「RON95」の補助金付き価格は1.99リンギ、サバ州、サラワク州、ラブアンにおけるディーゼル燃料の小売価格は2.15リンギでそれぞれ据え置く。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ポールタン、フリー・マレーシア・トゥデー、4月8日)