ジョホール・シンガポール経済特区、実現可能性調査を実施へ

【シンガポール】 シンガポールを訪問したマレーシアのアンワル・イブラヒム首相と、シンガポールのリー・シェンロン首相は10月30日、共同で会見を開催。ジョホール・シンガポール経済特区(SEZ)の設立に向けて合意したとした上で、両国間のエコシステムの改善を図るため実現可能性調査を実施し、調査が終わり次第、来年初めにも覚書を締結すると明らかにした。

共同声明によると、イスカンダル・マレーシア合同閣僚委員会(JMCIM)が実現可能性調査を実施する。SEZでは国境を越えた物品や投資、人々の流れを改善し、両国の補完的な強みを活用して、経済の連結性を促進する。

アンワル首相は、来年初めの覚書締結に向けて、可能な限りプロセスを迅速化するとした。

SEZの設立は9月に発表されたもので、SEZ設立に向けて、特別タスクフォースが設立されていた。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、ザ・サン、10月31日、ベルナマ通信、マレー・メイル、マレーシアン・リザーブ、10月30日)

10月31日から日本に輸出促進ミッションを派遣、16社が参加

【クアラルンプール】 マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)は10月31日ー11月8日の日程で、起業家開発協同組合省、マレーシア中小企業開発銀行(SMEバンク)と、日本への輸出促進ミッションを共催する。

マレーシア中小企業の世界市場への進出を促進する活動の一環。11月3ー5日の日程で新宿中央公園水の広場で開催される「マレーシア・フェア2023」に合わせて実施するもので、マレーシア企業16社が参加し、東京と大阪を訪問する。

マレーシアのハラル(イスラムの戒律に則った)食品、飲料、ライフスタイル(ファッション)産業を紹介することに、主眼が置かれている。

MATRADEは、東京と大阪の事務所を通じて、「マレーシア・フェア2023」への参加、ビジネスセミナー、日本のバイヤーとの1対1のビジネスマッチングなど、マレーシアの参加企業向けの一連のプログラムをコーディネートする。またマレーシア企業が日本の市場や機会について学ぶために、日本アセアン・センターや大阪国際経済振興センター(IBPC)とも協力する。

MATRADEによると、日本はマレーシアにとって4番目に大きな貿易相手国であり、2022年の二国間貿易額は前年比21.2%増の1,815億1,000万リンギだった。マレーシアの対日輸出は前年比29.6%増の982億4,000万リンギとなった。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、10月27日)

ブリッジ、マレーシアのデジタルマーケ支援会社を完全子会社化

【クアラルンプール】 インサイドセールスや研修などの法人営業改革支援サービスを提供するブリッジインターナショナル(本社・東京都世田谷区)は、発行済株式の10%を取得しているTKインターナショナルの残り90%分の株式を追加取得し、10月1日付で同社を完全子会社化したと発表した。TKインターナショナルは商号を「ブリッジ・インターナショナル・アジア」に変更する。

TKインターナショナルは、2014年の創業以来、マレーシアを拠点に 東南アジア諸国連合(ASEAN)地域に進出する日系企業の販路開拓支援に向け、マーケティング支援やITサービス事業を展開している。顧客企業のASEAN事業モデルの構築期から事業展開・拡大期までを網羅的にカバーし、延べ100社以上の事業進出と成長をサポートしてきた。

法人営業部門のDX(デジタルトランスフォーメーション)化の波は世界各国に波及しており、「インサイドセールス事業」および「デジタルマーケティング事業」を取り巻く市場は、近年ASEAN地域でも急速に拡大している。ブリッジインターナショナルは今後、日本からASEAN地域に進出する企業や現地からマレーシア国内およびアジア・ASEAN地域に事業展開する多国籍企業向けに、ブリッジ・インターナショナル・アジアをサービス拠点とし、各事業による価値提供を一段と強化していく方針だ。

2軒目のハイアットプレイスホテル、来月ジョホールバルで開業

【クアラルンプール】 米ハイアットが展開する4つ星ホテル「ハイアット・プレイス」が来月ジョホール州ジョホールバルにオープンする。同ブランドではマレーシアで2軒目となる。

新ホテル名は「ハイアット・プレイス・ジョホールバル・パラダイム・モール」。パラダイム総合開発地区内に位置するショッピングモール「パラダイム・モール」内に位置する。客室数は202室。11月6日以降の宿泊の予約受け付けを開始している。

不動産コンサルタント会社KGVインターナショナル・プロパティ・コンサルタンツのタン・ウィーティアム調査・投資サービス責任者は、9月のジョホール・シンガポール経済特区(SEZ)の発表を受けての新ホテルの開業は時宜を得たものだとし、SEZは観光客やビジネス客の流入促進が期待できると分析。さらに、このホテルはシンガポールのウッドランズ国境検問所と高速道路セカンドリンクの間に位置し、立地にも恵まれていると述べた。

マレーシア初となる「ハイアット・プレイス」は9月にクアラルンプール郊外のブキジャリルで開業している。ホテル名は「ハイアット・プレイス・クアラルンプール・ブキジャリル」。ブキジャリルでは初の国際ブランドホテルとなり、14階建てで客室数は250室。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月30日、ハイアット発表資料)

マレーシアには政策実行を評価する手段が必要、世銀の松田専門官

【クアラルンプール】 世界銀行のカントリーマネジャー松田康彦氏は28日、青年経済フォーラムで、マレーシアが「マダニ経済政策」の目標を達成するには、政策を評価する手段が必要だと語った。

「マダニ経済政策」の「マダニ」とは、持続可能性、繁栄、革新、尊敬、信頼、思いやりのマレー語の頭文字から付けたアンワル政権の政策理念。

松田氏は「中小企業向けのプログラムは連邦、州政府の両方で101件あるが、これらの計画が目的を達成しているかを精査する手段を知らない」と述べた。

その上で、プログラムが実行されているかを確かめる作業が必要で、そのための唯一の方法は、実施状況をよく見て、その効果を評価することだと語った。

「マダニ経済政策=国民力の強化」の下、政府は10年以内に世界経済大国上位30位入りを目指す。

このほか、世界競争力指数で12位以内、国内総生産(GDP)比での従業員給与の割合を45%に引き上げ、女性の労働力参加を60%に引き上げ、健康、教育、生活水準の側面から国の発展度合いを測る人間開発指数で世界25位内、などの目標を掲げている。
(マレーシアン・リザーブ、10月28日)

サラワク州によるMASウイング株取得、3カ月以内に完了見込み

【クチン】 サラワク州政府系航空会社、ホーンビル・スカイウェイズは27日、マレーシア・アビエーション・グループ(MAG)との間で、MAG子会社である地域航空会社、MASウイングスの株式取得に向けて覚書を締結した。

調印式に立ち会った同州のアバン・ジョハリ首相は、買収はデューデリジェンスが完了してから3カ月以内に完了する必要があると言明。現在、サラワク州運輸局とMAGおよびカザナ・ホールディングスの間で詳細な協議が行われていると述べた。

アバン氏は、買収に関する協議が間もなく完了するとした上で、「我々はMASウイングスの過半数株の取得を望んでいるが、おそらくMAGも一部の株を望んでいるだろう」と言明。サラワク州が島部であるため、州政府には地域便と国際線の接続を良好にする必要があるとし、接続性の確保は同州の経済活動を支援するために重要だと指摘した。

またアバン氏は、現在、サラワク州の地域および国際航空路線には、マレーシア航空、ファイアフライ航空、エアアジア、スクート、バティック・エアが就航しているが、需要を満たすためには民間航空会社に依存することはできないと述べた。

サラワク州によるMASウイング買収については、今年7月20日に州政府と連邦政府の間で原則合意していた。
(ザ・スター、10月28日、マレー・メイル、10月27日)

パレスチナ支援集会、週末に各地で開催

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 パレスチナ・ガザ地区を実効支配するイスラム組織、ハマスとイスラエルの戦闘が続く中、パレスチナへの連帯を訴えイスラエル・米国を非難する集会が28、29日に全国各地で行われた。

28日には再びクアラルンプール(KL)で5,000人規模の抗議デモが開催され、KLシティ・センター(KLCC)のモスクから在マレーシア米国大使館までデモ行進を行った。イスラム原理主義野党、汎マレーシア・イスラム党(PAS)のハディ・アワン党首や統一プリブミ党(PPBM)のハムザ・ザイヌディン書記長が参加した。

パハン州ではクランタンのモスクに数千人が集まり、ワン・ロスディ・ワン・イスマイル州首相らがパレスチナ支持を訴える演説を行った。

サバ州では、パレスチナの人々を支援するためにパレスチナ人道平和基金に30万リンギを寄贈する集会がコタキナバルで行われ、1万人が集まった。
サラワク州では、クチン市内のスポーツ複合施設で「パレスチナとのサラワク連帯集会」が開催され、非ムスリムを含む2,500人余りが参加した。

ペラ州では、統一マレー国民組織(UMNO)青年団が40台のバイクで「パレスチナ連帯車列」を組織し、パレスチナ国旗を振りイスラエルの残虐行為を非難しながら、タパー、キャメロン・ハイランド、シンパン・プライなど約150キロメートルにわたって走行した。

29日には、マラッカ州クルボンのスタジアムで5,000人規模の集会が開催され、アブ・ラウフ・ユソー州首相も出席した。ネグリ・センビラン州やトレンガヌ州でも、パレスチナ連帯を謳った集会が開催された。

ペラ州新空港建設よりイポー空港拡張が現実的=運輸相

【イポー】 ペラ州政府が希望している新国際空港建設に関連し、アンソニー・ローク運輸相は、新空港建設には多くの時間と資源がかかると述べ、既存のイポー空港(スルタン・アズラン・シャー空港)を拡張する方が現実的との考えを示した。

自身が書記長を務める民主行動党(DAP)の州年次集会に出席するためにペラ州を訪問したローク氏は、ペラ州政府が以前、セリ・イスカンダルにおける新空港建設を提案していたのは事実だとした上で、新空港の建設には国家計画評議会から承認を得るなど長い時間と資源が必要とされると指摘。「 今なすべきことは、観光産業のためにイポー空港を改良する方法を見つけることだ」と述べ、新空港計画には否定的な考えを示した。

その上でローク氏は、現政権はイポー空港の拡張に照準を合わせており、マレーシア・エアポーツ・ホールディングス(MAHB)と協議すると言明。MAHBに対して、イポー空港を改善するだけでなく、拡張し規模を拡大する必要があると伝えたと述べた。

同州セリ・イスカンダルに新国際空港を建設する計画については、サアラニ・モハマド州首相が先ごろ、運輸省(MOT)と財務省(MOF)の承認を待っていると述べていた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、ベルナマ通信、10月29日)

「シェイクシャック」1号店、エクスチェンジTRXにオープンへ

【クアラルンプール】 米国のハンバーガーチェーン「シェイクシャック」のマレーシア1号店が、クアラルンプール(KL)の国際金融地区「トゥン・ラザク・エクスチェンジ(TRX)」のショッピングモール「エクスチェンジTRX」内にオープンする。

「シェイクシャック」のマレーシア進出計画については2022年1月に発表されていたが、具体的な出店場所については明らかにされていなかった。「エクスチェンジTRX」は現在建設中で、11月29日開業の予定。

「シェイクシャック」は、クラシックなハンバーガーをモダンにアレンジして提供するのが特徴で、高級食材を使用し、作り置きせずに注文を受けてから調理する。マレーシア1号店では、代表メニューのシャックバーガー、チキンをサンドしたチキンシャック、肉を使わないシュルームバーガー、ポテトのクリンクルカットフライ、シェイク、アイスデザートのシャックアタックコンクリートなどに加え、マレーシア限定メニューも提供する。

「シェイクシャック」は米国内で305店舗、米国外でロンドン、香港、上海、シンガポール、メキシコシティ、イスタンブール、ドバイ、東京、ソウルなどに165店舗以上を展開しており、マレーシアでは、韓国とシンガポールで「シェイクシャック」チェーンを展開している韓国SPCグループが共同運営する。2031年までに韓国、シンガポール、マレーシアの3カ国で合計45店舗に増やす計画だ。
(ソヤチンチャウ、マレー・メイル、10月26日)

バティックエア、年内に航空機3機を追加購入

【クアラルンプール】 航空会社バティック・エア(旧称・マリンド・エア)は、路線拡大に向け、年内に3機の航空機を追加すると明らかにした。追加するのは、ボーイング「B737-8MAX」型機1機とエアバス「A330」型機2機。

親会社ライオン・グループの戦略ディレクターであるチャンドラン・ラマ・ムティ氏は、現在、バティック・エアではボーイング「B737-8MAX」型機16機、同「B737-800」型機10機、エアバス「A330」型機2機、またスルタン・アブドル・アジズ・シャー空港(スバン空港)で小型機であるATR「72-600」型機7機を運航しているが、アジア太平洋地域の国際路線拡大に向け、機材の追加が必要だと述べた。機材は中古市場で調達しているため、サプライチェーンの問題による遅延の影響は受けないとしている。

チャンドラン氏はまた、スバン空港の再開発に伴いATR機の運航を縮小する予定だとし、スバン空港でのジェット機使用許可が下り次第、より多くのジェット機を導入する準備ができていると述べた。クアラルンプール国際空港(KLIA)近くに独自の航空機保守、修理、オーバーホール(MRO)センターを設立することも検討しており、空港運営のマレーシア・エアポーツ(MAHB)との間で協議中だとしている。

バティック・エアの機内食についてチャンドラン氏は、自社で調理し、ポス・アビエーションの協力を得て配送を行っているとし、最近、(原文になかったので削除)敷地面積0.81ヘクタール(ha)の厨房施設の拡張に向け、ネグリ・センビラン州セレンバンのバンダル・エンステック地区で1.62haの土地を購入したと述べた。2年以内に新施設の運営を開始する予定。施設拡張後には他航空会社に機内食サービスを提供する計画もあるという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月27日)