「景気低迷から脱出しつつある」、世銀理事

【クアラルンプール】 世界銀行のンディアメ・ディオプ地域担当理事は、マレーシアは新型コロナウイルス禍で困難に直面したが、景気低迷から比較的良好に脱出しつつあるとの見解を示した。
マレーシアの強みとして経済の多様性、健全な金融システムを挙げ、公衆衛生面の対応、積極的経済対策でウイルス禍の影響を減じることができたと述べた。
世銀が立てた今年の経済予想は3.1%の減少だが、ディオプ氏は「困難の先に明るい兆候が見える」とした。
ディオプ氏は特に、マレーシアが経済の活性化だけでなく改革にも注力したことを取り上げ、政府は危機からの脱出だけでなく、次の危機にも持ちこたえられるような経済構造を目指していると述べた。
移動制限指令(MCO)解除後は多くの経済活動が再開されたが、観光業などの回復は先のため、蓄えの少ない所得下位40%への支援がさらに必要だという。
(ベルナマ通信、7月19日)

LRT3号線、2024年2月28日に竣工予定=プラサラナ

【クアラルンプール】 軽便鉄道(LRT)3号線建設の竣工日について、同事業の所有者であるプラサラナ・マレーシアのタジュディン・アブドル・ラーマン会長は、2024年2月28日を予定していると明らかにした。
LRT3号線はセランゴール州ペタリンジャヤのバンダル・ウタマとクランのジョハン・セティアを結び、全長37.8kmキロメートルに上る。6月30日時点の建設進捗率は33.12%。
LRT3号線についてタジュディン会長は、同地域における200万人以上の人々に好影響を与え、クランバレーの都市鉄道システムの完成前において1日当たり約6万7,000人の通勤・通学者を輸送することが可能だと言明。特にクアラルンプール(KL)ーセランゴール州クラン間の連邦高速道路(フェデラル・ハイウェイ)における交通渋滞の削減し、ペタリンジャヤのグレンマリー駅においてLRTクラナジャヤ線と統合することで、経済成長への刺激も見込めるとした。
(ザ・サン、エッジ、7月19日)

第1四半期の投資認可額は374億リンギ=通産省

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 通産省(MITI)とマレーシア投資開発庁(MIDA)は16日、第1四半期の投資認可額が374億リンギとなったと発表した。投資案件数は892件で、1万9,100人分の雇用創出が見込まれている。
MITIとMIDAが共同で発表した声明によると、国内直接投資(DDI)が70.4%を占める263億リンギとなった。残りの29.6%となる111億リンギは、外国直接投資(FDI)だった。スイスが27億リンギでトップ。それに▽シンガポール(21億リンギ)▽米国(20億リンギ)▽中国(14億リンギ)▽日本(9億リンギ)ーーの順となった。
セクター別では、製造業向けの投資額が最も多く、全体の67.5%を占める252億リンギだった。うち106億リンギがFDI。また146億リンギがDDIで、前年同期比で180.8%の大幅増加となった。国・地域別では、スイスからの投資が最も多く、▽米国▽中国▽日本ーーの順。投資案件数は214件で、前年の216件に比べてほぼ横ばいとなった。1万5,688人分の雇用創出が見込まれている。投資先の82.2%はセランゴール州だった。
サービス業への投資額は119億リンギで、97.5%となる116億リンギがDDIで、残りの2.5%となる3億リンギはFDIだった。投資案件数は669件で全体の75.0%を占めた。3,400人分の雇用創出が見込まれている。
一次産業向けの投資額は、全体の0.8%を占める2億8,130万リンギだった。うち1億4,440万リンギがFDIで、1億3,690万リンギはDDIだった。
MIDAは6月時点で製造業では726件、金額にして367億リンギの投資案件が寄せられていると表明。今年はマレーシアを含む全ての経済で厳しい状態に直面しており、国際連合貿易開発会議は今年のFDIが最大で40%減少することを予想しているとした。

ゴム手袋のトップグローブ、株価上昇でテナガ抜き時価3位に

【クアラルンプール】 ゴム手袋世界最大手トップ・グローブの株価が上昇し、時価でマレーシア証券取引所3位に浮上した。
13日の終値は前日より9%高い24リンギ。時価は647億3,000万リンギと、電力会社テナガ・ナショナルの645億8,000万リンギを上回った。1位はマラヤン・バンキングの887億リンギ、2位はパブリック・バンクの719億リンギ。
トップ・グローブは45工場を所有しているが、リム・ウィーチャイ会長は、生産能力増強のため年に2工場を増設すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大で衛生意識の高まりからゴム手袋の需要が増加しているためだ。
トップ・グローブが、8月の出荷価格は30%上昇するとの見通しを示したことから、ケナガ投資銀行は株価予想を32リンギに上方修正した。MIDF投資銀は「中立的」から買い推奨に評価を変えた。Amバンクも一段の株価上昇を予想している。
(ベルナマ通信、7月13日)

予算赤字はGDP比6.5%になる可能性、格付け会社見通し

【クアラルンプール】 格付け会社マレーシアン・レーティング(MARC)のノル・ザヒディ主任エコノミストは、歳入減少、景気対策のための歳出増を背景に、今年の予算赤字は対国内総生産(GDP)比で6-6.5%になる可能性があるとの見通しを示した。
GDPは第1四半期に0.7%増に減速しており、通年では1.5-3%の縮小になるとMARCは予想している。
政府債務の対GDP比率も、政府が自ら設定した上限の55%を超え、56-60%になる見通しだという。
予算赤字の拡大、政府債務の増加を理由に、海外の主要格付け会社のうち2社がマレーシアのソブリン債の見通しを、「安定的」から、格付けが下方に向かう可能性を示す「ネガティブ」に引き下げている。
それでも、国際原油価格が回復し、政府が歳入増のための中期的措置を講じれば、格下げ圧力はある程度緩和されるという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月11日)

貧困ラインを2208リンギに引き上げ=統計局

【クアラルンプール】 統計局(DOSM)は10日、マレーシアの貧困ラインをこれまでの世帯収入980リンギから2,208リンギに引き上げたことを明らかにした。

 統計局は貧困ライン見直しについて、これまで2005年の方法論に基づいていたものを2019年の方法論に基づいたものに変更したと説明した。統計局トップのモハマド・ウジル・マヒディン氏によると、最適な食物摂取量と品の高い非食物の基本要件に主眼を置いた現在のニーズに沿ったものになっているという。
統計局が同日発表した「世帯収入と基本設備調査報告2019」によると、絶対的貧困の比率は2016年の7.6%から2019年には5.6%に改善、ハードコア貧困についても0.6%から0.4%に改善した。一方で所得の不平等さを表すジニ係数は、2016年の0.399から2019年は0.407に上昇しており、家計所得ギャップが拡大していることを示している。なお可処分所得をベースにした場合のジニ係数は0.391から0.393に上昇した。
ウジル氏によると、世帯収入の中央値は年率3.9%のペースで緩やかに上昇しており、2019年には5,873リンギに到達。平均収入は年率4.2%のペースで上昇し、2019年には7,901リンギに達している。
(ベルナマ通信、7月10日、統計局発表資料)

6月のホテル予約が急増、予約ベースで稼働率最大30%に

【クアラルンプール】 ナンシー・シュクリ観光芸術文化相は、6月10日より復興のための行動制限令(RMCO)に移行し国内移動の制限が撤廃されたことから、国内ホテルの予約が急増しており、6月の客室稼働率が予約ベースで最高30.74%まで回復したと明らかにした。
ナンシー・シュクリ大臣によると、新型コロナウイルス「Covid-19」抑制のために行動制限令(MCO)が発令された3月の稼働率は予約ベースで18.29%となり、4月は8.86%にまで落ち込んだ。5月も9.63%にとどまった。6月は国内の感染拡大が抑制されていることから国内の旅行客が旅行を始めたとみられている。
ナンシー・シュクリ大臣はまた、今後の外国人観光客の呼び戻しに向けて、保健省、内務省、外務省のガイドラインに基づき、「トラベルバブル」実現に向けたグリーンゾーン特定のための支援を行なうと発表。具体的には豪州であれば豪州全土ではなくパースだけをグリーンゾーンに認定するといった形になると述べた。
「トラベルバブル」は隔離義務なしで自由に行き来できる複数国が取り決めた複数エリアを指し、各国間で検討が始まっている。
(ベルナマ通信、7月9日)

ミュージックトライブ、マレーシアに本社設立

【クアラルンプール=マレーシアBIZ】 マレーシア投資開発庁(MIDA)は8日、日本など世界13カ国でオーディオ製品および楽器を手掛けるミュージック・トライブが、国外企業の拠点設立を誘致する優遇措置「プリンシパル・ハブ(PH)」のインセンティブの下、マレーシアに本社を設立すると発表した。
第4次産業革命(インダストリー4.0)による完全ロボット化の製造施設を、ケダ州クリム・ハイテクパーク(KHTP)に建設する。面積は20.23ヘクタール(50エーカー)。土地取得は4週間で完了した。建設に当たりマイクロソフトとシーメンスと協働で完全な「デジタルツイン」または仮想表現を設計している。2021年末までに操業を開始する。
ミュージック・トライブは同プロジェクトの下、グローバル・デジタルトランスフォーメーション(DX)の先導およびグローバル・リーダーシップ、監督機能の統合を図る。また拡張現実(AR)および仮想現実(VR)による顧客体験を向上させることを目的とした最先端のデジタルプラットフォームの実装を担当する新しいデジタルリーダーシップチームを配置する。
同プロジェクトについてアズミン・アリ上級相(兼通産相)は、MIDAが掲げる「ライトハウス・プロジェクト」(人工知能・付加製造・インダストリー4.0を推奨するイニシアティブ)に沿ったものとコメント。国際企業の戦略的で質の高い投資を誘致する国家の努力の証だと述べた。マレーシアは、熟練した人材、業界のエコシステム、ビジネスサポートにおいて、国際企業の投資先として適切な水準にあると評価した。また同プロジェクトの実装が成功し最新テクノロジーが採用されることで、最終的に世界トップの製造国になることを目指すとした。
同プロジェクトはデザイン、製造、eコマース、マーケティング、アフターサービスに至るまでのサプライチェーン全体をデジタル化することを目的としており、研究開発(R&D)、サプライチェーン、自動化、eコマース、マーケティング、金融などの分野で雇用機会の創出が見込めるとの見解を示した。
マレーシアでの事業展開についてミュージック・トライブの創設者であるウリ・ベリンガ最高経営責任者(CEO)は、政府のサポート、顧客との近接性、人材、サプライチェーンを本社設立先に選んだ理由として説明した。

ショッピングモール、顧客を呼び込むためキャンペーン実施

【ペタリンジャヤ】 新型コロナウイルス感染拡大の影響で臨時休業に追い込まれていたショッピングモールでは、顧客を呼び込むための販売促進キャンペーンを実施している。
スリアKLCCでは、7月12日まで今年最大のキャンペーンと題して「ゴールデン・チケット・キャンペーン」を実施しており、150リンギ以上買い物をすると、5,000リンギ分の買い物券が当たる抽選に参加できる。アンドリュー・ブライエン最高責任者(CEO)によると、ショッピング体験を向上させる方法を日々考えているとし、今回のキャンペーンでは当選金額を引き上げた。
一方でワンウタマ・ショッピング・センターでは、アプリをアップグレードした他、非接触型のキャッシュレス決済を導入した。小売店舗への刺激策として行動制限令前に100万リンギを投じると発表していたが、追加で100万リンギを投入することを決めた。買い物を楽しんでもらうために5−50リンギの電子マネーの買い物券などの提供を行う。
またマイタウン・ショッピング・センターでは、150万リンギをかけて売り上げを上げるために刺激策を実施。デジタル・プラットフォームなどと提携して、電子クーポンを無料配布するほか、モバイル向けショートムービープラットフォームアプリ「ティックトック」と提携して顧客を呼び込んでいる。
(ザ・スター、7月8日)

ブロードバンド基盤、電力TNBが5州以外でも敷設

【ジャシン】 電力最大手のテナガ・ナショナル(TNB)は国家光ファイバー化・接続性計画(NFCP)に基づき通信基盤を整備する州を増やす。
TNBは、マラッカ、ペラ、ペナン、ケダ、ジョホールの5州で光ファイバーを敷設する試験プロジェクトを実施しているが、サイフディン通信マルチメディア相によると、マレーシア半島のほかの重要州でも光ファイバーを敷設する準備を進めている。通信事業者による敷設を補完するものだという。
NFCPでインターネット接続サービスを提供しているのは、Digi、アストロ、マキシス、シティー・ブロードバンドの4社で、通信速度は毎秒30メガビット-1ギガビット。
NFCPは光ファイバーと無線通信を組み合わせた通信インフラで、2023年までに全国の住宅地の98%でブロードバンドサービスが利用できるようにする。通信速度は30メガビット以上。
(ベルナマ通信、7月7日)