【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国際協力銀行(所在地・東京都千代田区、JBIC)が発表した海外に拠点を持つ製造業企業の海外事業展開に関する調査報告によると、今後3年程度の中期的な有望事業展開先国・地域ランキングで、マレーシアはコロナ禍からの回復で得票率が増加に転じ、他国の得票率等の下落もあり、順位は前年の9位から7位にアップした。

トップはインド、2位が中国、3位が米国だった。東南アジアからは、ベトナムが4位、タイが5位、インドネシアが6位、フィリピンが8位、シンガポールが15位、カンボジアが20位となった。

産業別でマレーシアは、自動車で8位、電機・電子で8位、化学で7位、一般機械で8位となった。

JBICは、マレーシアについて、事業リスク分散のための拠点としての魅力が上昇しつつあると分析。有望理由として、市場の成長性への根強い期待とともに、「第三国輸出拠点として」「組み立てメーカーへの供給拠点として」「他国のリスク分散の受け皿として」の得票率が上昇する傾向がみられ、米中摩擦が長期化する中、事業リスク分散のための拠点としての期待の高さがうかがえる結果となったとした。 課題としては、「他社との厳しい競争」「労働コストの上昇」「管理職・技術系人材の確保が困難」に票が集まったと指摘。事業拠点としての魅力は高い一方、採算性や人的資本などの面での課題が存在していることが分かる結果となったとした。

今後10年後の長期的な有望事業展開先国・地域ランキングでは、マレーシアは前年の12位から9位となりトップ10入りした。しかし4位のベトナム、5位のタイ、7位のフィリピンには届かなかった。

同調査は、海外現地法人を3社以上(うち、生産拠点1社以上を含む)有する日本企業946社を対象に7月12日ー9月2日にかけて実施したもの。