日系ラーメン店、独自の罰金制度によりSNSで物議

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)の国際金融地区「トゥン・ラザク・エクスチェンジ(TRX)」のショッピングモール「エクスチェンジTRX」に出店している日系ラーメン店が、恣意的な罰金を店員に課していることがソーシャルメディアで明らかにされ、物議を醸している。

X(旧・ツイッター)の投稿によると、遅刻や無断欠勤などに加え、忙しい時間帯にトイレに行く、タイムカードの押し忘れ、オーダーミス、病気休暇などに対しても罰金が課されている。罰金額は30ー500リンギで、休暇中の店員を含め連帯責任とするとされている。

罰金リストが複数のソーシャルメディアで拡散されており、多くのネットユーザーが、「労働者の権利を侵害しており、労働法にも違反している」とし、関係当局に対処するよう求めた。スティーブン・シム人的資源相はこれを受け、雇用法第4章に違反しているため、店員に労働局へ訴え出るよう呼びかけている。一方、店舗側は社外秘のリストが公開されたとして警察に被害届を提出した模様だ。英字紙「ニュー・ストレーツ・タイムズ」は店舗経営者に本件の詳細について問い合わせを行ったが、回答は得られていないという。
(ハイプ、2月21日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、2月20日)

訪日中のザンブリー高等教育相、筑波大学を訪問

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 筑波大学は21日、訪日中のザンブリー・アブドル・カディル高等教育相およびマレーシアの高等教育機関の代表合計12人が20日に筑波大学を来訪したと発表した。

懇談会を実施し、9月に開校を予定している筑波大学マレーシア分校の説明や、マレーシア政府からの関心が高い筑波大学人工知能科学センターの紹介が行われた。また、筑波大学がマラッカ技術大学と取り組んでいる共同研究についても触れられ、同大学との連携強化に向けた意見交換が行われた。

懇談後、一行は筑波大学の計算科学研究センターを訪問し、スーパーコンピューター「シグナス」を視察した。筑波大学は、今後、マレーシアの高等教育機関との更なる連携が期待されるとしている。

春節に訪馬した中国人観光客数は50%増、ビザ免除効果で

【クアラルンプール】 マレーシア華人観光協会(MCTA)のポール・パウ会長によると、今年の春節期間中に中国からの観光客が前年比で50%増加し、10億ー15億リンギを国内で消費したと推定される。「星州日報」が18日に報じた。

パウ会長によると、2月5日以降、約5,000の団体による合計10万人以上の中国人観光客がマレーシアを訪れ、マレーシアは、中国人観光客の春節旅行先トップ5に入った。中国人観光客は、北部地域(ペナン州・ペラ州)、中部地域(クアラルンプール、パハン州、マラッカ州)、南部地域(ジョホール州およびシンガポール)のいずれかを観光することを好み、ダイビングができるサバ州も人気となった。2023年12月に実施された、中国人観光客のビザ免除が、観光客数の急増につながったという。

中国文化圏では辰年生まれの子どもが家に幸運と繁栄をもたらすと信じられていることから、今年マレーシアでの出産を望む親も多く、メディカルツーリズムも好調だ。特にジョホール州の産婦人科は地元民に加え、シンガポール人からも人気が高く、ほぼ満室状態となっている。同州のLYCヘルスケアでは出産パッケージの料金が5,000ー7,000シンガポール(S)ドル(1万7,704ー2万4,785リンギ)と、シンガポールでの出産費用(1万Sドル以上)より格安であるため、シンガポール人から人気を博しており、顧客の半分をシンガポール人が占めている。枠を確保するために妊娠前に予約を入れる母親さえいるという。
(ザ・スター電子版、2月20日、星州日報、2月18日)

UMWトヨタがカーボンニュートラル構想を発表、イベントも開催

【ペタリンジャヤ】 UMWトヨタ・モーター(UMWT)は20日、持続可能で環境に配慮した「ビヨンド・ゼロ」構想を発表した。トヨタ自動車が掲げる目標「2050年までにカーボンニュートラルを達成する」に沿ったもの。

クアラルンプール郊外ブキジャリルのテクノロジー・パーク・マレーシアにおいて、28日まで同構想を紹介するイベントを開催する。電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、バッテリー電気自動車(BEV)、燃料電池EVなど、さまざまな電動化技術を搭載したトヨタ車を展示する。

ラビンドラン・クルサミー社長は、トヨタでは目標達成に向け、各国でそれぞれの状況に応じた戦略を推進しており、全顧客が各自のニーズに合った適切な低炭素ソリューションを選択できるようになるべきだと考えていると述べた。

テンク・ザフルル投資貿易産業相は、持続可能なエネルギーへの転換は急務であるとし、トヨタのクリーンエネルギーにおける革新的な取り組みは、「エネルギー転換における地域のリーダーになる」というマレーシアの目標にも沿っていると述べた。

UMWTは、2009年以来4万1,600台のHEVを販売しており、二酸化炭素排出量約15万トンの削減につながっているという。
(ザ・スター電子版、フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、2月20日)

リンギ下落、「相場は経済の明るい展望を反映せず」=中銀総裁

【クアラルンプール】 リンギ相場がアジア通貨危機時に近い水準まで下落したことについて、中央銀行バンク・ネガラ(BNM)のアブドル・ラシード総裁は20日、マレーシア経済の先行き展望を反映していないとの声明を発表した。

アブドル・ラシード氏は、リンギはほかの域内通貨同様、外的要因で値下がりしていると指摘。要因として、米国の金利予想の変化への調整、地政学上の懸念、中国経済の先行き不透明を挙げた。国内の状況については、今年の経済は外需の改善と強固な内需が牽引すると説明した。

また「昨年第4四半期以降、輸出は確実に改善している。今年1月の輸出は増加に転じた。観光業も回復しており、今年の観光客の来訪はコロナ以前の2,600万人を上回る見込みだ」と述べた。

さらにアブドル・ラシード氏は、認可投資の実施で投資に弾みが付いており、こうしたことに加え、政府が進める構造改革、先進国で予想される利下げの動きを背景に、エコノミスト、アナリストはリンギ値上がりを予想していると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、2月21日、エッジ、マレーシアン・リザーブ、2月20日)

1米ドル=4.7956リンギ、リンギが通貨危機以来の低水準に

【クアラルンプール】 リンギ相場は20日、1米ドル=4.7956リンギと、1998年のアジア通貨危機時の4.8850リンギに迫る水準まで下落した。低迷を続ける中国経済がマレーシア経済の暗雲となっているためだ。20日の下落幅は0.2%で、今年に入ってからの下落幅は4%近く。過去3年、リンギは米ドルに対し値下がりしている。

当局は16日、昨年第4四半期の経済統計を発表したが、対中輸出の減少が響き経済成長はエコノミストの予想を下回った。製造業も不振が続いており、製造業の景況感を示す1月の購買担当者指数(PMI)は49と、17カ月連続で分岐点である50を下回った。

スタンダード・チャータード銀行のストラテジスト、ニコラス・チア氏は「米国との金利差が資金の国外流出と企業による米ドル蓄積をもたらし、リンギ下落圧力が強まった」とコメントした。

域内のほかの国の動きでは、タイ経済が「危機的状況」(スレッタ・タビシン同国首相)にありメイバンクは、タイ中央銀行は米国に先立ち利下げを開始する可能性があるとした。
(ザ・スター、2月21日、フリー・マレーシア・トゥデー、2月20日)

マイデジタルと東芝が協力契約を締結、ザヒド副首相も臨席

【東京】 2030年までのデジタル経済促進を図る青写真「マイデジタル」の実行主体であるマイデジタル・コーポレーションは、東芝デジタルソリューションズ(本社・神奈川県川崎市)との間で、ビッグデータ技術の応用に関する契約を締結した。アハマド・ザヒド副首相の日本公式訪問に合わせたもの。

契約締結式は東芝本社で行われ、ザヒド副首相と東芝の島田太郎社長CEO(最高経営責任者)が立ち会った。

ザヒド副首相は締結式のスピーチで、東芝とマイデジタルは、気象レーダーのデータを活用し、家畜管理や旅行・活動計画促進を行う実験プロジェクトに取り組むとし、マレーシアと日本の両国の組織が、個人情報を含まないオープンデータの活用で協力していくことを期待していると述べた。

ザヒド副首相は日本電気(NEC)本社ビルにも訪問し、「マレーシアのデジタル・スキルの発展に立ち会えることを楽しみにしている」と述べた。

NECのマレーシア現地法人NECマレーシアは2021年5月にジョホール州サンウェイ・シティ・イスカンダル・プテリにイノベーションセンター・オブ・エクセレンス(CoE)を開設しており、マイデジタルとの間でも2022年10月にデジタル・インフラ開発の促進および人材育成分野における協力に関して契約を締結している。
(ザ・スター電子版、マレー・メイル、ベルナマ通信、2月20日)

スマホ修理のセカンドライフアジア、タイ市場に参入

【クアラルンプール】 スマートフォン修理のセカンドライフアジアが、タイに参入する。ポーランドのソフトウエア開発会社アプアイデアとの合弁を通じた進出で、当初投資額は25万米ドル。

セカンドライフアジアの発表によると、年内に実店舗3カ所を開設する。「ガード・ジーニアス」の名称で修理・保守サービスを提供する。人工知能(AI)を活用した技術によるサービスで、保証期限の切れた商品も対象。

セカンドライフアジアは2019年の創業で、アップルの「iPhone」と「MacBook」に特化したサービスを提供している。アップルの認証を受けており、また中国系リアルミーの認定サービスセンターとしてIoT(モノのインターネット)製品なども修理している。

ジェローム・テー最高経営責任者(CEO)によれば、従来のスマホ修理サービスと異なり、機器の保守、保護を含む包括的サービスを提供しており、部品の再利用で廃棄物を減らすことにも貢献している。

機器の寿命を延ばすことで貴重な資源の消費抑制にも貢献しており、これまでに140万キログラム相当の二酸化炭素排出削減を実現したという。
(ソヤチンチャウ、2月19日、テクノード・グローバル、2月16日)

セランゴール州、2025年観光年で観光客700万人を誘致へ

【クアラルンプール】 セランゴール州政府は、「2025年セランゴール観光年」に合わせ、2025年に国内外観光客数700万人を目標に掲げ、エコツーリズムの振興に力を入れると明らかにした。

州地方政府・観光委員会のン・スーリム委員長は、観光業を含むサービス部門は2022年の国内総生産(GDP)の26.5%に貢献しており、セランゴール州への観光客数は、2023年には目標の500万人に対し、654万人となったと説明。2024年の観光客数は560万人と予想しており、国内観光客数が450万人、海外観光客数が110万人を占める予想だと述べた。セランゴール州内には、クアラルンプール国際空港(KLIA)やスバン空港があるため、地の利を活かして観光客の増加を図るという。

同氏はまた、エコツーリズムの強化に向け、州内北部、南部へのパッケージ旅行商品を提供していくとし、セランゴール州政府観光局とも協力し、国内外向けキャンペーンやセランゴールフェアを開催するなど、販売促進活動を積極的に行っていくとした。
(マレー・メイル、マレーシアン・リザーブ、2月19日)

日馬間ハラル貿易の大幅増加を予想=ハラル開発公社

【クアラルンプール】 投資貿易産業省(MITI)傘下のハラル開発公社(HDC)は、今年マレーシアと日本間のハラル(イスラムの戒律に則った)貿易が大幅に増加すると予想している。

HDCのカイルル・アズワン・ハルン会長は、ハラル製品への認識や受容の向上、政治的安定、有利な投資条件、ハラル・サプライチェーンの技術進歩、2025年の大阪・関西万博などが貿易の成長に寄与すると述べた。特に食品・飲料、化粧品、観光などの分野において、ハラルへの認識が高まっているとしている。

アズワン会長は、マレーシアの2022年の輸出総額は594.6億リンギで、そのうち日本へのハラル輸出は2018年以来最高額となる36億リンギに達したとし、今後の成長も見込まれると強調。また、大阪・関西万博はマレーシアのハラル専門知識を世界に紹介し、マレーシアと日本の貿易関係を強化する機会にもなるとした。

HDCでは、マレーシア企業、特に中小企業(SME)が両国間のハラル貿易の機会を活用できるよう支援している。マレーシア製品の日本への輸出を促進するのみではなく、マレーシアが世界のイスラム教徒市場(18億人規模)にアクセスするためのハラル拠点となることを目指すとしている。
(ザ・サン電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、2月19日)