ロックダウン中のSOP違反で59の工場に閉鎖命令

【ペタリンジャヤ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は、6月1日の完全ロックダウン開始以来、標準的運用手順(SOP)違反により59の工場が閉鎖を命じられたと明らかにした。268の工場で検査が実施され、75の工場で罰金支払いが命じられた。

また、警察は6月9日、SOP違反で907人を逮捕し、そのうち877人が罰金処分、28人が再拘留、2人が保釈処分となった。

罪状としては、▽マスク着用義務違反(208件)▽MySejahteraアプリでの個人情報の未登録あるいはチェックイン不履行(148件)▽警察の許可なしでの地区・州越え/外食禁止違反(147件)▽身体障害者規則違反(123件)▽行動制限違反(81件)▽自動車の乗車人数制限超え(79件)▽娯楽施設での活動(28件)▽SOP違反施設(10件)▽その他(83件)――が挙げられる。

一方、5月25日に発表したラブアン入境者に対する追加規制についてサブリ氏は、6月30日まで延長すると明らかにした。ラブアン入境3日前にRT-PCR検査を受ける必要がある。本規則は当初は6月9日までとされていた。

サブリ氏はまた、パハン州、ジョホール州、サバ州、サラワク州、トレンガヌ州のいくつかの地域で、6月12日から6月25日までロックダウンや強化行動制限令(EMCO)が施行されると明らかにした。

具体的には、パハン州テメルローのタマン・テメルロー・ジャヤ、タマン・テメルロー・ジャヤ・インダー、タマン・テメルロー・マクムルの3地区が完全ロックダウンとなる。

EMCOが実施される地区は、▽ジョホール州クルアンのラダン・テレー・ミル▽サバ州プタタンのタマン・パシル・プティファサ1にあるロロン・パシル・プティ1▽サラワク州クチンのカンプン・コロン2▽トレンガヌ州クアラベランのカンプン・タジン――。

一方、EMCOが6月11日終了したのは、▽トレンガヌ州フル・トレンガヌのクアラバラン▽ペラ州マンジュンのシティアワン▽サバ州パパルのカンプン・ムック▽同州ケニンガウのカンプン・バル・ドゥロ▽同州クナのカンプン・スンガイ・ランガス――となった。

(フリー・マレーシア・トゥデー、6月10日)

軽便鉄道事故報告、運輸相が人的ミスと発表

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 先ごろクアラルンプール(KL)中心部のトンネルで発生した軽便鉄道(LRT)ケラナ・ジャヤ線の衝突事故について、ウィー・カション運輸相は10日、標準的運用手順(SOP)違反が事故に繋がった人的ミスだったと結論づける最終報告書を発表した。

同事故は、5月24日午後8時45分頃、KLCC駅からカンポン・バル駅に向かっていた無人運転の列車(TR81)と、本来カンポン・バル駅からダン・ワンギ駅方面に向かう予定の回送列車(TR40)が逆走して衝突したもの。これによって乗客213人を乗せていたTR81は先頭車両前面が大きく壊れ、47人が重傷(うち3人が重体)、そのほかの乗客は軽傷を負った。LRTケラナ・ジャヤ線の衝突事故は1998年の開通以来これが初めて。

事故調査委員会がまとめた報告書によると、TR40ではこの日、2基搭載しているVOBCと呼ばれる自動運転制御装置の1基に故障が発生したため修理のため、車両基地まで回送中だった。しかし2基目のVOBCも故障したため、運転制御センター (OCC)は運転手にダン・ワンギ駅まで手動運転で向かい、VOBCを再起動させて自動運転の回復を試みるよう指示したが、OCCと運転手の間の連絡が不十分だったため手動のまま逆方向のKLCC駅方面に向かって発車したという。

一方、TR81はTR40が故障のため手動に切り替えられたことからKLCC駅で待機していたが、TR40が自動運転に戻ったとの誤った情報を受け取り、カンポン・バル駅方面に向かって出発してしまい逆走してくるTR40と衝突してしまったという。

事故調査委員会は再発防止に向けた23件の勧告をLRTを管轄する国営企業プラサラナ・マレーシアに行っており、プラサラナは手動運転中の運転手を2人にすることなど、5項目の短期的改善を3カ月以内に実施、11項目からなる中期的改善、7項目からなる長期的改善も6カ月以内をめどに実施する方針を明らかにした。

あれっ許可されてないの?ジョギング中に相次いで罰金

【シャアラム】 完全ロックダウン下でも認められているはずのジョギングについて、標準的運用手順(SOP)違反を理由にジョギング愛好家が罰金を科されるケースがセランゴール州で続発している。

シャアラムでは6日、ジョギング中の9人がそれぞれ500リンギの罰金を科された。ジョギング自体は認められてれているものの、禁じられている公共の公園内でのレクリエーション活動を行ったということで違反に問われた。シャアラム市議会 (MBSA) は、ジョギングは半径5キロメート圏内の自宅付近の路上かコミュニティ公園のみで認められるとしている。

MBSAは同日午前7時半から、シャアラム警察と合同で取り締まり活動を実施しており、5人はタマン・タシク・セクション7、残り4人はタマン・タシク・セクション14でそれぞれ摘発された。

一方、フル・クランでは7日、身分証カードにある住所と異なる住宅地でジョギングをしていたとして、8人が罰金を科された。ジョギングそのものの問題ではなく、移動制限に抵触したというのが理由だ。(フリー・マレーシア・トゥデー、6月7日、ニューストレーツ・タイムズ、6月6日)

中国軍機16機が領空侵犯、マレーシア空軍が緊急発進

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 5月31日、中国軍機16機が編隊を組んでサラワク州北方60カイリ付近の南シナ海のマレーシアの領空を侵犯し、マレーシア王立空軍機が緊急発進する事件があった。
中国軍の航空機は戦略輸送機のイリューシンil-76と西安Y-20で、マレーシア側の航空管制官に何度も指示されたにもかかわらず、交信を無視して領空付近の飛行を続けた。引き返さずにマレーシア領への接近を続けたことからマレーシア王立空軍の戦闘機が緊急発進した。マレーシア王立空軍は「国家の主権と飛行の安全に対する深刻な脅威」と中国側を批判した。
事件を受けてヒシャムディン・フセイン外相は、在マレーシア中国大使を呼んで厳重抗議すると共に事情説明を求める意向を示した。中国大使館側は通常の飛行訓練を実施したもので、他国の空域を侵すことなく国際法を厳格に遵守していると説明している。
南シナ海については、中国のほかマレーシアやインドネシア、ベトナム、フィリピンなどが領海を主張して争っている。マレーシアが主張する海域への中国側の侵犯行為は度々起きており、マレーシア会計検査院報告によると、2016年から2019年にかけて中国公船によるマレーシアの領海侵犯が89回に及んでいるという。

LRT事故対応で批判殺到、財務省が運営会社会長を解任

【クアラルンプール】 財務省は27日、公共輸送機関を管轄する国営プラサラナ・マレーシアのタジュディン・アブドル・ラーマン会長を解任すると発表した。タジュディン会長は24日夜に起きた軽便鉄道(LRT)衝突事故での対応を巡って批判を浴びていた。
事故発生当日にはウィー・カション運輸相やプラサラナの最高経営責任者(CEO)が現場や病院にいち早く駆け付けたが、タジュディン氏は姿を現さず、翌日になってようやく現場視察に訪れた。
事故当日現場に来なかった理由について、タジュディン氏は「ある会社とミーティングを行なっていたため事故に気付くのが遅れた。翌25日には2回目のコロナワクチン接種を控えていた」と釈明。「2編成の列車がキスしただけで大したことは無い」など冗談を飛ばした上で、追及する中国系メディアに対しては人種差別的な発言を行なった。タジュディン氏の不遜な態度は動画で拡散、批判の声が殺到していた。
タジュディン氏は統一マレー国民組織(UMNO)最高評議会メンバーでペラ州パシル・セラ選挙区の現職国会議員。2020年3月のムヒディン・ヤシン政権樹立に際しての報奨人事として、同年5月11日にプラサラナの会長に就任していた。
LRTケラナジャヤ線の事故はその後の調査で、試運転の列車運転士が誤って逆方向に車両を走らせたたため、乗客が乗っていた列車の線路に入り正面衝突したことが判明している。これによって47人が重傷、166人が軽傷を負った。なおプラサラナは、見舞い金として乗客213人全員に一律1,000リンギを支給するとしている。

LRTがKLCC駅付近で正面衝突、213人が重軽傷

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 クアラルンプール(KL)首都圏の軽便鉄道(LRT)ケラナ・ジャヤ線で24日午後8時45分頃、KLCC駅近くの地下トンネル内を走行中の列車同士が正面衝突した。LRTケラナ・ジャヤ線の衝突事故は1998年の開通以来これが初めて。
KLCC駅を出発してカンポン・バル駅方面に向かっていた列車とカンポン・バル駅を出発してKLCC方面に向かっていた回送列車が、正面衝突した。カンポン・バル駅方面に向かっていた列車に乗っていた213人が負傷し、64人がKL病院に搬送された。6人が重傷だという。
コントロールセンターのミスで、回送列車がカンポン・バル駅方面に向かう線路に入ったとみられる。ケラナ・ジャヤ線は完全自動運転で運行しているが、回送車は修理を終えた後で運転士が手動で試運転を行なっていた。

ムヒディン・ヤシン首相はコメントを発表し、運輸省とLRTを管轄する国営企業プラサラナ・マレーシアに対して、原因究明に努めるよう要請したことを明らかにした。

ウィー・カション運輸相は、LRTが運転を開始してから最も大きな事故となったと言明。事故原因を究明するために24日から調査を開始しており、25日16時の時点で人的ミスが事故につながったことがわかったと明らかにした。

政治家のSOP違反相次ぐ、マハティール前首相も

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウィルス(Covid-19)感染者が増加傾向にある中、政治家など模範となるべき人たちが標準的運用手順(SOP)を違反するケースが相次いでいるが、このほどマハティール・モハマド前首相にも違反行為があったことが発覚した。
マハティール氏は、8日に自身の選挙区であるランカウイで行われたラマダン(断食月)関連イベントに出席。追跡アプリ「MySejahtera」による出席記録を行わず、体温測定も行わないまま会場に入る様子が動画で撮影され、ソーシャルネットで拡散した。マハティール氏は違反を認めて謝罪。罰金を払う意向を示した。
マハティール氏は、前々日の10日に特別声明を発表し「国民がSOPを守らなければインドやブラジルのような事態になる」と警鐘を鳴らしたばかり。
先日はナジブ・ラザク元首相が、今回のマハティール氏と同様に「MySejahtera」を使わず、検温も行わないままチキンライス店に入店する様子が動画で撮影され、罰金を支払った。氾マレーシア・イスラム党(PAS)所属のトレンガヌ州議会議員もSOP違反が判明している。

農業パークを改装した隔離・治療センター、収容患者増加で限界に

【クアラルンプール】セランゴール州セパンにある農業パークに整備された、新型コロナウイルス感染者隔離・治療センターで収容者が増加し、受け入れ体制に破たんが生じている。
感染検査で陽性反応が出た者のうち、肺感染(第3カテゴリー)の患者数が増加し、収容能力が限界に達しつつあるためだ。当初、第3カテゴリーの患者用に60の病床を用意したが、現在の収容数は757人。
破たんが明らかになったのは患者によるツイートがきっかけ。この患者は感染評価センターで9時間近くを費やした後、農業パークに連れられたが、そこにあったのは駐車場に設けられた隔離施設で、2段式ベッドだった。
指定のベッドに向かったところ、別の人が占拠していて、別のベッドを探すよう言われた。見つけたベッドにシーツ、毛布はなく、助けを求めても午前2時の時点でシーツ、毛布の支給はかったという。
(エッジ、5月16日)

クルマの「修理サギ」、親切装い多額の修理費要求

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日系自動車サービス会社、タイガー商事は、最近クアラルンプール(KL)首都圏で、親切を装った「修理サギ」の被害が増えているとして注意を呼び掛けている。

まず、走行しているとバイクの男が寄ってきて前輪付近を指差して問題が発生していると知らせる。運転手が様子をみるために車を止めると、別のバイクに乗った男が来てブレーキの故障だといい、ボンネットを開けてみろという。

男は何やら調べてみる素振りを見せた後、ブレーキを踏んでみろという。言われた通りに踏んでみるとブレーキは手応えがない状態となっており、相手は「このまま走っていたら大事故になるところだった。丁度部品を持っているので直してやろう」と修理を買って出る。これに応じると、後で法外な修理代を要求されるという寸法だ。

種明かしをすれば、男はボンネットを開けた時に素早くブレーキオイルのバルブを閉じてブレーキが効かないようにしているだけだが、機械に詳しくないドライバーは引っかかってしまうという。犯行場所には人気のない場所を選んでおり、何をされるか分からないという恐怖心から拒否できずに言いなりになってお金を払ってしまうらしい。

入札情報違法入手の汚職事件明るみに、政府職員を逮捕

【クアラルンプール】マレーシア汚職摘発委員会(MACC)は、公共事業入札の情報が漏洩していた汚職事件にからみ5日夜、政府機関の上級職員(38)を収賄容疑で逮捕した。
消息筋によると、この職員は数量明細書(建築に必要なすべての作業・材料を記した文書)の準備にかかわっており、情報を違法に「入札カルテル」に漏らし、120万リンギの報酬を得ていたという。
MACCは4日夜「入札カルテル」を捜査し、首謀を含む7人を逮捕した。消息筋によると、同カルテルは2014年から活動しており、名前の異なる会社を150社設立し、名前ばかりの取締役を雇用し、名義代として報酬を支払っていた。
同カルテルは入札を実施する側の内部関係者から、仕様、応札額の上限、応札資格などの情報を入手し、落札できるよう仕組んでいた。これまでに354件、38億リンギ相当の公共事業を落札したという。
今後、逮捕者は増える見通しだ。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、4月7日、ベルナマ通信、4月5日)