中国のEVメーカーBYD、年初5カ月で初めてトップ10入り

【クアラルンプール】 中国の電気自動車(EV)メーカー、BYD(比亜迪汽車)のマレーシアにおける販売台数が、2024年1― 5月までの年初5カ月で初めてブランド別トップ10に入ったことが明らかになった。

BYD車はマレーシア道路交通局(JPJ)の新車登録台数で3,608台となり、ブランド別で10位に入った。内訳はスポーツ車(SUV)の「アット3」が1,451台と最も多く、2月に発売したばかりのセダン「シール」が1,421台の僅差で続いた。最も低価格のハッチバック「ドルフィン」は736台だった。月別では5月の販売台数が1,045台と過去最高となり、「シール」が581台、「アット3」が333台、「ドルフィン」が131台だった。

マレーシア自動車協会(MAA)のデータによると、2023年のBYD車の販売台数は、「ドルフィン」、「アット3」の2車種の合計で3,728台で、国内EV販売台数でトップだった。サイム・ダービー子会社と独占販売契約を結び「アット3」を発売した2022年12月以降の累計販売台数は8,111台で、「アット3」が4,641台、「ドルフィン」が2,049台、「シール」が1,421台となっている。

なお今年年初5カ月の販売台数トップはプロドゥア(14万6,111台)で、以下、プロトン(6万1,353台)、トヨタ(4万9,799台)、ホンダ(3万4,140台)、マツダ(7,364台)、三菱(7,085台)、チェリー(6,420台)と続いている。

(マレー・メイル、6月26日)

石炭火力発電所、2044年までの完全廃止を目指す=副首相

【クアラルンプール】 ファディラ・ユソフ副首相兼エネルギー移行・水利転換相は、「ロンドン気候行動週間」イベントのハイレベル対話セッションで講演し、「2035年までに既存の石炭火力発電所を50%削減し、2044年までに完全廃止を目指す、新たな段階的廃止計画を策定した」と述べた。

マレーシア政府は昨年7月に「国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)」を発表し、2050年までに再生可能エネルギー(RE)による発電率を70%に増やし、2045年までに石炭火力発電所を全廃する目標を掲げており、今回のファディラ氏の発言は目標達成を1年前倒しにする格好となる。

NETRによると、2020年時点で国内の一次エネルギー供給量(TPES)の26.4%を石炭が、42.4%を天然ガスが占めており、再生可能エネルギーは3.9%だった。NETRのエネルギー移行計画では、天然ガスが石炭に代わるエネルギー源と見込まれており、2050年までにTPESの半分以上を占めることになっている。

ファディラ氏は「マレーシアは、世界の排出量のわずか0.8%を占めるにすぎないにもかかわらず、2050年までにネットゼロ排出を達成することを約束している。しかし、気候変動の緩和に向けた我々の取り組みが極めて重要な役割を担っていることを認識し、国内排出量のほぼ半分を占める石炭火力発電からの移行を意識的に進めている」と述べた。
(エッジ、6月25日)

ペトロナス傘下ジェンタリ、ビルタと協業で域内EV充電網拡大へ

【クアラルンプール】 国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)のクリーンエネルギー子会社であるジェンタリは、子会社のジェンタリ・グリーン・モビリティを通じ、電気自動車(EV)充電のフィンランド企業ビルタと提携した。東南アジア全域でのEV充電網拡大を目指す。

ビルタのデジタル・プラットフォームおよび専門知識、ジェンタリのEV充電インフラの配備・運用能力をともに活用する。また、域内EV充電の相互運用性を可能にするため、第三者機関とも協力する。

ジェンタリは2024年2月から国内で「ジェンタリ・ゴー」プラットフォームによる、高出力のEV直流(DC)充電サービスを開始し、タイとシンガポールにも展開している。現時点では3カ国で2,400カ所以上の充電施設が稼働しており、年内にさらに2,000カ所を追加する計画だ。

ビルタは、欧州で10年にわたりEV充電サービスを展開。同社プラットフォーム上で36カ国、1,000以上の充電網が充電事業の管理を行えるようにしてきた。2022年以降、東南アジアにも進出している。

東南アジアやオセアニアでは、地元メーカーや中国メーカーが手頃な価格のEVモデルを提供することでEVの普及が急速に進んでおり、欧米諸国に比べてEV市場の成長が速いと予想されているという。
(ビジネス・トゥデー、リニューワブル・エナジー・マガジン、ポールタン、6月25日)

「不買運動は地元産業にプラス」国内取引相が容認発言

【クアラルンプール】 イスラエルのパレスチナ・ガザ地区への侵攻を受けたイスラエル関連ブランドに対する不買運動の呼び掛けが続く中、アルミザン・アリ国内取引物価相は、ボイコットが地元企業に商機を与える効果があったと容認する発言を行った。

同発言は25日の下院議会質疑の中で、ボイコットの影響について明らかにするよう求められたのに対して、アルミザン氏が文書で回答したもので、「ボイコット運動は国産品の需要増加に役立ち、イノベーションを促進し地元経済を強化した」と指摘。消費者がイスラエル関連のブランドを避け、地元ブランドに代替品を見つける傾向があるとした。

アルミザン氏は、「地元の起業家は、これらの機会を利用して消費者に自社のブランドを紹介することができる」、 「地元産品の需要が高まっている。地元企業が研究開発に投資してより競争力のある製品をつくるための優遇措置もある」と述べた。

その上でアルミザン氏は、「これらの地元企業は、消費者からの支持を長期的に維持するために、期待される品質基準を保ち、競争力のある価格での提供を続けなければならない」とも指摘した。

イスラエル関連製品ボイコットは、米国ブランドを扱っているというだけで直接資本関係がないにもかかわらずスターバックスやマクドナルドなどのフランチャイズ企業がターゲットにされて売上減に苦しんでおり、事業縮小に伴って地元の雇用が奪われているとの指摘もある。
(ザ・スター、6月26日)

軽油補助金廃止1週間で販売量が30%減少=第2財務相

【クアラルンプール】 対象を絞ったディーゼル油(軽油)補助金制度実施に伴う小売価格見直しが発表された6月10日から17日までの最初の週で、給油所におけるディーゼル油の総販売量が前週に比べて1日平均800万リットル、率にして30%減少した。

アミル・ハムザ第2財務相が24日の下院議会で明らかにした。給与所での総販売量が減少する一方で、企業が補助金なしで購入するディーゼル油の「商業用」販売が400万リットル増加した。石油小売会社によると、国境地域での販売量も40%減少したという。

これについてアミル氏は、これまでディーゼル油を市場価格で購入すべきだったにもかかわらず、補助金付きで購入していた業者がいたこと、国境で補助金付きディーゼル油が密輸出されていたことを示すもので、補助金が漏洩していたことの証左だと述べた。

マレーシア半島部における一括のディーゼル補助金は6月10日に廃止され、価格は1リットル当たり2.15リンギから3.35リンギに値上がりした。その代わり特定の業者やディーゼル車所有者には月々200リンギの補助金が支払われることになった。

アミル氏はディーゼル補助金制度の変更にもかかわらず、政府は今年のインフレ目標(2―3.5%)と国内総生産(GDP)目標(4―5%)を達成できると確信していると言明した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月25日、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、6月24日)

プロトンの生産台数が通算500万台に到達、創業41年目で

【スバンジャヤ】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは18日、創業41年目にして生産台数が通算500万台に到達したと発表。セランゴール州スバンジャヤの本社で式典を開催した。

記念となる500万台目は資本提携先である中国・吉利汽車「豪越」のリバッジ・モデルである「X90」だった。テンク・ザフルル投資貿易産業相と、マレーシア・中国国交樹立50周年を記念して訪馬中の中国・金壮龍・工業情報化相が500万台目の出荷に立ち会った。

プロトンは1983年創業で、1985年に三菱自動車のセダン「ランサー」のリバッジ・モデルである「サガ」を発売。モデルチェンジを重ねながら「サガ」だけで累計販売台数は200万台を突破している。

吉利汽車との提携は2017年からで、以来、吉利汽車のリバッジ・モデル4車種(X50、X70、X90、S70)を発売し、5年連続の販売台数増・生産台数増を達成した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ポールタン、ベルナマ通信、6月18日)

奇瑞汽車がシャアラム自社工場を開設、「JAECOO」を製造

【シャアラム】 中国の自動車メーカー、奇瑞汽車(チェリー自動車)のマレーシア法人、チェリー・オート・マレーシアは、セランゴール州シャアラムに東南アジア諸国連合(ASEAN)初の自社工場を開設。18日にテンク・ザフルル投資貿易産業相や訪馬中の中国の金壮龍・工業情報化相、奇瑞汽車の尹同躍会長が臨席して開所式が行われた。

同工場は傘下の「JAECOO」ブランドのプレミアム・スポーツ車(SUV)、「J7」の現地生産を担当する。工場開設を記念して同日、「J7」の全輪駆動(AWD)バージョンの初出荷を行った。工場開設により500人の雇用創出に繋がったとしている。

同工場では今後、「J7」のほか大型の「J8」や電気自動車(EV)である「J6」も生産する見込み。敷地内には右ハンドル化を目的とした研究開発センターとテストコースも建設される予定だ。投資額や年産能力などは明らかにされていない。なお「チェリー」ブランドについては、引き続きケダ州クリムのイノコム工場で製造される予定。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月19日、ポールタン、ビジネス・トゥデー、6月18日)

MATRADEが米アマゾンと提携、中小企業の輸出強化で

【クアラルンプール】 マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)と米アマゾンは、国内の中小企業(SME)の輸出能力強化に向け、覚書を締結した。アマゾンが提供する海外販売(越境EC)サービス「アマゾン・グローバルセリング」によりSMEの輸出活動を支援する。

アマゾンはトレーニングの提供や成功事例の紹介を行い、MATRADEは地元企業のトレーニング参加を促進する。

アマゾン・グローバルセリングのアナンド・パリット東南アジア責任者は、海外販売に関心を示すマレーシア企業が増えており、1-4月期にはアマゾン・グローバルセリングでの販売者数が前年同期の約2倍に増加したと述べた。

MATRADEは、動画配信の「ティックトック」のオンライン販売サイト「ティックトックショップ」とも提携し、期間限定キャンペーンを実施する。毎年実施される「ASEAN(東南アジア諸国連合)オンライン・セールデー」の場を活用し、マレーシア企業30社が1,500万リンギの売上を達成するよう支援するとしている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、ビジネス・トゥデー、6月14日)

対シンガポールドルのリンギ相場、さらに上昇の可能性

【クアラルンプール】 マレーシア通貨リンギの相場がここ数カ月、シンガポール(S)ドルに対し値上がりしており、年末までには1Sドル=3.43/3.45リンギまで上昇すると著名エコノミストが予想している。

バンク・ムアマラット・マレーシアの主任エコノミストであるモハマド・アフザニザム氏は、リンギ需要増大の要因として、外国直接投資(FDI)のマレーシアへの流入、特にジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)への流入を挙げた。

アフザニザム氏は「著名企業が同特区などへ投資し、マレーシア資産への関心が高まっている」と述べた。現在、相場は1Sドル=3.4868リンギ前後で推移している。

ただリンギ上昇が持続するかは外部要因、特に米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に左右されるという。

米労働市場の重要指標である非農業部門の賃金は伸びに加速が見られており、FRBが早期に利下げするとの観測が後退した。利下げ延期は世界の外為市場に影響を及ぼすという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月12日、エッジ、マレーシアン・リザーブ、6月11日)

建設業界、資材運搬車両へのディーゼル補助金適用を要請

【クアラルンプール】 今月開始されたディーゼル補助金の合理化について、建設業界が補助金対象を建築資材の運搬車両にも拡大するよう訴えている。

40社が加盟するマレーシア建設請負業者協会(MBAM)とマレーシア・ブミプトラ建設請負業者協会(PKBM)は、対象を絞った補助金制度の実施が昨年末に発表されていたことを認めた上で、建設業界を支える物流業者への影響を緩和するための明確な説明が必要だと強調。連邦政府に対し、ディーゼル補助金の対象となる輸送手段のリストに、建築資材やクレーンを輸送する車両を含めるよう訴えた。

MBAMとPKBMによると、採石製品や生コンクリートなどの建設資材のコストが上昇し、建設契約の大半が固定価格の一括払いであるため業界に影響を及ぼしているという。

その上でMBAMとPKMBは、建設資材やクレーンの運搬車両にも割引価格で燃料を購入できるフリートカード(営業車用法人カード)を発行するよう要請。これにより建設業者、特に小規模建設業者における将来の建設コストの管理が可能になり、燃料補助金合理化との間のバランスをとることができるようになると指摘した。

ディーゼル価格は対象を絞った補助金制度の実施に合わせて、今月10日付けで1リットル当たり2.15リンギから3.35リンギに引き上げられたが、これを受けてコンクリート生産者が早速値上げに踏み切ったという。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、6月13日)