来年度予算案、国民への配慮や経済の舵取りなどがテーマに

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル財務相は、2021年度予算案について「国民への配慮」、「経済の舵取り」、「持続可能な生活」、「公共サービスの強化」——の4つのテーマを中心に据えると述べた。
テンク・ザフルル氏は「国民への配慮」について、新型コロナウイルス「Covid-19」で疲弊した経済対策として打ち出した3月27日発表の追加経済対策(PRIHATIN)および6月5日発表の国家経済復興計画(PENJANA)がその目標に沿ったものだと強調。「経済の舵取り」については、国内総生産(GDP)の成長を確保すること、外国直接投資(FDI)や消費者信頼感を高めることに注力すると言明。重要分野として行動制限令(MCO)期間中に企業の間で加速したデジタル化を公共及び民間部門でさらに利用促進させることを挙げた。
資本市場においても、第1四半期に行なわれた取引のうちオンライン取引の割合が前年同期の31%から41%に拡大。特に個人投資家が行なった取引のうちオンライン取引が74%を占めたという。
来年度予算案の発表時期は当初10月2日に予定していたが、下院議会日程が新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大を受けてずれ込んだため11月6日に延期されている。
(ザ・スター、南洋商報、7月8日、ベルナマ通信、7月7日)

中銀バンクネガラ、政策金利を1.75%に引き下げ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラは7日、定例金融政策会合(MPC)を開催し、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を2%から0.25ポイント引き下げ、1.75%とすることを決定した。中銀は今年1月と3月共に0.25ポイント、5月に0.5ポイントそれぞれ引き上げていた。2004年以来16年ぶりの低水準となった。

 中銀は声明の中で、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染拡大に伴い国内外に深刻な影響が出ていると指摘した。利下げの理由について、景気回復のペースを加速するための追加の景気対策として実施すると説明。インフレ率は、世界的な原油価格の下落の影響を受けて、マイナスになる可能性があるとした。
 また中銀は世界経済について、新型コロナウイルスの影響で今年通年の成長率はマイナスとなると予想。感染を食い止めるためにロックダウンや経済活動を停止していたが、主要な経済大国では措置を緩和しているとした。リスク回避を実施しながらも、財政の状況は改善を見せていると指摘。コロナウイルスが再流行の可能性も拭えない状況にあり、再びロックダウンなどの措置を導入する可能性はあるとして、世界経済へのマイナスのリスクは依然あるとした。
 マレーシアについても、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために行動制限令(MCO)が施行されたため、第二四半期の経済活動は急激に縮小したと指摘。しかし景気対策や金融政策を取っていることから緩やかな回復が見込めるとした。しかしコロナウイルスの再流行や労働市場の弱さ、世界経済の成長の鈍化などをダウンサイドリスクとして挙げた。

廉価ホテルにも徐々に予約、主にリゾート地

【クアラルンプール】 6月10日付けで発令された復興のための行動制限令(RMCO)によって規制が大幅に緩和されたことから、ようやく廉価ホテルに予約が入り始めた。
予約の大多数がポートディクソン、ゲンティン・ハイランド、キャメロン・ハイランドなどのリゾート地で、クアラルンプール(KL)や小都市ではまた予約が少ないという。
廉価ホテル協会のエミー・スラヤ・フセイン会長によると、まだ予約件数自体は少ないものの顧客からRMCOにおける標準的運用手順(SOP)や料金に関する問い合わせが増えている。野外アクティビティやスイミングプールの再開状況、レストランの食事提供に関する質問も多いという。RMCOでは国内旅行が解禁されたが、ホテルはパックされた食事のみしか提供できないことになっている
国境閉鎖状態が続いているためインバウンドが期待できないことから、政府は観光業界に国内旅行売り込みに注力するよう呼び掛けている。RMCOは8月31日まで。
廉価ホテルに分類されるのは3つ星以下で、宿泊料は1室50—180リンギとなっている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、7月3日)

クリム空港建設計画、68億リンギにコスト増の見込み

【アロースター】 ケダ州で計画されているクリム国際空港(KXP)建設計画のコストについて、ムスタパ・モハメド首相府相(経済担当)は、当初の見通しを大きく上回る68億リンギが必要との見方を示した。

 土地取得費用が25億リンギ、滑走路とターミナルの建設費及び関連工事の費用が25億リンギに上り、加えてクリムからスンガイ・プタニを結ぶアクセス高速道路の建設に18億リンギかかる見通しだ。

 連邦政府とケダ州政府の間で建設コストや資金調達の方法に関する協議が行なわれたが、資金調達については借り入れで賄うか民間資金を用いるかはまだ決まっていないという。

 建設・運営を手掛けるKXPエアポートシティ・ホールディングスは、今年2月にフランスの空港運営業者、アエロポール・ド・パリ・アンジェニエリ(ADPI)を開発マスタープラン作成業者に指名した。

 KXPの建設計画は昨年2月に連邦政府から承認を受けており、当初の見積りでは総工費は16億リンギ。昨年8月に発表された来年度予算案ダイアログの資料ファイルに含まれていたKXP計画では、2本の滑走路を持つ空港として紹介されている。

(ベルナマ通信、7月2日)

国際ハラルショーケース、今年は中止が決定

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 毎年恒例のマレーシア国内最大級のハラル食品見本市「マレーシア国際ハラルショーケース(MIHAS)」が今年は中止となり、次回は2021年下半期に行なわれることが決まった。

 正式な日程は新型コロナウイルス「Covid-19」感染状況をみながら後日決定する。今年は当初4月1—4日の日程でクアラルンプール(KL)で開催される予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大により9月1—4日への延期が発表されていた。

 主催するマレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)は中止の理由について、世界46カ所ある海外事務所を通じて外国の出展者やバイヤー、見学者に意向を聞いたところ、マレーシア渡航を含めMIHAS参加への準備が出来ていないとの回答が多かったと説明した。MIHASでは日本貿易振興機構(ジェトロ)が毎年「ジャパンパビリオン」を設置して日本産ハラル食品の売り込みを行なっていた。

 政府は6月10日から8月31日までを復興に向けた行動制限令(RMCO)として、標準的運用手順(SOP)遵守を条件に250人以下の会議・集会などを認める方針を示していたが、国境封鎖の継続を受けて続々と国際的大型イベントの延期が発表されている。

 マレーシア自動車・ロボティクス・IoT研究所(MARii)は、「マレーシア・オートショー2020」の開催を来年4月に延期すると発表している。

ショッピングモールの客足、50ー70%に回復

【クアラルンプール】 復興のための行動制限令(RMCO)への移行に伴い、ショッピングモールでの客足が50ー70%回復している。
マレーシア・ショッピングモール協会(PKK)のテオ・チアンコック会長は、シンガポール紙「ストレーツ・タイムズ」の取材に対して、行動制限令(MCO)が施行された3−5月の小売業界の損失額は18億リンギに上るが、客足の回復に伴い、売り上げは最大40%回復していると明らかにした。
またマレーシア全土に7つのショッピングモールを運営するサンウェイ・モールズ・アンド・テーマパークスのHCチャン最高経営責任者(CEO)も、すべてのモールで来店客数が60ー70%戻りつつあり、テナントの売り上げが30ー40%回復しているとコメント。娯楽やレジャー・セクターで営業が再開されたことで更なる集客が見込めるとした上で、2020年末までに客足が75ー85%まで回復するとの楽観的な見方を示した。
8月31日までのRMCO施行期間においてマレーシア政府は、▽人数制限▽体温チェック▽連絡先追跡の登録ーーなど条件に企業活動の再開を認めている。
新型コロナウイルスの影響でマレーシアの国内総生産(GDP)成長率は鈍化が見込まれており、世界銀行は先ごろ、今年通年の成長率予想をマイナス3.1%に下方修正した。
(マレー・メイル、7月1日、ストレーツ・タイムズ、6月26日)

第3四半期の景況感はやや改善=D&Bマレーシア

【クアラルンプール】 米系大手信用調査会社、ダン&ブラッドストリート(D&B)マレーシアが発表した最新の企業楽観度指数(BOI)調査によると、今年第3四半期のBOIは-13.33ポイントとなり前期の-21.86ポイントから改善したが、前年同期の+7.22ポイントからは悪化した。
BOI調査は▽売上高▽純利益▽販売価格▽在庫量▽従業員数▽新規注文——の6部門における楽観度を指数化したもの。前月比では6部門のうち5部門で指数が改善した。売上高は-27.84ポイントから-19.20ポイント、純利益は-40.20ポイントから-22.40ポイント、販売価格は-10.31ポイントから-7.20ポイント、新規注文が-26.80ポイントから-12.0ポイント、在庫量も-20.62ポイントから-8.80ポイントにそれぞれ改善した。しかし従業員数は-5.21ポイントから-10.40ポイントに下がった。前年同月比では6部門すべてで悪化した。
オードリー・チア最高経営責任者(CEO)は、経済活動の再開や州間旅行規制が緩和されたことで、今後数カ月の景況感は改善するとの予想を示した。政府による財政、金融刺激策は、経済成長を促進させるとし、今年下半期は経済の回復が見込めると言明。サービス業や卸売業、製造業の成長はマイナスになっており、主要産業の多くの成長率は弱い状況が続くとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月30日、エッジ、6月29日)

ペナンヒルのロープウェイ計画、外資連合が新たな提案か

【ジョージタウン】 ペナン・ヒルで計画されていたロープウェイ建設計画について、中国やシンガポールの国際企業連合がルートを大幅に変更した新たなプランを提案している模様だ。「ザ・スター」が報じた。

企業連合が提案している新たな計画はペナン・ヒル頂上と観光地として人気のバトゥ・フェリンギに近いテルク・バハンを結ぶ全長6キロメートルで、中央に駅を1カ所設置。鉄塔は20基で、保守道路は全長10キロメートルとなり、総工費は当初の計画の三倍に当たる3億リンギと見込まれている。

当初のロープウェイ建設計画はペナン・ヒル頂上とペナン植物園(ボタニック・ガーデン)を結ぶ予定で、当時の希望同盟(PH)政権が昨年発表した今年度予算に1億リンギを計上。事業化調査が今年下半期に完了し、年末にも着工する予定だった。

しかし今年3月にPH政権に代わって国民同盟(PN)政府が樹立すると、同計画への資金拠出の取り止めを決定。このため同州政府が独自に継続していく意向を示していた。ロープウェイ計画には環境保護団体が反対しているため、ルート変更となれば新たな環境影響調査などが必要になる。

(ザ・スター、6月28日)

LRTクラナジャヤ線、新たに4両27編成の車両導入へ

【ペタリンジャヤ】 公共輸送機関を管轄する国営企業プラサラナ・マレーシアは、軽便鉄道(LRT)クラナジャヤ線の通勤者の利用増加を見込んでおり、4両27編成の車両を導入する。
タジュディン・アブドル・ラーマン会長によると、調達にかかるのは17億リンギの見込み。すでに2編成は納車済みで、残りはセランゴール州クラン港のウエスト・ポーツの敷地内で組み立てられており、2023年までに段階的に納車される予定だ。車両を増やすことで、通勤、帰宅ラッシュの乗車定員を増やし、運行頻度も平均2.5分を維持する。
クラナジャヤ線は現在、2両35編成を含む84編成の車両を使って運行しており、毎日30万人以上の通勤者が利用している。2両編成の車両の乗車定員は200人以上だが、4両編成とすることで900人以上に増加する。
プラサラナは、車両数を増やすことで、通勤者数を毎年7%増加させる目標を達成させたい考えだ。また車両の調達を輸入に依存するのではなく、製造に関わるローカルスタッフのスキル向上のためにスタッフを海外研修に送る計画もあるという。
(ザ・サン、6月26日)

ボルネオ島初のバーチャルリアリティ・テーマパークが開園

【コタサマラハン=マレーシアBIZナビ】 石油ガス関連エンジニアリングのセルバ・ダイナミックは24日、同社が開発を手掛けたテーマパーク「Dバーチャル・パーク」をオープンしたと発表した。
「Dバーチャル・パーク」は1,300万リンギを投じ、サラワク州コタサマラハンのジャラン・メラネクに建設された、ボルネオ島で初のバーチャルリアリティ(VR)を体験できるエンタテインメント施設。15ー45歳を顧客のターゲットとしている。
3階建てのテーマパーク内では、「VRエレベーション・デラックス(D’Luxe)」を筆頭に10つのVRアトラクションやeスポーツセンター、ホログラムシアター、バーチャルカフェ「Dレセプション」、コワーキングスペース「SD Xスタジオ」、コミュニティおよびイノベーションラボ「SD Xファブラボ」が入っている。開園時間は10時ー22時。料金はマレーシア人が10リンギ、外国人が9米ドルから。
セルバ・ダイナミックのモハド・アブドル・カリム・アブドラ社長によると、復興のための行動制限令(RMCO)発令下における安全衛生手順を順守し、収容人数を制限して開園する。来場者はマスクの着用と社交的距離の順守、来場時に連絡先の追跡を行うためのQRコードのスキャンが必要。入口での混雑を避けるためチケットは事前予約制となる。