キャッシュレス決済の利用率が減少傾向、実店舗利用増で

【クアラルンプール】 国際マーケティング会社の仏系イプソスが実施した調査によると、 パンデミック後、マレーシアにおけるキャッシュレス決済の利用率は51%まで減少した。実店舗の利用が増加したことで現金支払いが再び好まれる傾向にあるという。

同調査は2023年10-12月に18ー74歳のマレーシア人1,015人を対象に実施されたもの。キャッシュレス決済は、イーウォレット、オンラインバンキング、デビットカード・クレジットカード支払いなどのことで、パンデミック最盛期には最も多く利用されていた決済手法だったが、今回減少が見られた。

キャッシュレス決済の中ではオンラインバンキングとデビットカードが、それぞれ35%と同率で首位、次いでイーウォレットが26%と続き、クレジットカードは最も低い9%だった。

年齢層別に見ると、オンラインバンキングを最も利用しているのは、25ー34歳の45%。次いで、35ー44歳(40%)、18ー24歳(39%)、45ー74歳(23%)が続いた。イーウォレットも、25ー34歳が34%と最も利用しており、次いで、18ー24歳(30%)、35ー44歳(27%)、45ー74歳(19%)が続いた。45ー74歳の利用率は、オンラインバンキングで前年比1%、イーウォレットで同3%それぞれ増加した。

利用イーウォレット数は過去3年間、約1.8個で安定しており、最もよく利用されているのはタッチアンドゴー(88%)だった。次点はメイバンク専用アプリ「MAE」だった。イーウォレットは、高速道路などの通行料、駐車場料金、その他交通機関利用料金の支払いに使われることが最も多く(55%)、次いで飲食店(51%)、食品配達(43%)が続いた。
(マレー・メイル、1月15日、イプソス発表資料)

昨年の外国人証券投資、213億リンギの買い越し

【クアラルンプール】 シンガポール系UOB(大華銀行)の調査部門によると、マレーシアに対する昨年の海外投資家の証券投資は213億リンギの買い越しだった。前年は55億リンギの売り越しだった。

昨年12月の外国人投資は19億リンギの売り越しで、11月の買い越し(69億リンギ)から反転した。

UOBは、資金の流れは引き続き短期的な市場変動、特に米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げの可能性に対する市場の反応に左右されると分析した。
また中東での緊張、および複数の主要国・地域における選挙が世界・域内市場の変動要因になるという。

一方で、マレーシアを含む新興市場は、経済のファンダメンタルズが健全で、インフレ緩和の機運があり、また米ドルが値下がりする見通しであることから、大量の資金流出を免れるという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、1月10日、エッジ、1月9日)

今年もIPO市場は活況、楽天トレードは15件以上を予想

【クアラルンプール】 昨年の新規株式公開(IPO)は32件で、調達された資金の総額は26億リンギに上った。アーンスト・アンド・ヤング(EY)の「2023年世界IPOトレンド報告」によれば、マレーシアのIPOは件数で5年間の平均を21%上回り、調達した資金も25%上回った。

オンライン証券、楽天トレードのトン・パクレン副社長(調査部門)によれば、コロナ後の事業活動の回復でIPOを目指す企業が急増する見通しで、今年はテクノロジー、医療、建設を中心に15件以上が見込めると指摘。米国で利下げが行われるため、資金がアジア太平洋地域に還流し、マレーシアも恩恵に浴するとの見解を示した。

ファンド運営会社トレードビューのタン・チェンウェン副社長もIPO市況を楽観しており、証券委員会(SC)とブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)のホームページに掲載された目論見書仮開示から見ると、20件のIPOが計画されており、計15億リンギの資金調達になる見通しだとした。

バンク・ムアマラット・マレーシアのモハメド・アフザニザム主任エコノミストは、世界の中央銀行が金融緩和に乗り出すと証券市場は活況が期待できると指摘した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、1月8日)

リンギ相場は回復する、スタンチャート予想

【クアラルンプール】 金融大手の英系スタンダード・チャータード・バンク(スタンチャート)は、一次産品価格の上昇と緩やかながらも回復している観光業がマレーシア・リンギのパフォーマンス改善に貢献するとの見方を示した。

スタンチャートは、旅行収支(外国人旅行者のマレーシアでの消費からマレーシア人旅行者の海外での消費を引いたもの)の拡大には国内総生産(GDP)を1%押し上げる潜在力があると指摘。貿易黒字は減少傾向にあるものの銀行の預金残高に占める米ドル預金の割合が過去最高の10%に達していることを挙げ、「貿易収支の傾向と一致しない比率であり、外為相場の変動の影響を受けやすい」と分析した。

スタンチャートはまた、インドネシア・ルピアとフィリピン・ペソについても分析。今年は一次産品価格の上昇が見込まれるため、ルピアは値上がりが予想されるが、ペソは値下がりが予想されるとした。スタンチャートはペソ下落の根拠として、フィリピン中央銀行が政策金利を1ポイント引き下げると予想されることと、一次産品価格の上昇が貿易収支に与えるマイナス影響を挙げた。
(エッジ、1月4日)

2024年は経済転換の“離陸”の年、メイバンク投資銀観測

【クアラルンプール】  マラヤン・バンキング(メイバンク)の投資銀行部門、メイバンク・インベストメント・バンクは、今年は昨年発表された各種基本計画や行程表、立法措置に盛り込まれた中・長期的経済転換の“離陸”」の年になるとの見通しを示した。経済成長率は4.4%が見込めるという。

昨年発表・制定されたのは、「マダニ経済基本計画」、「新工業化マスタープラン(NIMP2030)」、「第12次マレーシア計画(12MP)」の中間見直し、「水素経済・技術ロードマップ(HETR)」、「財政責任法 (FRA) 」、「エネルギー効率・保護法(EECA)」などで、メイバンク投資銀は、財政改革と経済再構築が重要なテーマになるとした。

財政改革の重要点は的を絞った燃料補助への移行だ。経済再構築の柱は漸進的賃金制度(PWP)。PWPとは、スキルと生産性の向上に応じて労働者の賃金を引き上げる施策で、低所得労働者を対象とした実質的な最低賃金モデルとなっている。
物価についてメイバンク投資銀は、政府は補助金削減を段階的に進めるため、消費者物価指数上昇率は昨年の2.6%に対し3.0%と、大幅な加速は抑えられるとした。

インフレが抑制的とみられることから、中央銀行バンク・ネガラは政策金利を1年を通じ3.0%に据え置く見通しで、先進工業国では利下げが予想されるため、対米ドルでのリンギ相場にはプラスだという。
(マレー・メイル、ベルナマ、1月2日)

2023年の交通事故数は60万件、死亡事故は1.2万件

【クアラルンプール】 マレーシア警察によると、2023年の交通事故数は59万8,635件で、そのうち死亡事故は1万2,417件だった。

死亡事故以外の重大事故は2,331件、軽微な事故が2万8,511件で、残りは車両のみの物損事故だった。

州・地域別に見ると、交通事故発生件数はセランゴール州が17万3,129件と最多で、これに▽ジョホール州(8万7,370件)▽クアラルンプール(7万2,701件)ーーが続いた。セランゴール州は交通事故死者数でもワーストの2,092人。これにジョホール州の2,010人、ペラ州の1,321人が続いた。
(ポールタン、1月3日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ベルナマ通信、1月1日)

2022年時点で109万事業所が営業=統計局

【クアラルンプール】 統計局は12月29日、2022年時点での国内総事業所数が120万事業所に達したと発表した。

2022年時点での稼働状況を2023年4ー9月に調査した「2023年経済センサス」によるもの。全事業所の86.6%にあたる109万事業所が営業中で、4.9%が営業を停止しており、8.5%が非営業状態だった。

営業中の109万事業所のうち、サービス業が87.1%(94万9,360事業所)を占めた。次いで▽建設業が6.5%(7万1,165事業所)▽製造業が5%(5万4,484事業所)▽農業が1.2%(1万3,271事業所)▽鉱業・採石業が0.1%(1,350事業所)ーーと続いた。

サービス業では、卸売・小売業が47.0%と最も多く、次いで飲食業(14.4%)、個人サービスその他(6.8%)となった。建設業では、特殊請負が36.5%と最多で、土木(22.7%)、非住宅(22.4%)がこれに続いた。製造業では、非金属鉱物製品・基礎金属・加工製品が19.0%と最も多く、次いで木製品・家具・紙製品・印刷物(17.9%)、食料品(17%)だった。農業部門では、農作物が69.8%と最多で、次いで畜産が15.1%、水産が10%となっている。

州・地域別では、セランゴールが25.3%でトップ。次いでクアラルンプール(13.8%)、ジョホール(11.4%)が続いた。
(ザ・サン、1月2日、ザ・スター、ベルナマ通信、12月29日)

アンワル首相のマダニ経済政策、82%が支持=UUM世論調査

【クアラルンプール】 マレーシア北部大学(UUM)が実施したアンワル・イブラヒム首相の「マダニ経済対策」に関する世論調査で、回答者の82%が30項目にわたるマダニ経済イニシアチブを支持していることが分かった。

「マダニ経済への取り組み:国民の受け入れ」と題する調査は、UUMが2つの非政府組織と協力して11月1日から12月4日まで行ったもので、登録有権者2,147万3,409人から無作為に選ばれた4,606人から回答が得られた。マダニ経済政策の方向性についても、83%が「支持する」と回答。アンワル首相の業績についても66%が「満足している」と答えた。

マダニ政策の中では、特に貧困層を支援する取り組みが最も多くの支持を集めた。パディベラス・ナショナル(ベルナス)に対し貧しいコメ農家に総額6,000万リンギを支援させることについては、96%が「支持する」と回答。「支持しない」は2%のみだった。極貧撲滅のためのイニシアチブについても、93%が「支持する」と回答。すでに 「慈悲(ラーマ)」一時金支給を受けている極貧世帯への上乗せ支援についても、93%が「支持する」と答えた。

また透明性と責任ある経済政策を目指すための財政・財政責任法案の導入については、94%が「支持する」と回答。腐敗行為を生み出す可能性のあるあらゆる隙間を排除するための制度改革と優れた統治を実施する取り組みに対しては、93%が「支持する」と答えた。
(マレー・メイル、エッジ、ベルナマ通信、12月8日)

第3四半期のデータ漏洩数、マレーシアはワースト8位=調査

【クアラルンプール】 サイバーセキュリティのオランダ企業サーフシャークは、「2023年第3四半期データ漏洩統計」を発表。マレーシアは、今年第3四半期に49万4,699件の個人データが流出し、世界ワースト8位となった。

同統計は、今年7ー9月に200以上の国・地域で発生したデータ漏洩を対象としており、公開データベース2万9,000件から情報を収集し、匿名化の上、統計分析したもの。

同社は声明で、マレーシアの情報漏洩件数は前期比144%増と急増し、1分あたり4件の個人情報が流出したことになるとし、また、流出密度(総漏洩数を人口で割った値)においても、1日あたり約5,436件と、ワースト5位となったと述べた。世界全体では、3,150万件の情報が流出した。ワースト1位は米国で810万件となった。次いで、2位はロシア(710万件)、3位はフランス(160万件)、4位は中国(140万件)、5位はメキシコ(120万件)だった。

サーフシャークのアグネスカ・サブロフスカヤ主任研究者は、今年第3四半期は、データ流出件数が全般的に減少しているが、毎分240件以上の個人情報が流出しているため、アカウントは日々管理し、またセキュリティ強化に向け2要素認証を導入するなどの対策を行うことを推奨すると述べた。また、万が一アカウントがハッキングされた場合には、パスワードの変更や銀行への連絡(クレジットカード情報が漏洩した場合)、端末のウイルスチェックを行い、流出したアカウントは削除することを勧めるとしている。
(ザ・スター電子版、12月6日、サーフシャーク発表資料)

1ー9月の投資認可額は6.6%増の2250億リンギ=MIDA

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア投資開発庁(MIDA)は6日、2023年1ー9月の累計投資認可額が前年同期から6.6%増の2,250億リンギとなったと明らかにした。これにより8万9,495人分の雇用が創出される見通しだ。

外国直接投資(FDI)が全体の55.9%に当たる1,257億リンギとなった。オランダが350億リンギでトップとなり、これに▽シンガポール(204億リンギ)▽米国(189億リンギ)▽ 中国(116億リンギ)▽日本(112億リンギ)ーーと続いた。一方、国内投資(DDI)は44.1%に当たる993億リンギだった。

州・地域別ではクアラルンプール(KL)が489億リンギで最も多く、以下は、▽ペナン州(449億リンギ)▽セランゴール州(416億リンギ)▽ケダ州(226億リンギ)▽ジョホール州(200億リンギ)ーーと続いた。

投資案件はサービス業、製造、一次産業の合計で3,949件に上った。セクター別ではサービス業が全体の52.3%に当たる1,177億リンギで最多。製造業が44.4%に当たる998億リンギ、一次産業が3.3%に当たる75億リンギとなった。