ジェトロ、デジタル活用のハラル販路支援で参加企業募集

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール(KL)事務所は、デジタルを活用した日本企業のハラル(イスラムの戒律に則った)市場への参入支援事業を実施するにあたり、参加する日本企業を募集している。

同事業は2年目の取り組みで、中核となるのがハラル専門BtoBオンラインプラットフォーム「DagangHalal.com」へのジャパンパビリオン設置を通じた商談支援。昨年度は日本企業25社が参加し、33件の新規バイヤー発掘と、40件を超える商談につながったという。

また今年は、AI(人工知能)営業支援ツールを活用したバイヤー発掘・商談支援も展開。さらに、ジェトロとDagangHalal.comが協力して、バイヤー向けワークショップを開催し、オンラインとオフラインを組み合わせて商談につなげる。

対象は、ハラル認証取得済み、または取得予定の商品を持つ日本企業・日系企業。募集期限は28日で、定員は20社程度、参加無料となっている。詳しくはウエブサイト(https://www.jetro.go.jp/events/dne/12775fc3bb6c4d6d.html)。

来年度予算は3本の柱を核に、予算方針説明会で第2財務相

【プトラジャヤ】 アミル・ハムザ第2財務相は18日、来年度予算に関する方針説明会で、経済競争力の強化、生活費圧力の緩和、弱者保護の充実、教育・医療・基本的行政サービスの強化を優先すると表明した。予算案は10月9日に上程される。

基本方針は、経済の高度化、社会の底上げ、統治の一層の改善の3つで、経済高度化では半導体、エネルギー移行、人工知能(AI)など高価値投資、生産性引き上げ、戦略的分野を優先する。中小企業、スタートアップには、融資、市場参入を通じ支援を強化する。

社会の底上げでは教育、医療、人材育成、雇用機会、家計所得の増加、弱者支援の強化に取り組む。統治改善では、規則の改善、行政サービスのデジタル化、煩雑な役所手続きの簡素化を進める。

アミル・ハムザ氏は「国は大きな成果を上げたが、国民が生活費に困窮しているようでは無意味だ」と指摘。低・中所得層への交付金、必需品の割引価格での提供を継続すると表明した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ザ・スター電子版、8月18日)

アンワル首相、SST軸に新たな税制モデル検討を言及

【プトラジャヤ】 アンワル・イブラヒム首相は18日、財務省で開催された2027年度予算に関する協議会後、記者団に対し、売上・サービス税(SST)と物品・サービス税(GST)を組み合わせるなど、新たな税制モデルを検討する可能性について言及した。

アンワル首相は、GSTは効率的な税制と認めつつも、生活費が上昇する中、国民の負担増につながるとし、改めてGSTの再導入を否定した。

そのうえで、「SSTを基本」と強調しつつ、「より良い税制にするため、可能な調整があれば行う」と述べた。両税制の長所を取り入れるなど、より柔軟に税制を見直す姿勢を示したとみられる。

マレーシアでは2015年に当時のナジブ・ラザク政権が税率6%でGSTを導入したが、2018年に希望同盟(PH)連立政権が廃止し、SSTに戻した経緯がある。このため、アンワル首相は、GSTの再導入に否定的な姿勢を繰り返し表明してきた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、8月18日)

【従業員の勤労意欲を高めるために】第928回:危機になると、従業員が会社を見る目は変わる

928回:危機になると、従業員が会社を見る目は変わる

前回は、農業を題材に、短期的な効率化が長期的には弱さにつながる可能性について紹介しました。今回は企業に戻り、経済危機が従業員の意識をどう変えるのかについて考えてみます。

従業員が「この会社で働き続けたい」と思う理由は一つではありません。上司の支援、同僚との関係、仕事の裁量、報酬の公平性など、さまざまな要因があります。しかし、こうした要因の重要性は、いつでも同じなのでしょうか。

この疑問を調べるため、拙稿では中国にある日系企業4社で2007年から2011年に実施した従業員意識調査を分析しました。この期間には2008年の世界金融危機、いわゆるリーマン・ショックが含まれています。分析対象は1万1507件でした。

興味深い変化が見られたのが、世界市場向けの電子部品を生産していた製造会社です。この会社では、金融危機後、「報酬が公平である」と感じることと組織コミットメントとの関係が大きく強まりました。一方、他の3社では同じ変化は見られませんでした。

さらに、この製造会社の生産部門を詳しく調べると、一般従業員では、報酬の公平性と組織コミットメントとの関係が危機前の0.415から危機後には0.599へと約44%強まりました。ところが監督者では、0.526から0.557へとほとんど変化しませんでした。

なぜでしょうか。会社の先行きが不透明になると、一般従業員は「会社は自分をきちんと扱ってくれるのか」を判断する材料として、給与、評価、昇進などの公平性を、それまで以上に重視するのかもしれません。監督者は会社内部の情報や裁量を比較的多く持つため、その影響を受けにくかったと考えられます。

重要なのは、危機になると何もかも重要になるわけではないことです。上司の支援、同僚との関係、裁量なども含めて分析すると、危機後に重要性が明確に増したのは報酬の公平性だけでした。

これは「危機になったら給料を上げればよい」という話ではありません。むしろ、給与や評価がどのように決まり、なぜその結果になったのかを従業員が納得できることが重要です。

従業員の勤労意欲を高める方法には、いつでも通用する正解があるわけではありません。環境が変われば、従業員が会社を見る物差しも変わる。不確実な時代の人事には、この視点がますます重要になるのではないでしょうか。

論文情報は以下。末尾のURLから概要をご覧いただけます。

Kokubun, K. (2026). When fair rewards matter more: Economic crisis, employee position, and organizational commitment in Japanese subsidiaries in China. Human Resource Management Journal, Early View. https://doi.org/10.1111/1748-8583.70061

 

國分圭介(こくぶん・けいすけ)
京都大学経営管理大学院特定准教授、機械振興協会経済研究所特任フェロー、東京大学博士(農学)、専門社会調査士。アジアで10年以上に亘って日系企業で働く現地従業員向けの意識調査を行った経験を活かし、組織のあり方についての研究に従事している。この記事のお問い合わせは、kokubun.keisuke.6x★kyoto-u.jp(★を@に変更ください)