物流のスウィフト、配送車両10台がボルボから納車

【クアラルンプール】 物流大手のスウィフト・ホーレージ(SHB)は、ボルボ・トラックス・マレーシアから10台のプライムムーバー「FM440」の納車を受けたと発表した。
SHBが発表した声明によると、同社は輸送車両増強計画の下で「FM440」を30台発注しており、今回、第1弾として10台が納車された。これらの車両は、ペナン州セベラン・プライで新設した倉庫・支店やペラ州に新設したタイピン支店の配送業務で利用される。
SHBのロー・ヨンフイ最高経営責任者(CEO)は、セベラン・プライ倉庫の操業開始に合わせてプライムムーバーの納車を受けることができたと説明。同社は顧客へより良いサービスを提供するために車両を増やしているが、倉庫も新設したことで、サービス水準や顧客満足度をさらに向上させることができるとの見解を示した。同社は2013年よりボルボのプライムムーバーを利用しており、ボルボ・トラックの安全性や信頼性を確信しており、良いパートナーだとした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、4月19日)

DRBハイコム、「自動車ハイテクバレー計画」を発表

【タンジュン・マリム】 国民車メーカー、プロトンの親会社DRBハイコムは12日、ペラ州タンジュン・マリムで大型プロジェクト「自動車ハイテクバレー(AHTV)」計画を発表した。
タンジュン・マリムを電気自動車(EV)メーカーや部品サプライヤーの拠点とし、電動化、人工知能、自律走行技術、先進的な接続性などの先端技術を導入することを目的とする。建設段階で約37万人、操業開始後の第1期には16万人以上の雇用機会を創出する見込み。工業団地や商業施設などの周辺事業も含めると、2030年までに320億リンギの経済効果が期待できるという。
DRBハイコムは、ペラ州政府との間でAHTVの建設に適した土地を共同選定することを目的とした覚書(MoU)を締結。また、同じくプロトンの主要株主である中国・吉利汽車との間でも、AHTV開発および投資家やサプライヤーの募集を共同で行なうためのMoUを締結した。
タンジュン・マリムはプロトンの本拠地であり、プロトンは「タンジュン・マリムをASEAN地域の自動車産業のハブとする」という目標を掲げている。現在、プロトンのタンジュン・マリム工場周辺地区は4,000エーカーの広さを有し、スルタン・イドリス大学、サプライヤー施設、商業施設、住宅などもある。AHTVに対しては別途土地を追加する予定で、研究大学の設置も計画されている。
(ポールタン、ベルナマ通信、4月12日)

政府系金融機関のMIDFとMBSB銀、合併交渉を開始へ

【クアラルンプール】 MBSB銀行は政府系金融機関のMIDFと合併交渉を開始する。交渉にはそれぞれの親株会社、マレーシア・ビルディング・ソサイエティー(MBSB)と国営投資会社ペルモダラン・ナショナル(PNB)が当たる。
消息筋によれば、合併は株式交換方式で行われる予定で、MBSB筆頭株主の従業員積立基金(EPF)が合併会社の50%超、PNBが約20%の株式を保有することになる見通しだ。
MBSB銀はイスラム銀行で、資産は450億リンギ。MIDFの資産は78億リンギで、合併後は資産額で国内9位になる。
MIDFは1960年代に設立の開発金融機関で中小企業向け融資が中心。これまでに1万を超える企業に融資を行ってきた。
合併交渉で問題になりそうなのはMBSBの公務員への貸し付けだ。公務員協同組合の信用制度に基づき融資が行われたため、賃金が少ない公務員へのでたらめな融資もあったと言われている。また20年度は新型コロナウイルス禍の影響で不良債権に苦しんだ
(ザ・スター、4月9日)

2025年までの木材製品輸出目標額は190億リンギ

【バンティン】 ズライダ・カマルディン農園・一次産業相は9日、政府は「国家農産物政策(DAKN) 2021-2030」に基づき、木材製品輸出額を2025年までに190億リンギにすることを目標としていると明らかにした。
ズライダ大臣によると、マレーシアは家具分野において世界第10位の輸出国であり、昨年の米国、日本、シンガポール、英国、オーストラリアの5カ国に向けた輸出額は104億1千万リンギに達している。農園・一次産業省はまた、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、インド、トルコなどに対してツアーを実施し、木材を含むマレーシアの農産物を売り込んだという。今年7月26-28日にはクアラルンプールの国際貿易展示場で「マレーシア国際農産物博覧会&サミット(MiACES)」を開催するとした。
ズライダ大臣は同日マレーシア家具委員会(MFC)との交流会を行ない、配送料の高騰について議論を行なったとし、高騰する配送料を家具産業が負担できず輸出が滞っている現状に関して調査を行なうと言明。MFCが外国人労働者の迅速な採用を目指し、雇用申請を行なう委員会を設置したことにも触れ、同省は家具産業の外国人採用促進についても支援を行なっていくと述べた。
(ベルナマ通信、4月9日)

石炭価格は半年以内に安定する=石炭調達組織

【クアラルンプール】 TNBフューエル・サービス(TNBF)は、ロシアのウクライナ侵攻により高騰している石炭価格について、半年以内に価格が安定化する見込みだと明らかにした。
TNBFの調達・サプライチェーン責任者であるアブドゥル・ハリム・オスマン氏は国営 「ベルナマ通信」の取材に対し、世界の石炭価格は、3-6カ月以内に需給バランスが正常化することから以前と同程度まで価格が下がると述べた。
同氏によると、昨年の経済再開が石炭への高い需要をもたらし、第2四半期から第3四半期にかけて石炭価格は上昇したが、その後下落。第4四半期には価格が一旦安定したものの、インドネシアが国内需要への対応のため今年1月に石炭輸出を一時的に停止したため、再度価格が上昇した。輸出再開後、価格は落ち着くかに見えたが、ロシアのウクライナ侵攻により再び価格が高騰したという。ロシアから欧州への天然ガス供給がストップしたため、欧州での石炭需要が急激に高まっており、石炭価格は3月上旬には1トンあたり400米ドルを超え、4月に入っても8日に1トンあたり291.60米ドルとなるなど、過去最高レベルまで高騰している。
マレーシアは発電用の石炭のほとんどをインドネシアから輸入しており、1カ月程度の利用量を備蓄しているため、輸出禁止の際にも持ちこたえられたという。TNBFは、サプライヤーとの間で1年間の石炭価格をあらかじめ設定しておく長期契約を締結していることから価格高騰の影響を軽減できているとし、さらに、数カ国に分散して供給源を確保することで発電に十分な供給量を得られると同時に、供給不足リスクを軽減しているとした。
TNBFは 電力会社テナガ・ナショナル(TNB)の100%子会社の非営利組織で、TNBと電力購入契約(PPA)を結んでいる独立系電力会社(IPP)に対して石炭を販売するために設立された。マレー半島での安定した電力供給のため、電力発電用の石炭を確保することを事業の目的としている。
(ザ・サン、4月11日、ベルナマ通信、4月10日)

中銀、今年のGDP成長率を5.3ー6.3%と予想

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラは30日、2021年版経済・金融レビュー(EMR2021)を発表。昨年3.1%成長だった国内総生産(GDP)について、今年については2月時点で5.5ー6.5%としていた先の予想をやや引き下げて5.3ー6.3%としている。
 中銀は、今年のマレーシア経済が主に▽外需の継続的な拡大▽新型コロナウイルス「Covid-19」封じ込め措置の全面解除▽国境の再開▽労働市場のさらなる改善ーーによって下支えされると分析。リスク要因として▽新型コロナの今後の状況▽国際的地域紛争の影響▽インフレ・コスト上昇ーーを挙げている。
セクター別では、経済成長を牽引してきたサービス業については、国境再開と移動制限解除にともなう消費および観光関連サブセクターの回復に牽引されるとの見方から6.9%との高い予想。製造業は世界的な電気・電子(E&E)製品の高い需要、石油化学や油脂化学などの一次産品関連製造や建材などの建設関連の回復に支えられて5.2%と堅調な成長を予想している。
昨年0.7%成長だった鉱業については、東マレーシア沖のブロックSK320油田の操業などによる増産で2.5%の成長を予想。マイナス0.2%だった農業については、主にパーム油生産増加に支えられて1.5%のプラス成長を回復すると予想している。同じくマイナス5.2%だった建設については、進行中の大規模インフラプロジェクトと2022年度予算の下での小規模プロジェクトの実施に支えられて6.1%プラス成長への復帰を予想している。
需要サイドでは、昨年1.9%成長だった民間消費については9.0%、同じく2.6%成長だった民間投資については5.3%成長を予想。輸出については10.9%、輸出は8.1%のそれぞれプラス成長を予想している。
また、昨年2.5%までアップした総合インフレ率(消費者物価指数=CPI)については2.2ー3.2%、0.7%上昇したコアCPIについては2.0ー3.0%とそれぞれ予想。昨年4.6%まで上昇していた失業率については、4%まで低下すると予想している。

積極財政を継続、財政均衡は中期的観点から取り組み

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル財務相は格付け会社主催のセミナーで基調演説し、経済回復の勢いを維持するため、今年は積極的に支出を増やす積極財政を維持すると表明した。このため財政均衡のペースは鈍くなるという。
今年の財政赤字は目標である対国内総生産(GDP)比で6%か、6%以下に収まる見通しだという。原油、パーム油など一次産品価格が高止まりし、歳入増が見込めるためだ。
昨年末時点の政府債務は対GDP比63.4%、額にして9,798億リンギ。国債、財務証券発行残高を含む法定起債残高の比率は同59.7%で、暫定上限の65%を下回った。
今年末の政府債務は同66%、法定起債は同63%の予想で、先行き3ー5年間の中期的観点から財政正常化に向けた戦略を策定するという。
起債は今年も国内向けが中心で、リンギ建て「持続可能な開発目標」債の売り出しを計画している。起債額は最大100億リンギ。
(ザ・スター、3月23日、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、3月22日)

ボルボカーズマレーシア、電気自動車の国内組立計画を発表

【クアラルンプール】 スウェーデンの自動車メーカー、ボルボ・カー・マレーシア(VCM)は18日、セランゴール州シャアラムの製造拠点で電気自動車(EV)を国内完全組立(CKD)生産を行う計画を改めて発表した。
マレーシア投資開発庁(MIDA)との共同声明によると、初のCKDによるEV「XC40リチャージ・ピュア・エレクトリック」を皮切りに2022年からの5年間で毎年1車種のEVを投入する
アズミン・アリ上級相(兼通産相)は、EVのCKDは、インテリジェント・モビリティ機能などを備えた次世代自動車開発を促し、ハードウェアだけでなくソフトウェアにおいても国内産業の能力向上につながると言明。現在、マレーシアは東南アジア諸国連合(ASEAN)第3位の自動車市場であり、自動車、二輪車、自動車部品などを生産する製造・組立工場は国内に28カ所あるとした上で、ボルボのCKDが自動車産業の発展を推進し、マレーシアをASEAN地域におけるEVのハブとするための起爆剤になるとの期待を示した。
MIDAのアラム・アブドル最高責任者は、ボルボのCKDを歓迎するとし、EV産業およびそのエコシステムの発展を望んでいると言明。MIDAは高エネルギー効率自動車(EEV)開発に向けたプロジェクトを2021年時点で36件承認しており、投資額は19億リンギだとした。EVとその部品の製造・組立に関連する投資プロジェクトは10件、投資額は12億リンギとなっており、国内で900人以上の雇用機会を創出すると述べた。
(マレーシアン・リザーブ、ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月19日、VCM・MIDA発表資料)

5Gネットワーク、DNBの単独運営に決定

【プトラジャヤ】 テンク・ザフルル財務相とアヌアル・ムサ通信マルチメディア相は16日、共同記者会見を行ない、第5世代移動通信(5G)ネットワークの運営について、国策会社デジタル・ナショナル(DNB)が単独で5Gネットワークを所有・運営する1社独占方式(単独卸売制ネットワーク、SWN)に決定したと発表した。
移動体通信大手4社がDNB1社独占について反対し、通信事業者の連合体がDNBとともにネットワークを所有・運営する2社方式を政府に提案していた。
ザフルル財務相によると、5Gネットワーク導入を迅速化することがねらい。関係者との協議を行ない、2社方式を含む各種方式を検討したが、SWNが最適だという結論に至ったという。過去に3G、4Gの普及が8ー9年かかったことへの反省が背景にあると見られる。
DNBについては、政府が30%株式を保有し、70%を通信事業者が保有する。6月末までに各通信事業者への株式売却交渉を完了させる。DNBは他の通信事業者と同様に、マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)や通信・マルチメディア省の監督下に置かれることになる。DNBから各通信事業者への5G卸売価格は1ギガバイト(GB)あたり2セン未満に抑える。
政府は、今後3年以内に5Gの人口カバー率を80%にすることを目標として掲げている。昨年12月、財務省は、ネットワーク・ハードウェアやインフラを含む5Gの総コストを125億リンギと推定した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月17日、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、3月16日)

MRT3号線は30年に運行開始、KLで渋滞税の導入を検討

【クアラルンプール】 ウィー・カション運輸相は15日、下院議会の答弁で、首都圏大量高速輸送(MRT)3号線が2030年に全面運行を開始した後に、クアラルンプール(KL)市内の渋滞緩和を目的として道路課金を導入することを検討していると明らかにした。
ウィー大臣は、導入には、MRT3号線の全面運行と、市内において「完全な公共交通ネットワーク」が整備されていることが前提だと説明した。環境保護にも繋がることから、電気自動車(EV)への課金は免除する可能性があると言明。その上で、渋滞緩和のための課金は、世界の主要都市で導入されているものであると強調した。
MRT3号線は、全長51キロメートルの環状線で、MRT1号線やMRT2号線、軽量鉄道(LRT)、モノレールなど路線にも接続される。マハティール・モハマド政権時に大規模事業の見直しが行われ、計画は一時棚上げされたが、今年3月4日に内閣から承認を得た。第1期は2028年に運行を開始する。200万人の利用が見込まれている。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、3月16日、ベルナマ通信、フリー・マレーシア・トゥデー、3月15日)