第552回:マレーシアの2026年上半期の自動車市場

2026年上半期のマレーシアの自動車産業の状況を見ると、プロトンの好調と電気自動車(BEV)とハイブリッド車(HEV)の伸張が目立ちました。図1は2025年と2026年の1〜6月の自動車登録台数を燃料別に比較したものです。全体ではほぼ前年並みで推移する中で、BEV+HEV=xEVの伸びが際立ちます。2025年上半期の販売に占めるxEV比率は6〜9%台でしたが、2026年上半期は10〜16%で推移し、右肩上がりになっていることが分かります。

表1はすべての自動車販売についてのモデル別の上位10車種を示したものです。プロドゥアのBezzaとプロトンのSagaが首位を争い、8位のホンダCityを除くとプロドゥアとプロトンが独占、10位にはBEVのe.MAS 5が入っています。上半期で比較すると、プロドゥアは15.8万台で前年の16.6万台から4.9%減です。販売に占めるBEV比率は僅か0.1%となっています。一方のプロトンは9.8万台で前年の7.0万台から40.5%増となっています。販売に占めるBEV比率は13.8%、HEVは4.2%、合計すると2割近くをxEVが占めています。

表2は2026年上半期のマレーシアのBEV/HEVの登録台数の上位10車種です。プロトンのe.MAS 5が首位、さらにe.MAS 7が2位と4位に入っています。xEV市場でのプロトンのシェアは約3割に達します。

中国国内でもベストセラーであるGeely「星愿」のマレーシア版であるe.MAS 5の好調ぶりが目立ちます。プロドゥアがBEV/HEV生産に遅れをとるなかで、対抗馬となるのはBYDのAtto 3です。ただ、ここで立ちはだかるのがマレーシア政府が7月1日から施行したBEVのCBU輸入はCIF価格RM200,000以上かつ出力180kW(245PS)以上に限るという新規制です。Atto 3はこの基準を満たせないため、今後輸入できなくなります。

BYDは2025年8月にマレーシア工場の建設を発表していますが、条件面で折り合いがつかず、現在、工事がストップしていると報じられています。そうなると、e.MAS 5/7の対抗はトヨタのカローラ・クロスとヴィオスのHEVとなります。これらはブキット・ラジャの工場で組み立て・生産されています。

強力なライバルになり得るのはプロドゥアのBEV/HEVですが、自社設計のBEVであるQV-Eは生産が難航しており、HEVもようやくAtiva Hybridについて、5月に日本の経産省のグローバルサウス補助金を使って現地生産することが決まったところです。来年とみられるMyviのフルモデルチェンジでも、HEV版がどうなるかはまだ明らかではありません。

以上のように、今後も拡大するxEV市場において引き続きプロトンが強さを見せるとみられ、その好調さはしばらく続きそうです。

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所主任調査研究員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp