中銀バンクネガラ、今年3度目の利上げで2.50%に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラは8日、定例金融政策会合(MPC)を開催し、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を0.25ポイント引き上げて2.50%とすることを決定した。中銀は2020年7月から1.75%で維持していたが、今年5月11日、7月6日にそれぞれ0.25ポイント引き上げており、今回で3会合連続の利上げとなった。
 中銀は声明の中で、国内経済の成長の見通しが明るいとして、3度目の利上げを決めたと説明。現在の金融政策のスタンスも緩和的であることから、引き続き経済成長を支えることが可能だとした。
 国内経済について中銀は、新型コロナウイルス「Covid-19」のエンデミック(風土病)段階への移行や政策が、第2四半期の経済成長に貢献し、複数の統計が民間部門の支出が経済成長を下支えしていることを示しているとした上で、労働市場でも引き続き失業率の低下、労働力率の上昇、所得の見通しが改善していると指摘。その一方で今後は外需の減速や金融および為替市場のボラティリティー(変動性)の高まりが懸念されるものの、マレーシアの経済成長を阻害することはないとの予想を示した。そして今後も世界経済の回復が予想を下回る可能性、ロシアのウクライナ軍事侵攻の激化、サプライチェーンの混乱悪化が成長リスクとなり続けるとし、今年のコア・インフレ率の予想については、2.0ー3.0%で維持するとした。
 また中銀は世界経済について、成長率は減速しているが労働市場の改善や国境の再開が成長を下支えし続けているとした上で、インフレ圧力を軽減するためにマレーシア以外でも中銀による政策金利の調整が行われると予想。特に米国の積極的な金融緩和策が金融市場を変動させていると指摘し、金融政策により生じる影響や中国の「ゼロコロナ」政策下で実施されるロックダウン、コスト圧力の上昇、欧州のエネルギー危機の可能性などが下振れリスクになるとの見解を示した。

リンギが4日連続で下落、1998年以来の低水準に

【クアラルンプール】 通貨リンギは7日、4日連続で米ドルに対し値下がりし、一時1米ドル=4.5010リンギと1998年以来の低水準になった。

6日にも一時、4.4970リンギと2016年以来の低水準になったものの、終値は4.4985リンギとやや持ち直していた。

ディーラーによると、7ー8日の中央銀行バンク・ネガラ(BNM)の金融政策委員会会合を控え、売買は少なかった。空売りしたドルを買い戻す動きも見られたという。

米ドルに対しては6日、円、中国人民元、台湾ドルも値下がりした。米ドル高の要因は景気後退懸念と賃金上昇で、ユーロや円、ポンドなど主要通貨に対する米ドルの強さを示すドル指数は20年ぶりの高水準に達した。

投資家は、インフレ対策のため米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを継続すると予想しており、米ドル高を支えている。

リンギは6日、英ポンド、ユーロ、シンガポールドルに対しても下落した。しかし円に対しては値上がりした。

(ザ・スター、エッジ、9月7日、マレーシアン・リザーブ、9月6、7日)

中国・台湾間の緊張、サプライチェーンに影響

【ペタリンジャヤ】 マレーシア半導体産業協会(MSIA)のウォン・シューハイ会長は、中国と台湾間の緊張は半導体のサプライチェーンを混乱させる恐れがあり、マレーシアには両地からの投資増が見込めるとの見解を示した。

ウォン氏によれば、台湾、中国とも世界半導体産業の主要ハブ。サプライチェーンは複雑で、ある企業が部品を15社から調達しているとして、これには中国、台湾両方の企業がまず含まれる。緊張が高まれば、半導体のサプライチェーンは深刻な影響を受けるという。

リスク回避のため台湾、中国の半導体関連企業は、マレーシアでの工場新設、マレーシア企業買収、あるいはマレーシア企業への製造委託に乗り出すと見込まれるという。

あるアナリストは、緊張が高まれば新工場の建設が必要になるが、建設には時間がかかるため、短期的に企業は十分な量の半導体を生産できず、20ー21年の時のような世界的な半導体不足が再び起こる可能性があると述べた。
(ザ・サン、8月22日)

越境貨物列車「ASEANエクスプレス」、10月に商業運転開始

【バンコク】 マレーシア国鉄(KTM)は16日、東南アジア諸国連合(ASEAN)のマレーシア、タイ、ラオス3カ国を繋ぐ越境貨物列車「ASEANエクスプレス」が10月に商業運行を開始すると発表した。

KTMの発表によると、マレーシアからラオスまでの距離は2,206キロメートルで、所要時間は72時間。片道の積載容量は80TEU(20フィートコンテナ換算)となる。ラオスではビエンチャンを経由して昆明、成都、重慶などの中国南部に接続されるという。
バンコクにおいて15日、KTMの役員などが隣席し、予行運転と記念式典が開催された。

KTMは、「ASEANエクスプレス」の運行はタイ国鉄(SRT)とラオス鉄道との政略的協力の結果であるとし、3カ国の物流・輸送部門に恩恵もたらすと期待を表明。すでに同列車の予約が入っており、年間900万リンギの追加収入を見込んでいるとした。電気・電子製品の輸送に使用されると期待されているという。
(ベルナマ通信、8月16日)

使用済み自動車の管理政策、2025年までに実施=科技革新相

【クアラルンプール】 アダム・ババ科学技術革新相は、2025年までに使用済み自動車(ELV)管理政策を実施すると言明。政策実現に向けた適切なアプローチを検討していることを明らかにした。

アダム大臣は、まだ使用可能な自動車部品や材料が捨てられないようにするためにはELV政策が重要だと指摘。国内のELVから出た部品の70%が輸出可能であり、輸出額は100億リンギに上る可能性があるとした上で、政策枠組みの草案策定においてELVリサイクルの専門知識を持つシンガポールと日本に注目していると述べた。

運輸省のデータによると、2022年5月以降、マレーシアには合計3,300万台の車両が登録されており、うち1,900万台は少なくとも車齢が10年以上となっている。

12日にはマレーシア工科大学(UTM)、マレーシア国民大学(UKM)、マラッカ工科大学(UTeM)の3大学からなるELVコンソーシアムが、マレーシア自動車リサイクル業者協会(MAARA)との間で覚書を締結。▽再製造及びリサイクルに関するデータ・情報の収集▽研究と研修を通じた産学間の協力促進▽国家自動車政策(NAP)2020を後押しするための再製造及びリサイクル計画策定ーーを進める。
(ベルナマ通信、8月12日)

公用車としての電気自動車、来年から導入開始=環境水相

【ゴンバク】 トゥアン・イブラヒム環境・水相は、公用車としての電気自動車(EV)の導入を2023年から開始すると発表した。2023年から調達する公用車はすべてEVとし、最終的にすべての公用車をEVに切り替える。
トゥアン・イブラヒム大臣は、市場に出回っているEVの種類が限られるため、具体的な調達計画は決まっていないとコメント。またEVのコストが高いことについては、EVが普及していけば価格が下がるだろうと指摘。普及に向けた主な問題は全国的に利用できる充電施設の不足だとし政府はこの問題の解決に向けて関係各所と取り組んでいると述べた

自動車情報サイト「オートバズ」によると、現在マレーシアで販売されているEVは、▽ヒョンデSUV「コナEV」▽ヒョンデ「アイオニック5」▽起亜「EV6」▽BMW iX▽BMW i4▽メルセデスベンツEQA▽メルセデスベンツEQS▽ポルシェ「タイカン」▽ミニクーパーSEーーに限られている。

 同相によると、政府は輸送車両の電化を推進するため、プトラジャヤやランカウイなどの特定の地域を対象として住民の中古バイクを電動バイクに交換するパイロット・プロジェクトを計画している。
(ラクヤット・ポスト、ポールタン、マレーシアガゼット、8月10日)

グーグルクラウド、マレーシアでリージョンを新設へ

【クアラルンプール】 米IT大手のグーグルが提供するクラウドサービス「グーグルクラウド」は10日、アジア太平洋地域における需要増加に対応するため、マレーシアに新リージョンを開設すると発表した。

設置都市や時期については未定。タイ、ニュージーランドにも新リージョンを開設する計画だ。

グーグルクラウドのアジア太平洋地域担当副社長であるカラン・バジュワ氏は、新リージョンは、アジア太平洋地域のデジタル変革を支援するというグーグルの継続的なコミットメントを表すものであり、通信業界のパートナーと協力して、アプリコット、エコー、JGAサウス、インディゴ、トパーズなどの海底ケーブルや主要都市での接続拠点を設置し、地域全体の接続性拡大に引き続き投資していくと述べた。

市場調査会社IDCは、日本を除くアジア太平洋地域のクラウドサービスに対する総支出は、2025年までに2820億米ドル(1兆2600億リンギ)に達すると予想している。

IDCアジア太平洋地域クラウドサービス・ソフトウェアリサーチ・ディレクターのダフネ・チュン氏は、グーグルクラウドの新リージョンは、デジタル分野における組織のニーズに対応し、アジア太平洋地域におけるデジタル変革の機会を増加させるとし、顧客企業のハイブリッド・マルチクラウド環境への移行を支援しつつローカル・リージョンへのアクセスについて、より多くの選択肢を顧客に提供できるようになると述べた。

グーグルクラウドは現状、アジア太平洋地域で11リージョン、全世界で34リージョンを運営している。
(エッジ、8月10日)

PTP港の7月のコンテナ取扱量、100万TEUを突破

【クアラルンプール】 国内最大のコンテナターミナルであるジョホール州のタンジョン・プルパス港(PTP)は、7月単月のコンテナ取扱量が100万TEU(20フィートコンテナ換算)を突破したと明らかにした。

7月31日午後11時45分頃に行われたMTTセブの船積み作業により、月間コンテナ取扱量が100万TEUを超え、100万1,819TEUとなった。

ウィー・カション運輸相は、厳しい事業環境にも関わらず、PTPが新たな記録を達成したと言明。PTPが長年にわたり達成した業績は、マレーシア経済への海運部門の価値や貿易の重要性を明確に示すものだとし、PTPにおける効率性の向上と事業最適化は、マレーシアの競争力を維持する上で大きな役割を果たしていると述べた。

PTPのチェ・カリブ会長は、適切かつ持続可能なビジネス条件を整えるために関係者全員が献身した結果であるとコメント。日々の業務に先進的な技術戦略を適用し、総合的なサービスを提供することに注力していると述べた。

PTPは今年初めにも、国内コンテナターミナルとして初めて、年間コンテナ取扱量1,100万TEUを突破していた。
(ザ・サン、8月10日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、8月9日)

経済回復は堅固もインフレを懸念、国際会議で中銀総裁

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)のノル・シャムシア総裁は26日、金融犯罪・テロ資金供与に関する国際会議で基調演説し、国内経済の回復はしっかりしているがまだら模様であり、食品の値上がりが低所得層を直撃していると物価上昇に懸念を表明した。

ノル・シャムシア氏によると、政府が燃料および必需食品の価格を統制しているため、原油価格上昇の消費者物価指数(CPI)への影響は緩和されているが、国際的な一次産品の値上がりが原材料費の上昇をもたらしているという。

ノル・シャムシア氏は、物価上昇は内需の増加以外に、こうした投入費用の上昇を反映していると指摘。CPIは安定的に推移しているが、より生活実感に近いコアCPIは昨年上半期の0.7%に対し今年は高めの2.2%になった。このためBNMの金融政策委員会は、金融緩和を撤回する時と判断し、5月と7月に政策金利の引き上げを決めたという。
(ザ・サン、7月27日、エッジ、7月26日)

家庭用以外の水道料金、8月1日付で引き上げ

【クアラルンプール】 環境・水省は26日、8月1日付でマレー半島とラブアンにおける家庭用以外の水道料金を1立方メートル当たり平均で25セン引き上げると発表した。

水道料金の見直しは2016年に国家水道委員会(SPAN)が導入した料金設定制度の下で実施するもので、内閣は6月22日に実施した会合で、家庭以外の水道料金の引き上げを決定。また家庭用水道料金については、物価が上昇していることから据え置くことを決めた。

環境・水省は、引き上げはわずかであることを強調。パハン州では39年間、ペルリス州では26年間それぞれ水道料金を引き上げていないことを例に挙げて、一部の地域では数十年間に渡って引き上げが行われていないと説明。政府は国民が直面している物価上昇を懸念しているとして、各州・地域の水道事業者に対して、低所得層を対象にした払い戻し制度などを実施するよう呼びかけているとした。
(マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、7月26日)