KL―バンコク間高速鉄道、政府が実行可能性調査を実施中

【クアラルンプール】 クアラルンプール(KL)―シンガポール間のプロジェクト中止が決まった高速鉄道(HSR)整備計画だが、マレーシア政府はKL―バンコク間についてはいまだ実行可能性の調査を行っている。ムスタパ・モハメド首相府相(経済問題担当)が下院議会質疑で明らかにした。
KL―バンコク間については、マレーシア・タイ両国が、両国の経済関係強化のために高速鉄道計画を研究することで2016年に合意しており、タイ側はシンガポールまでのアクセスを見据えて、高速鉄道計画の研究に着手する準備が出来ているとマレーシア側に伝えてきていたという。
結局、マレーシア側はKL―シンガポール間のプロジェクトを優先させたが、2020年12月31日までの期限までにシンガポール側と合意できなかったために中止となった。ただKL―ジョホールバル(JB)間に関する調査はすでに完了しており、内閣に提出できる状態にあるという。
高速鉄道建設計画は先ごろナジブ・ラザク元首相が経済波及効果への期待から復活を提案し、ムヒディン・ヤシン前首相はKL―バンコク間をKL―JB間より優先すべきと提言していた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、10月7日)

原油値上がりでインフレ傾向に、しかしスタグフレーションはない

【クアラルンプール】 エコノミストは、原油の値上がりでマレーシアは軽度のインフレ圧力にさらされるが、スタグフレーション(景気停滞下のインフレ)にはならないと予想している。
政府系金融機関MIDFのイムラン・ヤシン調査部長は、オクタン価95のガソリン(RON95)価格がリットル2.05リンギに統制されており、原油値上がりの物価への影響は緩和されると述べた。
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくるOPECプラスが、原油生産を増やす可能性もあるという。
マレーシア科学技術大学のジェフリー・ウィリアムズ教授は、ガソリン価格統制以外に、石油輸出国であるマレーシアは原油値上がりで利益を得る点も考慮すべきと述べた。
原油価格が1バレル42米ドルだった時、政府は石油関連収入を379億リンギと見積もったが、現在価格はほぼ2倍のため、収入増は確実で増税の必要性は減るという。
(マレーシアン・リザーブ、10月6日)

 

タイのサイアムピワット、パビリオンブキジャリルに出店

【クアラルンプール】 タイで高級ショッピングモールを展開するサイアム・ピワットは、クアラルンプール郊外のブキジャリルでまもなく開業する大型ショッピングモール「パビリオン・ブキジャリル」に出店すると発表した。同社にとって初の海外展開となる。
サイアム・ピワットは、パビリオン・ブキジャリル内に1万1,000平方フィートの店舗を構え、「エコトピア」「アイコンクラフト」「アブソルート・サイアム」という3つのコンセプトによりタイ国内ブランドを紹介していく。
サイアム・ピワットのリテールビジネスグループ最高経営責任者であるウサラ・ヨンギピヤプル氏は、同社の目標は、世界中でタイ・ブランドの評判を高め、タイを世界の舞台に立たせることだとし、初の海外展開先としてパビリオン・ブキジャリルを選択したのは、パビリオンがタイ・ブランドを最もよく表現できると確信したからだと述べた。
パビリオン・ブキジャリルを運営するクアラルンプール・パビリオンのジョイス・ヤップ最高経営責任者は、タイは都会的な高級ショッピングモールでよく知られているとし、2019年にはタイが「マレーシア人が最も愛する旅行先」の一つとして選ばれ、1年間で300万人以上のマレーシア人がタイを訪れたと述べた。タイの独特でありつつ繊細な工芸品や手仕事はその多様な伝統文化をよく表しており、新店舗ではそれを実際に体験できると強調。両社の協働によりマレーシアにいながらにして異文化体験ができるため、顧客の購買意欲向上につながり、ひいては景気回復にも貢献できると述べた。
パビリオン・ブキジャリルは、地域最大級のライフスタイル提案型総合ショッピングモール。5つのフロアで構成され、総面積は180万平方フィート。12月3日のオープンを予定している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、10月7日)

駐在員パス取得費用を大幅引き上げ=タレントコープ

【クアラルンプール】 人的資源省傘下の人材公社、タレント・コープが先ごろ、外国人駐在員パスの取得費用を大幅に引き上げると発表。マレーシア経営者連盟(MEF)は企業の負担を増す誤った政策であり、景気回復を危うくしかねないと懸念を示している。
タレント・コープの発表によると、11月15日より雇用パス(EP)は480リンギから800リンギに、プロフェッショナル訪問パス(PVP)は100リンギから800リンギに、扶養家族パス(DP)は83リンギから450リンギにそれぞれ大幅に引き上げることになっている。
MEFのサイド・フセイン会長は、「景気回復に向けてより多くの投資を呼び込み、既存の投資家を維持できるようにするために非常に重要な段階にある」と強調した上で、駐在員向けパス取得費用の大幅増額は企業に混乱を引き起こし、パス更新を困難にさせ事業継続を難しくする懸念があると指摘。企業があらゆる支援を必要としている中にあって、企業のコスト負担を増すのではなく、むしろ投資を呼び込むためにより良い条件を提示すべきだとした。
(ヴァイブス、ザ・サン、10月7日、ベルナマ通信、10月6日)

インターネット普及率、来年末までに96.9%へ=MCMC

【クアラルンプール】 マレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)は、2022年末までに全国でのインターネット普及率を96.9%にすることを目標としている。
MCMCのファドルラ・スハイミ委員長は、パハン州で4日に開催された通信サービス問題に関する対話セッションに参加した後の会見で、9月末時点でのインターネット普及率は94.1%、回線速度は30メガビット/秒(Mbps)となっていると説明。来年の回線速度目標は35Mbps。光ファイバーについては、年間で施設110万カ所での導入を目標としているが、現状の導入ペースでは50万カ所程度となってしまうため、導入を急ぐとした。通信インフラ設備は、人口の多い地域から順に整備を進める。
同セッションには、パハン州公共事業・交通・保健委員会のノロラザリ・スライマン委員長も参加。ノロラザリ氏は、MCMCの尽力により、今後パハン州ベラ地区の住民10万人以上がより良い通信サービスを受けられるようになると強調。今年から来年にかけ5,000万リンギ相当の通信タワー16基がベラ地区に新設されるなど、段階的にインターネット設備が拡充しているとした。
(ベルナマ通信、10月4日)

ホテル55軒が廃業、休業は86軒に=観光芸術文化省

【クアラルンプール】  新型コロナウイルス「Covid-19」感染症拡大の影響で、昨年3月から現在までの間に全国で廃業したホテルは55軒に、休業したホテルは86軒に及んでいる。
観光芸術文化省(MOTAC)のサンタラ・クマール副大臣が下院答弁で明らかにしたところによると、同期間中に推定8,000人以上のホテル従業員が解雇された。打撃を受けた観光業への支援策として、「人民保護と経済回復パッケージ」(PEMULIH)や「国民と経済を強化するための戦略的プログラム(PEMERKASA)」に加え、▽一時金支給▽電気料金割引の年末までの延長▽観光・サービス税の免除▽税金分割払いの延長▽賃金補助制度ーーなどを提供。観光施設・インフラの整備には3,000万リンギを割り当て、現在までに全国で89のプロジェクトを実施した。
2021年度予算では、トレンガヌ、マラッカ、サラワク、ネグリ・センビランの文化村のインフラ整備に2,000万リンギを計上したという。
同氏は、MOTACが州政府と緊密に連携し、観光振興を続けてきたのは、観光地をより魅力的にして、国内経済の成長に貢献するためだと強調。最適な状態で観光インフラを利用できるようにするため、主要な人気エリアでメンテナンスや改修を実施しているとした。
(ベルナマ通信、10月4日)

多国籍企業9社が国内事業を停止、パンデミックの影響で

【ペタリンジャヤ】  昨年3月から今年5月までの間に国内事業を停止した多国籍企業は9社に上る。アズミン・アリ上級相(兼通産相)が下院答弁で明らかにした。
具体的な社名として、▽香港系繊維企業エスクエル・マレーシア(ペナン)▽同(クランタン)▽香港系繊維企業ペン・アパレル▽ベルギー系鋼線企業ベカート・イポー▽米系金属加工・供給企業ハウコ・メタル・マネージメント・マレーシア▽独系機械製造企業トランスノーム・システム▽仏系建材企業テリアル・マレーシア▽スイス系化学企業シーカ・キミア▽日系家電製造企業ソニーEMCS (マレーシア) ーーを挙げた。
同相によると、パンデミックによる世界経済の低迷や海外需要の減少が事業停止の主要因。その他、運営コストの上昇、同業他社との競争激化、製品需要の不足、企業再編なども要因だという。
一方、同相は、マレーシアは依然として東南アジアでトップレベルの投資先であり続けていると強調。1月から6月までに承認された投資額は1,075億リンギで、前年同期の633億リンギに比べて69.8%増加。そのうち625億リンギは海外からの直接投資で、前年同期比214.9%の大幅増加。その内訳は、▽シンガポール(435億リンギ)▽韓国(63億リンギ)▽オランダ(51億リンギ)▽英領バージン諸島(30億リンギ)▽日本(6億リンギ)ーーだったという。
(フリー・マレーシア・トゥデー、10月1日)

12月の海外旅行解禁目指す、接種率90%超で=首相

【クアラルンプール】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は3日、観光目的での海外旅行について、12月までの解禁を目指すと発表した。成人の新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種率が早期に90%を越えた場合、さらに解禁が早まる可能性も示した。
外国人のマレーシア入国も可能にする。海外旅行解禁後には、出入国許可申請プログラム「マイトラベルパス」での申請も不要となる。また、シンガポールとの間で相互グリーンレーン(RGL)を停止している件については、ジョホール州の労働者がシンガポールに通勤できるよう、シンガポールと協議中であるとした。
首相は、また、州間移動解禁を切望する国民の気持ちを理解しているとし、行動制限令(MCO)により打撃を受けた観光業を復興させるためにも州間移動は必要だと強調。ワクチン接種率が86%を越えたことから、州間移動が解禁される日も近いと述べた。解禁のための基準を以前の80%から90%に変更したことについては、州・地域により接種率に違いが生じているため、全国で90%にすることで各州・地域の平均値も80%以上になるとした。州間移動を解禁する際には、どの州・地域も取りこぼさず全国的に実施する方針だ。
(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、10月3日)

 

経済は来年回復、財務省が財政委員会に報告

【クアラルンプール】 今年2回目の財政政策委員会会合が開催され、財務省担当者が現在の経済、財務状態、中期的見通しについて説明した。経済は来年、回復が期待できるという。国際通貨基金(IMF)は6.0%、世界銀行は5.8%の経済成長率を予想している。
会合には財務省、首相府(経済担当)の大臣のほか、財務次官、経済企画局長、中央銀行総裁が出席。イスマリ・サブリ・ヤアコブ首相が議長を務めた。
財務省の説明によると、マレーシアは開かれた経済体のため、世界経済、特に主要貿易相手国の経済動向に大いに左右されるが、世界経済は回復が見込まれており、これに伴い国内経済も持ち直しが期待できる。
政策面では、店内飲食や観光の許容など、国家復興計画に基づく経済部門の開放で経済の先行きは明るさが見えており、また4、5月の経済が拡大したように、景気対策も効果があったという。
(ベルナマ通信、マレー・メイル、9月30日)

ゲンティンやマラッカの観光施設が再開、州民対象に

【クアラルンプール】  国家復興計画(NRP)の各州における段階が見直されたことを受け、第3フェーズに指定替えとなったパハン州のゲンティン・ハイランドやマラッカ州の観光施設が10月1日付けで再開された。但し州を跨いだ移動まだが認められていないため、州民のみに訪問・利用が制限される。
第3フェーズに移行することを受け、ゲンティン・ハイランドでカジノリゾートを運営するゲンティン・マレーシアは、「リゾート・ワールド・ゲンティン」の営業を再開すると発表した。利用できるのはワクチン接種を完了した人だけで、標準的運用手順(SOP)の順守が求められる。ゲンティン・ハイランドはティオマン島と共に、ランカウイに続く「トラベルバブル」指定候補地とされていたが、実施が見送られていた。
マラッカ州政府も、州民を対象に博物館や動物園、アートギャラリーなどの観光施設を再開すると発表した。
州観光・遺産・文化委員会のムハンマド・ジャイラニ・カミス議長によると、通常の収容能力の50%を上限とし、マスク着用や社会的距離をとることなどが求められる。
ポジティブとしてリストされている観光施設だけでなく、エンターテインメントクラブやナイトクラブのようにネガティブとしてリストされている観光施設も含まれる。
(ベルナマ通信、エッジ、9月30日)