サバ州独自のMM2Hの実施が延期に、代行業者の認可取消で

【コタキナバル】 サバ州が独自規格で準備を進めていた、外国人の長期滞在を奨励する「サバ―マレーシア・マイ・セカンドホーム(MM2H) 」プログラムが、連邦政府・観光芸術文化省(MOTAC)による全国的な申請代行業者のライセンス取り消しによって、当初予定していた6月1日からの実施が延期された。

同州のクリスティーナ・リュー観光文化環境相は、入国管理局、警察、内務省などの関連部局や機関と連携し、「サバMM2H」プログラムへの参加申請がスムーズに処理されるよう調整してきたと強調。連邦政府による突然のライセンス取り消し措置がサバ州に混乱をもたらしたと不快感を示した。

サバ州はすでにMOTACに書簡を送ってサバ州の代行業者への取り消し措置の撤回を要求しており、これが受け入れられない場合には「サバMM2H」への申請を処理するための州の代表を指名し、これに認可権限を与える意向だという。

リュー氏によると、MOTACは5月27日付けで、サバ・サラワク州を含む全国でMM2H申請を扱うすべての認可代行業者に業務停止を命じる通達を出した。このためサバ州観光文化環境省は5月28日に書簡で撤回を求めたが、MOTACは5月31日に文書で回答し、MOTACから更なる通知があるまで「サバMM2H」プログラムの新規申請を処理することはできないと通達してきたという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月7日、ボルネオポスト、マレー・メイル、6月6日)

ハラル和牛の輸出販売に向けた現法、MTJが設立

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 MTJ(本社・福岡県北九州市)は7日、ハラル(イスラムの戒律に則った)和牛の輸出・販売を目的としたグループ会社「ワールドワイド和牛マレーシア」を、5月22日付けでサイバージャヤに設立したと発表した。

新会社の事業内容は、▽ハラル和牛の輸出・販売▽イベント企画・制作▽コーディネーションおよびコンサルティング――。

具体的には、マレーシアから世界各国に向け、ハラル和牛を輸出・販売する。また、マレーシア国内での和牛の認知拡大を目指し、フードイベントなどのプロデュースを行う。和牛に限らず、日本国内の食品・飲料などの海外輸出のコーディネーションや、海外進出やハラル商品の開発などを希望する企業へのコンサルティングも行っていくという。

電子インボイスは来年7月に完全導入、内国歳入庁が言明

【クアラルンプール】 内国歳入庁(IRB)は6日の声明で、当初の予定通り2025年7月1日までにすべての納税者に電子インボイス(適格請求書)導入を義務付けると改めて言明した。

IRBは電子インボイスの第1期を8月1日に開始すると発表。年商1億リンギを超える大企業4,000社を対象にするとした。フォーマットはJSON、マークアップ言語はXMLを採用する。

続く2025年1月1日からの第2期では、年商2,500万―1億リンギが対象となる予定。25年7月1日からは完全施行が予定されている。

IRBは、50社余りの参加を得て電子インボイスシステムの試験運用を5月に開始すると発表していた。マレーシア中小企業協会(SAMENTA)は、負担が大きいとして年商30万リンギ以下の一般消費者を顧客とする零細企業に対しては電子インボイス導入を免除するよう求めている。
(ビジネス・トゥデー、6月6日)

【総点検・マレーシア経済】第498回 マレーシアの人口、これからどうなる?

第498回 マレーシアの人口、これからどうなる?

5月14日、マレーシア統計局は、マレーシアの2024年第1四半期の推計人口が前年同期比2.3%増加して3400万人になったことを発表しました。うち3060万人がマレーシア国民、340万人が外国人となっています。国連人口部の最新の中位推計によれば、マレーシアの人口は2060年代に4200万人台でピークとなり、2100年には3950万人前後となることが予想されています。マレーシアの人口は、これから40年前後は増勢が続くことになります。

一方で隣国のタイですが、2023年末の人口が前年比0.06%減の6605万人となったことが発表されました。ただ、これは住民登録データに基づくもので、国連人口部の中位推計では2023年の人口は7180万人、2029年の7209万人をピークに人口減少が始まり、2100年には4457万人とマレーシアの水準に近づくことが予想されています。

図は縦軸に労働力人口に対する高齢者人口の比率を、横軸に一人当たり所得(名目米ドル)をとったものです。橙線は単回帰による世界標準の関係を示しています。橙線より上の国は所得水準に対して高齢者/労働力比率が高く、高齢者ケアの現役世代への負担が大きくなることが予想されます。

マレーシア(MYS)は一人当たり所得が10,960米ドル、高齢者/労働力比率が9.7%となっており、橙線よりもずいぶん下です。所得水準がほぼ同じの中国(CHN)の高齢者/労働力比率は17.6%とマレーシアの倍に近い水準で、世界標準を上回ります。タイ(THA)についても一人当たり所得が7080米ドル、高齢者/労働力比率が18.7%でマレーシアの7割程度の所得水準で高齢者/労働力比率は中国を越えています。

このようにアジアの同程度の所得水準の国と比較して、マレーシアの高齢者ケアの現役世代への負担は、所得・人口動態からは軽くなることが予想されます。これが、マレーシアの民間消費がこのところ好調な大きな要因となっていると考えられます。

ちなみに、一人当たり所得が5万ドル付近に高齢者/労働力比率が49.9%と世界でも突出して高い国があります。日本(JPN)です。これは既に手がつけられない水準で、1000万人単位の外国人労働者を導入するか画期的な技術革新がないかぎり、日本の高齢者ケアは非常な困難状況に直面する可能性が高いと考えられます。

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所海外調査員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp

セブン銀行、マレーシアにグループ会社を設立

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 セブン銀行(本社・東京都千代田区)は6日、5月30日付で、4社共同出資により、マレーシア現地法人を設立したと発表した。セブン銀行の海外グループ会社としては米国、インドネシア、フィリピンに次いで4拠点目となる。

出資企業4社は、▽セブン銀行▽マレーシアで「セブンイレブン」店舗を展開するセブンイレブン・マレーシアの100%子会社で、店舗運営を担当するセブンイレブン・サービシズ(SES)▽現地投資持株会社であるHQZクレジット▽同SMRTホールディングス――。出資比率は、セブン銀行が50.1%、SESが24.9%、HQZが20.0%、SMRTが5.0%。

現地法人はクアラルンプールを拠点とし、銀行支店や既存ATMの少ない地域を中心に紙幣還流式のATM設置を進め、これまでセブン銀行が培ったノウハウを活かしたATM運営を行う。

マレーシアでは、コンビニエンスストア店内に設置されているATMは少ない。そのため、約40年にわたりマレーシアで親しまれているセブンイレブンの店舗にATMを順次設置し、コンビニATMとして新たな金融サービスを提供し、「金融×小売サービス」の実現を目指していく方針だ。

郵船ロジ、マレーシア法人が大型倉庫開設・新本社の営業開始

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 郵船ロジスティクス(本社・東京都品川区)は6日、マレーシア法人のタスコ(TASCO)がセランゴール州シャアラムに大型倉庫を新設し、敷地内に設置した新本社で営業を開始したと発表した。

新物流センターの面積は約5万5,800平方メートルで、旧施設の5倍となった。地上4階建ての多層階構造で、天井高は約12メートル。各階それぞれ、約20カ所のトラックドック、対面通行のランプウェイ(傾斜路)を備え、機能的な動線とスムーズな荷役でトラックの待機時間が削減できるとしている。

また高度な物流倉庫管理システムを導入しており、食品やアパレル、電子部品のほか、GDPMD(医療機器の物流に関する品質基準)に準拠していることで医療機器の取り扱いも可能となっている。さらに倉庫内を24時間監視するCCTVカメラを設置し、マレーシアの基準に沿った耐火性能も備えているという。

新たな物流センターの稼働は2月15日に、新本社の営業は4月1日からすでに開始しており、6月6日に在マレーシア日本国大使館の髙橋克彦大使やセランゴール州のアミルディン・シャリ首相を招いて開所式を行った。タスコは今年9月に設立50周年を迎える。