セランゴール州が都市計画案発表、パブリックコメントを募集

【シャアラム】 セランゴール州のアミルディン・シャリ首相は9日、2035年までの都市開発計画である「セランゴール州構造計画2035年」の修正案を発表した。第1次セランゴール計画(対象期間2021-25年)の後継計画で、州の立案、政策、戦略を連邦政府および国際水準に沿ったものにする。

第1次計画は一切変更を加えられておらず、今回が初の見直しだ。州の発展、繁栄を図るための計画で、17の戦略、73の政策、522のイニシアチブで構成する。6月9日まで掲示し、パブリックコメントを募る。

ペタリンジャヤ、シャアラム、ゴンバック、セパンのほか、北部、南部地域の開発案も計画文書に盛り込んだ。
(ザ・サン、エッジ、5月10日、フリー・マレーシア・トゥデー、5月9日)

独VWがマレーシアの域内拠点化を計画=投資貿易産業相

【クアラルンプール】 独フォルクスワーゲン(VW)がマレーシアを域内輸出拠点にすることを目指しており、マレーシア国内で電気自動車(EV)組立を行う計画だ。テンク・ザフルル投資貿易産業相がX(旧ツイッター)への投稿で明らかにした。

マレーシア法人、VWグループ・マレーシア(VGM)幹部と協議を行った際、VGM側がマレーシア国内でエンジン車およびEVを製造する意向を表明したという。ザフルル氏は「これまでVWのモデルはもっぱらマレーシアに輸入されていたが、現在は一部のモデルがマレーシアで組み立てられている。 注目すべきは、『トゥアレグ』が欧州以外で初めて国内で組み立てられていることだ」と述べた。なおどのEVモデルが組み立てられるか、いつ開始されるのかについては言及はなかった。

現在、「アルテオンRライン」、「ゴルフGTI」、「ティグアン・オールスペース・バリアント」、「トゥアレグRライン」がパハン州ペカンのハイコム工場で組み立てられている。
(ポールタン、ビジネス・トゥデー、5月9日)

【総点検・マレーシア経済】第496回 「もしトラ」のマレーシアへの影響は?

第496回 「もしトラ」のマレーシアへの影響は?

最近、「もしトラ」のワードがメディアで報じられることが多くなってきました。「もしトラ」とは、今年11月に行われるアメリカ大統領選挙でトランプ前大統領が再選されるケースをさしています。

現実味を増す第2次トランプ政権の政策の中でも注目を集めているのは、米国の貿易赤字を減らし雇用を増やすために、中国からのすべての輸入品の60%の関税を課し、さらには他のすべての国からの輸入にも一律10%の関税を課すという関税引き上げ政策です。これは、2018年7月に開始された「米中貿易戦争」で米中が交互に多くの品目について25%の関税を課す事態のエスカレート版と言えます。

マレーシアはベトナムと並んで、米中貿易戦争から「漁夫の利」を得た国と考えられています。これは、主にこれまで中国から米国に輸出されていた製品が、マレーシアやベトナムからの輸出によって代替されるために生じる利益です。実際、マレーシアの輸出は2021年、22年と2年連続で約25%増という大幅な増加を記録しました。

「もしトラ」のマレーシアへのどうなるでしょうか。アジ研ポリシーブリーフNo.189として、筆者のチームが試算した「もしトラ」の各国の影響が公開されています。それによると、全世界に対する関税が引き上げられた場合の影響は、米国のGDPが1.9%減、中国が0.9%減、日本が0.0%、ASEAN10が0.3%増などとなっています。

図は「もしとら」のマレーシアに対する影響を産業別にみたものです。中国に60%の関税が課された場合(青棒)、マレーシアのGDPに対する影響は0.5%増、特に電子・電機産業に1.2%増と大きなプラスの影響が出ています。一方で、マレーシアを含むすべての国に対しても10%の関税が課された場合(赤棒)、GDPに対する影響は0.2%増にまで減少、電子・電機産業への影響は0.1%減とマイナスに転じます。一方、農林水産業・食品加工業・その他製造業ではどちらのケースでもプラスの影響を確保しています。

このように、「もしトラ」が現実になった場合にもマレーシア経済に大きなマイナスの影響はなく、「漁夫の利」が得られるという予測が出ています。ただ、マレーシアへの10%の関税が「漁夫の利」を大きく減らすことからも分かるように、中国への制裁を対岸の火事とみていると、マレーシアを含むASEANが次の標的となる可能性は十分にあり、楽観ばかりはできないということになります。

熊谷 聡(くまがい さとる) Malaysian Institute of Economic Research客員研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所海外調査員。専門はマレーシア経済/国際経済学。 【この記事のお問い合わせは】E-mail:satoru_kumagai★ide.go.jp(★を@に変更ください) アジア経済研究所 URL: http://www.ide.go.jp

「対米ドルでのリンギ相場は実体を反映せず」中銀副総裁

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)のアドナン・ザイラニ副総裁は9日、「国家経済フォーラム(NEF)2024」のパネルディスカッションで、「対米ドルでのリンギ相場について多くが取りざたされ、多数がこの相場をマレーシア経済運営の指標とみなしているが、リンギの全体における位置、国内経済の強さ・先行き見通しを無視した不当な評価だ」との見解を示した。

実際、2022年初頭以降、リンギは円、台湾ドル、韓国ウォンに対し値上がりしている。しかし中国人民元、インドネシアルピア、インドルピーに対してはわずかながら値下がりした。

アドナン・ザイラニ氏は「現在は強い米ドルという循環にあり、リンギの価値が低いという話ではない」と指摘。中国経済の先行き不透明感と地政学上の危機が安全資産としての米ドルに対する需要増を招いており、米国の高金利も当分続くとした。

輸出業者も外貨保持の姿勢が強く、リンギ安の要因になっている。こうした状況を打破するため中央銀行として過度な値下がり防止を目的に市場介入を行っている。政府系企業に外貨収入の送金も働き掛けているという。

民間企業は海外における再投資の認可手続きを省くため、在外外貨を保持する傾向があるが、中銀としては本国送金を望んでおり、外貨をリンギに両替した企業には、海外における再投資に対し認可を簡略に済ませるイニシアチブを検討しているという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、5月10日)

創価大学、国際教養学部内にマレーシア研究拠点を開設

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 創価大学(所在地・東京都八王子市)は、国際教養学部内にマレーシア研究拠点を開設し、4月25日にマレーシアのシャフリル・エフェンディ・アブドル・ガニ駐日大使を招いて開所式を開催した。開所式にはマラヤ大学、マレーシア国民大学(UKM)の関係者も参加した。

マレーシア研究拠点では、人文・社会科学の観点からマレーシアに関する研究や、教育、SDGs(持続可能な開発目標)、ダイバーシティの観点から「創価大学グランドデザイン(10カ年計画)」の達成に向けて、さまざまな取り組みを実施していく。研究には創価大学の教授、准教授に加え、マラヤ大学、UKM、マレーシア科学大学からも教授、准教授、講師が参加する。

蔦屋書店のマレーシア法人、カンボジアに6店舗出店へ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 「蔦屋書店」などを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC、本社・東京都渋谷区)は9日、マレーシア法人ツタヤ・ブックス・マレーシアが2034年までにカンボジアで6店舗の書店を出店する計画であることを明らかにした。

ツタヤ・ブックス・マレーシアは、CCCと双日(本社・東京都千代田区)の合弁会社。このほどカンボジアでデベロッパー事業やホテル事業などを展開する、アーバン・リビング・ソリューションズ(ULS)とフランチャイズ包括契約を締結した。2034年までにカンボジア国内で「ツタヤ・ブックストア」を6店舗出店する計画だ。契約締結に伴い、2025年に首都プノンペンに1号店を開設する。

CCCは海外事業として、台湾にて「ツタヤ・ブックストア」を計11店舗、中国本土で「蔦屋書店」と「ツタヤ・ブックストア」を計12店舗、マレーシアでは「蔦屋書店」と「ツタヤ・ブックストア」を計2店舗出店している。今後もアジア太平洋地域においてビジネス強化を図って行く方針だ。