【クアラルンプール】格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービス主催の東南アジア諸国連合(ASEAN)分析国別記者懇談で、ソブリンリスク担当のクリスチャン・ファン氏は、マレーシアでは18年と20年に政権交代があったが、制度、政策に大きな変化はなく、外国人投資家が大挙して撤退するような事態は起こらなかったとの分析を示した。
マレーシアのソブリン格付けはA3で、これより格付けが1つ上から、1つ下までの国を含めた格付けグループのうち、マレーシアの24年までの経済成長率は高めが見込めるという。
ファン氏はその根拠として、電子製品など高度の製品から、食品、一次産品までを輸出できる経済の多様性、情報技術(IT)普及度などを挙げた。ただ財政が堅固でないのが弱点だという。
金融機関担当アナリストのリー・テンフ氏は、融資返済猶予などの支援措置の期限が来れば一部の債権は不良化するとの見通しを示した。しかし銀行は貸倒引当金を増やしており、不良債権の増加に対処できるという。
(エッジ、4月7日)