イポー市が固形廃棄物を100%再利用へ、アジア都市としては初

【イポー】 イポー市は、廃棄物を100%リサイクルするサーモウェイスト・システムを導入する。アジアの都市では初の試みとなるという。

イポー市議会は、同システムを運営するサーモウェイスト・マンキューソ・エナジーおよびごみ収集のセレクタ・スペクトラとの間で、17日付けで覚書を締結した。

ルマイジ・バハリン市長は声明で、サーモウェイスト・システムでは、固形廃棄物を30分間殺菌・洗浄し、熱、蒸気、圧力を加えるため、事前のごみ分別が必要なくなると説明。その後バイオマス、プラスチック、金属、不活性廃棄物の4種類に分別し、バイオマスは産業向け石炭の代替燃料として販売されるとした。固形廃棄物すべてがリサイクルされるため、広大なごみ埋立地の必要がなくなるという。
(ザ・サン、10月19日、マレーシアン・リザーブ、ベルナマ通信、10月18日)

IFP、3DCADのプラントストリームと提携で設計効率化へ

【クアラルンプール】 石油・ガス(O&G)エンジニアリングのIFPエンジニアリング・コンサルタンシー(IFP)は、3次元(3D)CADツール「プラントストリーム」を提供するプラントストリーム社(本社・東京都品川区)との間で、提携契約を締結した。

「プラントストリーム」とIFPの統合エンジニアリング・サービスを組み合わせ、効率的な3Dモデリングおよび設計サービスを世界市場に提供することを目指す。「プラントストリーム」は、初期段階の設計プロセスを高速化・高度化できるのが特徴で、設計期間を60%以上短縮でき、配管設計において高品質な自動配管ルーティングが可能となる。

IFPの会長であり、マレーシア石油ガス工学評議会(MOGEC)の会長でもあるアブドル・ラシッド氏は、今回の提携により、IFPは、日本国外でプラントストリームを活用したサービスを提供する最初の企業となるとし、デジタル技術と機械学習を活用することで、業界が直面している課題を克服できると信じていると述べた。

プラントストリームの愛徳誓太郎 代表取締役最高経営責任者(CEO)は、IFPと協業することで、東南アジアおよび世界のより多くの顧客に迅速かつ効率的な3Dモデリングサービスを提供できるようになるとし、革新的なエンジニアリングおよび高い効率性を促進していくと述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、10月18日)

9月の輸出高は1244.8億リンギ、前年比13.7%減少

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア外国貿易開発公社(MATRADE)の発表(速報値)によると、2023年9月の輸出高は1,244.8億リンギとなり、前年同月から13.7%減少したが、前月からは8.2%増加した。

輸入高は999.5億リンギで、前年同月比で11.1%マイナスとなったが、前月比では2.1%のプラスとなった。貿易高は2,244.3億リンギとなり、前年同月からは12.6%減、前月からは5.4%増。貿易黒字は前年同月比23.0%減少、前月比42.7%増加の245.2億リンギとなり、41カ月連続で黒字を維持した。

輸出先を国・地域別で見ると、シンガポールがトップとなり、2ー5位は中国、米国、香港、日本の順となった。日本への輸出額は73.5億リンギで、前年同月比マイナス25.4%となった。液化天然ガス(LNG)や精油製品、電気・電子(E&E)が減少したことが響いた。シンガポール向けの輸出も前年同月比で12.0%減少。2位の中国と3位の米国はそれぞれ17.3%、9.3%マイナスとなった。品目別ではE&Eが544.0億リンギで最も多く、これに精油製品、パーム農産物の順となった。

輸入先は中国がトップで、これにシンガポール、米国、台湾、日本の順となった。日本は前年同月比21.0%マイナスの56.0億リンギ。品目別では、E&Eが310.8億リンギで最も多く、2位は精油製品、3位は化学製品だった。

1ー9月の輸出高は1兆595.6億リンギで、前年同期比で8.4%減少した。輸入は8,822.4億リンギとなり、8.9%のマイナス。貿易額全体は1兆9,418.1億リンギで、8.6%減少し、貿易収支は1,773.2億リンギの黒字となり、5.7%のマイナスとなった。

グローバル年金指数ランキング、マレーシアは前年から低下

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 組織・人事マネジメント・コンサルティングの米マーサーは、CFA協会と共同で、「第15回マーサーCFA協会グローバル年金指数(MCGPI)」 を発表。マレーシアの年金制度に対する指数は56.0と前年から低下し、CプラスからCに格下げされた。

マーサーによると、今回の結果はマレーシアにとり2017年以来最悪の結果で、純所得代替率が大幅に低下したことが主な原因と考えられるという。アジアではマレーシアと香港(指数64.0、格付けCプラス)のみが前年よりも低下した。

首位はオランダ(85.0、A)、2位はアイスランド(83.5、A)、3位はデンマーク(81.3、A)だった。東南アジアでのトップはシンガポール(76.3、Bプラス)。日本は指数56.3で格付けCという結果となった。

グローバル年金指数は、世界各国の年金制度の弱点を浮き彫りにし、より充実した、持続可能な年金給付を提供するために改革すべき領域を示したもの。2023年度は、全世界の47の退職所得制度を比較し、世界人口の65%をカバーしている。各国の制度の総合指数は、「十分性」、「持続性」、「健全性」に大別される50以上の項目から構成され、これら3つのサブ指数を加重平均して算出している。

独系物流企業DHLサプライチェーン、1.3億ユーロを投資

【バヤンレパス】 独系物流企業DHLサプライチェーンは、マレーシアに1億3,100万ユーロ(約6億5,107万リンギ)の投資を行う計画を明らかにした。

同社の東南アジアへの投資額としては最大となる。近隣国に対しては、シンガポールに1億400万ユーロ、フィリピンに8,000万ユーロ、インドネシアに3,500万ユーロを投じる計画で、投資総額は3億5,000万ユーロとなる見込み。

具体的には、ペナンに2カ所、クアラルンプールに1カ所、ジョホールバルに1カ所、新施設を設置し、倉庫容量を現状の21万7,300平方メートルから11万3,000平方メートル増加させる。ペナン州バヤンレパスに建設中のペナン・ロジスティクス・ハブ5(PLH5)に高度なオートメーション設備も導入する。PLH5は2024年に完成予定。クアラルンプールにも5G網などに接続したコントロールタワーを建設予定で、標準化・集中化された輸送サービスの提供を目指す。また、最新の自動パレット保管・検索システム、ロボット技術などのデジタル化への投資も継続し、デジタル化・自動化の推進により、2024年までに450人の雇用を創出する見込み。

DHLサプライチェーン東南アジアのアンドリース・レティーフ最高経営責任者(CEO)は、東南アジアにおける倉庫容量や労働力を増加させ、持続可能性への取り組みを拡大するため、今後5年間で投資を行っていくと説明。サプライチェーンの世界的な再編成が進んでおり、マレーシアでは特に製造業においてその恩恵を受けるとし、数多くの自由貿易協定に参加しているマレーシアは、調達先の多様化を目指す企業にとって魅力的な選択肢となっていると述べた。
(エッジ、10月17日)

デジタルデザイン会社フォーデジット、KLに子会社設立

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 デジタルデザインのフォーデジット(本社・東京都港区)は18日、クアラルンプール(KL)に子会社フォーデジット・マレーシアを設立したと発表した。同社にとり、バンコク、ホーチミンに続く、3カ所目の海外拠点となる。

フォーデジット・グループがデジタルデザイン業界で培った20年以上の経験と実績を基盤に、日本・東京本社と各拠点が連携することで、急成長する東南アジアのデジタルデザイン市場でデザインの価値を提供していく。同社の執行役員・クリエイティブディレクターとして、アジア各国でのプロジェクトリード・クリエイティブ・人材育成に従事してきた横山太志氏が、フォーデジット・マレーシアの代表取締役最高経営責任者(CEO)に就任した。

フォーデジット・マレーシア設立に伴い、クアラルンプールに拠点を置く、ウェブおよびモバイルアプリ開発のスナッピーモブ社との間で資本業務提携契約も締結した。マレーシア市場におけるデジタルデザインのニーズ把握に加え、スナッピーモブの開発力とフォーデジットのデザイン力、両者の強みを活かして一貫したサービス提供が可能となるという。プロジェクト規模やデリバリー範囲も拡大し、価値創造の可能性が広がることが期待できるとしている。

興亜電工、マラッカ新工場開設に向け10億リンギを追加投資

【クアラルンプール】 電子部品のKOA(本社・長野県上伊那郡)の現地法人興亜電工(マレーシア)は、マラッカ州での新工場設立に向け10億リンギを追加投資することを明らかにした。同社は2022年12月に「7億5,000万リンギを投じ、同州アイル・ケローに新工場を建設する」と発表していた。

新工場の起工式に出席したマラッカ州のアブドル・ラウフ・ユソー首相は、新工場はアイル・ケロー・エコパーク内の8.37ヘクタールの土地に建設され、2025年に完成予定で、950人の雇用機会を創出する見込みだと述べた。興亜電工の製品は自動車、産業機器、電気通信分野などのグローバル・メーカーに供給されており、2028年末までにチップ抵抗器の月産82億個を達成し、雇用機会は1,820人まで増加するとしている。興亜電工は、州内の技術職業教育訓練(TVET)機関と協力し、技術訓練を行い、卒業生への雇用機会も提供しているという。
(エッジ、ベルナマ通信、10月17日)

ICTとEコマース、昨年のGDPへの寄与率は23%=統計局

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 統計局は、2022年の情報通信技術(ICT)および電子商取引(Eコマース)に係るサテライト勘定を発表した。ICTとEコマースの国内総生産(GDP)への寄与率は23.0%で、金額にして4,123億リンギとなり、前年の3,593億リンギを上回った。

ICT産業の粗付加価値(GVAICT)は、2,437億リンギとなり前年比で12.4%増加した。内訳は、ICTサービスが41.9%、ICT製造が38.4%、ICT貿易が14.0%、コンテンツ・メディアが5.7%となった。

EコマースのGVAICTは2,391億リンギで前年比18.9%増加した。GDPへの寄与率は13.3%だった。

ICT製品の輸出高は4,445億リンギとなり、前年から24.9%増加し、輸入高は3,088億リンギとなり18.5%増となった。

ICT産業の雇用者数は122万人で、前年比1.0%増加し、国内全体の7.9%を占めた。内訳はICT製造が36.1%、ICTサービスが29.3%、ICT貿易が21.7%となった。

格付のMARC、来年のマレーシア経済成長を4ー5%と予想

【クアラルンプール】 格付会社のマレーシア・レーティング・コーポレーション(MARC)は、2024年のマレーシア国内総生産(GDP)について、4.2%成長すると予想される(今年は1.4%と予想)製造業が牽引役となって4ー5%成長するとの予想を示した。

MARCは、政府が今年発表した、化学産業ロードマップ(CIR2030)、国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)、新産業マスタープラン(NIMP2030)などの経済計画と並行して、産業空洞化への懸念の中にあって、2024年度予算案では高成長・高価値 (HGHV) 分野のさらなる開発を目指していると指摘。再投資に対する税制優遇措置、投資家向けのビザ自由化計画、技術・職業教育と訓練に対する産業界の理解促進、電気・電子製品向けの新たなハイテク産業集積地域の開発などの取り組みにより、HGHV化実現への期待が高まるだろうと述べた。

またMARCは、開発目標と同時にマレーシア政府が自動化促進のための税制優遇措置の拡大、テクノロジーを活用した外国人労働者への依存軽減の奨励、起業家育成、人的資本の向上、インフラ投資を通じた実質生産性の向上に引き続き取り組んでいると指摘した。
(ベルナマ通信、10月16日)

糖尿病対策で砂糖税を10セン引き上げ、来年度予算案

【クアラルンプール】 アンワル・イブラヒム首相は13日に発表した2024年度予算案で、砂糖入り飲料に課す物品税(砂糖税)を1リットルあたり40センから50センに10セン引き上げると述べた。

砂糖税は2019年より導入されているが、現在も砂糖の摂りすぎが糖尿病や肥満などの原因になっているため、課税を強化した。砂糖税で得られた収入は、透析センターへの支援など、糖尿病対策や治療のために用いられるとしている。
発表を受け医療専門家は、一定の評価はできるとする一方、政府に対しさらに踏み込んだ対策を求めている。

マレーシア医師会(MMA)のアジザン・アブドル・アジズ会長は声明で、砂糖税の引き上げは、砂糖の大量消費を抑制するための第一歩となるが、政府はそれに加え、不健康なライフスタイルから引き起こされる慢性疾患の増加に対して包括的に取り組み、政策を通じて健康的なライフスタイルを奨励すべきだと述べた。

独立系シンクタンク、ガレン健康・社会政策センターのアズルル・モハマド・カリブ最高責任者も同意見で、砂糖税で得られた収入は、病気の治療ではなく予防に集中的に振り向けられるべきだとしている。

リー・ブンチェ元副保健相は、健康的な生活習慣を国民に教育する必要性を強調。課税による価格上昇で砂糖入り缶飲料の摂取を控えるようになっても、ビスケットなどのお菓子やテー・タレ(甘いミルクティー)に切り替えるようならば効果が台無しになるとし、保健省が地方自治体の診療所や住民団体と協力し、国民の健康状態を把握する取り組みを行うことを提案した。保健所の指導のもと、ライフスタイルの修正を提案できるようになるとしている。
(マレー・メイル、10月14日、13日、フリー・マレーシア・トゥデー、9月21日)