経済先行き懸念を反映、個人の普通預金額が急増

【クアラルンプール】 新型コロナウイルス「Covid-19」の経済に与える影響を懸念して消費を貯蓄に回す傾向が強まっており、個人の銀行預金額が急増している。
中央銀行バンク・ネガラの月次報告によると、3月の個人の普通預金額は前月比63.7億リンギ増の1,700.3億リンギに、4月は同95.7億リンギ増の1,796億リンギにそれぞれ大幅増加した。4月の預金額は前年同月の1,533億リンギとの比較では17%も増加した。
ただし定期預金については変動が大きく、3月は11.3億リンギ減少したが、4月は16億リンギ増加して4,976億リンギとなった。
中銀が預金増加の理由について説明していないものの、「ザ・スター」は行動制限令(MCO)による休業と今後の投資機会に向けた資金を確保するために貯蓄を増やした、あるいは金銭的に余裕のある人たちが経済的な将来的懸念から貯蓄に走った可能性があるとしている。
統計局が4月に実施した消費に関する調査によると、平均世帯消費額は2,813リンギとなり、従来の6,317リンギから55%減少。40%を占める中間所得者層(M40)は48%、下位20%の低所得者層は41%それぞれ消費を減らしたが、上位20%の高所得者層(T20)は60%も消費を切り詰めた。
(ザ・スター、6月26日)

新型コロナ感染者が新たに6人、4日連続で1桁を維持

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は26日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から6人増えて8,606人になったと発表した。4日連続で1桁を維持した。

新規感染者のうち5人は海外で感染した帰国者。4人がマレーシア人で、残り1人は就労目的で入国を許可された外国人だった。唯一の国内感染者は、職場感染したマレーシア人だった。また新たに23人が退院し回復者数は8,294人に増加した。死者数は13日連続でゼロだった。

1日当たりのPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査能力について、保健省のノール・ヒシャム事務次官は25日、行動制限令(MCO)が施行された3月18日と比較して6倍になったと明らかにした。

MCO発令から100日目である同日時点の検査能力は3万6,812件(3月時点は6,210件)。病床数は6,397床(同4,433床)、集中治療室(ICU)は442室(同273室)となった。入院中の感染者が208人に減少したため、多くの病床が他の患者向けに利用できるようになったという。なお死亡率については、3月の1.67%から1.4%に減少した。

MCO施行期間において最も入院中感染者が多かったのは、2,596人を記録した4月5日。同日時点のPCR検査能力は2万7,233件だった。

LRTクラナジャヤ線、新たに4両27編成の車両導入へ

【ペタリンジャヤ】 公共輸送機関を管轄する国営企業プラサラナ・マレーシアは、軽便鉄道(LRT)クラナジャヤ線の通勤者の利用増加を見込んでおり、4両27編成の車両を導入する。
タジュディン・アブドル・ラーマン会長によると、調達にかかるのは17億リンギの見込み。すでに2編成は納車済みで、残りはセランゴール州クラン港のウエスト・ポーツの敷地内で組み立てられており、2023年までに段階的に納車される予定だ。車両を増やすことで、通勤、帰宅ラッシュの乗車定員を増やし、運行頻度も平均2.5分を維持する。
クラナジャヤ線は現在、2両35編成を含む84編成の車両を使って運行しており、毎日30万人以上の通勤者が利用している。2両編成の車両の乗車定員は200人以上だが、4両編成とすることで900人以上に増加する。
プラサラナは、車両数を増やすことで、通勤者数を毎年7%増加させる目標を達成させたい考えだ。また車両の調達を輸入に依存するのではなく、製造に関わるローカルスタッフのスキル向上のためにスタッフを海外研修に送る計画もあるという。
(ザ・サン、6月26日)

ボルネオ島初のバーチャルリアリティ・テーマパークが開園

【コタサマラハン=マレーシアBIZナビ】 石油ガス関連エンジニアリングのセルバ・ダイナミックは24日、同社が開発を手掛けたテーマパーク「Dバーチャル・パーク」をオープンしたと発表した。
「Dバーチャル・パーク」は1,300万リンギを投じ、サラワク州コタサマラハンのジャラン・メラネクに建設された、ボルネオ島で初のバーチャルリアリティ(VR)を体験できるエンタテインメント施設。15ー45歳を顧客のターゲットとしている。
3階建てのテーマパーク内では、「VRエレベーション・デラックス(D’Luxe)」を筆頭に10つのVRアトラクションやeスポーツセンター、ホログラムシアター、バーチャルカフェ「Dレセプション」、コワーキングスペース「SD Xスタジオ」、コミュニティおよびイノベーションラボ「SD Xファブラボ」が入っている。開園時間は10時ー22時。料金はマレーシア人が10リンギ、外国人が9米ドルから。
セルバ・ダイナミックのモハド・アブドル・カリム・アブドラ社長によると、復興のための行動制限令(RMCO)発令下における安全衛生手順を順守し、収容人数を制限して開園する。来場者はマスクの着用と社交的距離の順守、来場時に連絡先の追跡を行うためのQRコードのスキャンが必要。入口での混雑を避けるためチケットは事前予約制となる。

エアアジア、23日の航空券の販売枚数が過去最高に

【セパン=マレーシアBIZナビ】 格安航空会社のエアアジア・グループは、23日の航空券の販売枚数が4万1,000枚となり、過去最高となったと発表した。同社のウェブサイトのアクセス件数は、170%増加した。
マレーシアの国内線で販売枚数が多かったのはコタキナバルークアラルンプール(KL)線、クチンーKL線だった。タイではバンコクーハジャイ線、バンコクーチェンマイ、フィリピンではマニラープエルト・プリンセサ線、マニラーダバオ線、インドネシアではジャカルターデンパサール(バリ)線、ジャカルターメダン線、インドではデリーーシュリーナガル線、デリーーハイデラバード線の売れ行きが良かった。
エアアジア・グループのロードファクター(有償座席利用率)は23日、平均およそ50%程度だったが、マレーシアでは70%と高かった。新型コロナウイルスの流行後、最も高いロードファクターとなった。
トニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は、マレーシアで国内旅行を促進させるという政府の取り組みを支援するために導入した乗り放題パス「アンリミテッドパス」はすぐに売り切れたと言明。他の市場でも販売すると明らかにした。「少ない予算でも、旅を楽しんでいただく」という信念は変えず、全席20%割引を提供していると強調。近い将来喜んでもらえるような商品やキャンペーンなどを実施していくとした。
一方で運航本数について、フェルナンデスCEOは、新型コロナウイルス流行前の約50%まで増やすことを目指していると表明。数カ月以内に全ての国内線を再開するとした。世界全体で現在は毎日152便を運航していると言明。国際航空運送協会(IATA)は、航空機内におけるコロナウイルスへの感染リスクは非常に低いと発表しているとした上で、同社は衛生管理など世界の基準に合わせた水準の遵守を徹底していくと強調した。

Nセンビラン州、外国人が購入可能な不動産を規制緩和

【セレンバン】 ネグリ・センビラン州政府は、外国人が購入できる土地付き不動産の最低価格を引き下げる。アミルディン・ハルン州首相が明らかにした。
これまでは外国人が購入できる土地付き不動産は200万リンギ以上となっていたが、半額の100万リンギ以上となる。また土地付き高層住宅の最低価格もこれまでの200万リンギから100万リンギに、高層住宅ユニットについても60万リンギに引き下げられる。
近隣州の最低価格が安かったことから、これに合わせて同州でもしきい値を下げるべきと判断した。連邦政府は今年度予算案の中に、2020年内の期限付きで100万リンギの最低価格を60万リンギに引き下げる内容の不動産需要喚起策を盛り込んでいた。
州経済の活性化を進めるための政策の一環で、海外投資家の呼び込みを狙う。当初は3月に発表する予定だったが、新型コロナウイルス「Covid-19」流行のために発表を延期していていた。
(ザ・スター電子版、6月24日)

世界銀行、マレーシア成長予想をマイナス3.1%に下方修正

【クアラルンプール】 世界銀行は25日、マレーシアの今年の国内総生産(GDP)成長率について、新型コロナウイルス「Covid-19」の影響を考慮して従来予想のマイナス0.1%からマイナス3.1%に大幅下方修正した。

世界銀行は、マレーシアが行動制限令(MCO)発令によって感染拡大カーブを平坦化した一方で、経済活動に対する厳しい制限により第1四半期はわずか0.7%のプラス成長に落ち込んだと指摘。第2四半期については、MCOによる経済混乱の影響で10%のマイナス成長にさらに悪化すると予想した。ただ感染拡大が抑制されMCOが段階的に緩和されていることから、下半期は部分的に経済回復が見込まれるとした。
世界銀行はマレーシア経済の先行きについて、新型コロナ感染の抑制が世界レベルで進んでいることに加えて、各国政府が行なっている大規模な財政・金融政策が経済の底上げにつながると予想されることもあり、現時点で短期的な見通しは不透明だと指摘。その上で、強固なファンダメンタルズや健全な金融システム、公衆衛生、積極的なマクロ経済政策上の支援策などでマレーシアが多くの国に比べて強靭だとした。
またマレーシア政府に対しては、追加経済政策を打つ余地を残すために財政面で優先順位の見直しを行なうべきだと指摘。税収外の財源を確保し一時的に財政出動を可能にするための法改正を行なう必要があるとした。
(ザ・スター電子版、6月25日)

新型コロナ感染者が新たに4人、国内感染者は1人のみ


【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は25日、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数が前日から4人増えて8,600人になったと発表した。

新規感染者のうち1人は国内で感染したマレーシア人。3人は海外で感染した帰国者だった。また新たに40人が退院し回復者数は8,271人に増加した。死者数は12日連続でゼロだった。

新型コロナ・フリー宣言について保健省のノール・ヒシャム事務次官は24日、7月中旬までに「新規感染者ゼロ」を実現できるとの見解を示した。ハリラヤ(断食月明け大祭)後および復興のための行動制限令(RMCO)発令後の14日間において感染者数が急増しなかったことから、条件付き行動制限令(CMCO)およびRMCOが成功したと述べた。感染者やクラスタが新たにホテルやレストランなどの施設および地域で発生した場合は、強化行動制限令(EMCO)ではない適切な措置(閉鎖)を講じると説明した。

また同日にノール事務次官は、ステージ4(呼吸困難を来している状態)および5(自力呼吸ができない状態)の感染者を対象に、回復から3カ月または6カ月後に後遺症を発症していないかの調査を実施すると明らかにした。

現時点では新型コロナの後遺症として血栓症を引き起こす前例があったと言明。血栓が脳に発生した場合は脳卒中、心臓に発生した場合は心臓発作を起こす危険性があると指摘した。

短期旅行人気トップ20、マレーシアが12位にランクイン

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 旅行予約サイトを運営する香港のトリップドットコム・グループは22日、インターネットサービスの米グーグルと共同で調査を実施した「旅行トレンドレポート」を発表。アジア太平洋地域の「短期旅行先人気トップ20」で、マレーシアが12位に入ったことがわかった。
トップとなったのは日本だった。それにタイ、香港、米国、韓国が続いた。東南アジアからはシンガポールが11位、カンボジアが13位、ベトナムが14位、インドネシアが15位、フィリピンが19位に入った。
アジア太平洋地域の「短期旅行先のトップ20」にはクアラルンプールとペナンが入った。日本からは東京と大阪が入り、東南アジアからは、バンコク、バリ、マニラ、ダナン、ビンタン、シンガポール、パタヤ、プーケットが入った。
同レポートは、グーグル・トレンドの検索クエリ統計の分析、アジア太平洋地域で実施されたパイロット調査、およびトリップドットコム・グループのビジネスインサイトデータなど様々な指標に基づき、ウィズコロナの時代において、消費者が旅行業界の進化するダイナミクスにどのように反応しているか、および今後数か月間の旅行に関して予想されるトレンドの全体像を調査し、発表したもの。

政府債務はGDP比55%になる可能性=ザフルル財務相

【クアラルンプール】 テンク・ザフルル財務相は23日、景気対策実行・調整省庁間会議(LAKSANA)に提出した報告書で、景気浮揚策を講じた結果、政府債務は今年末、対国内総生産(GDP)比で上限の55%に達する可能性があるとの認識を示した。
政府は2回にわたり、落ち込んだ景気を回復させるため経済対策を講じ、計450億リンギの財政出動を行った。現在の政府債務は同52%。
今年度の予算赤字は当初、GDP比3.4%を見込んでいたが、現在は5.8-6%に修正している。しかし政府として財政規律は堅持する方針で、3ー4年後をめどに赤字の比率を4%以下にするという。
景気対策には雇用維持のための賃金補助が含まれており、政府は19日までに48億9,000万リンギの交付を承認。240万人の給与所得者が恩恵を受けるという。
4月の失業率は5%。この先、さらに上昇が予想されるという。
(ベルナマ通信、6月23日)