環境団体、日本とマレーシアに対しCCSの取りやめを要求

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国際環境ネットワーク「フレンズ・オブ・ジ・アース(FoE)インターナショナル」のメンバーである、環境団体サハバット・アラム・マレーシア(FoEマレーシア)とFoEジャパンは21日、日本政府とマレーシア政府に対し、炭素回収貯留(CCS)技術を促進しないよう求める公開書簡を提出した。

二酸化炭素(CO2)の排出量が多い日本では、マレーシアを含む他国へのCO2輸出を積極的に検討しており、海外CCSバリューチェーン構築に向けた共同検討に関する覚書の締結などを行っている。

両団体は、マレーシアのようなグローバル・サウスの国々にCO2を投棄することは、「歴史的に多くの温室効果ガスを排出してきた国々がより多くの気候変動対策への責任をとる」という気候正義の原則に根本的に反しており、 またCCSはリスクが大きく、コストも高い有効性の立証されていない技術であり、長期的な責任を伴うと主張。このような技術に依存することは、日本の気候変動対策を遅らせるだけだとして、輸出を行わないよう求めている。

FoEジャパン事務局次長で気候変動・エネルギーキャンペーナーの深草亜悠美氏は、これまでも多くのCCS事業が高いコストと技術的困難により失敗してきたとし、日本にはまだ商業規模のCCS事業は存在せず、技術的・財政的な障壁があると説明。日本政府が公然と、他国にCO2を輸出する方が安価な選択肢であると主張しているのは恥ずべきことであり、日本政府は気候変動への公平性の原則とその歴史的責任に基づいて、より高い排出削減目標を設定し、こうした誤った解決策の推進をやめるべきだと述べた。

FoEマレーシアのミーナクシ・ラーマン代表は、他国から輸出されたCO2を受け入れることは、マレーシア自身の排出削減努力を台無しにすることになるとし、マレーシア政府に対し、富裕国からの廃棄物をこれ以上受け入れないよう要求すると言明。マレーシアは、世界のあらゆる廃棄物の投棄場所となるべきではないと述べた。

デジタル分野に関する競争政策セミナー、JICAと公取委が共催

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国際協力機構(JICA)と公正取引委員会(JFTC)は21日、マレーシア競争委員会(MyCC)の職員を対象に、デジタル分野における競争政策をテーマとするオンラインセミナーを共同で開催した。

MyCCがデジタル分野における競争上の問題点の把握を目的とする実態調査を計画する中、MyCCの職員にJFTCの知見を提供し、当該実態調査を充実させることを目的としたもの。セミナー当日は、デジタル分野における競争上の問題に関するJFTCと他の政府機関との連携のあり方やJFTCによって実施されたデジタル分野における各種実態調査の内容についてJFTCが紹介した。セミナーにはMyCCの職員約40人が参加した。

マレーシアでは2010年に競争法が制定され、翌年に競争法の執行機関であるMyCCが設置された。JICAは2021年1月から1年間、さらに2022年11月からは2年間、MyCCに競争法のアドバイザー専門家を派遣し、その後も支援を続けている。今年3月6、7日にもJFTC職員4人が講師として来馬し、「リニエンシー制度」をテーマとする競争法セミナーを共同開催した。

RHBが日清オイリオ現法に持続可能性融資、目標達成に奨励措置

【ペタリンジャヤ】 RHBバンクは日清オイリオグループのマレーシア法人、インターコンチネンタル・スペシャルティ・ファッツ(ISF)との間で、9,000万リンギの持続可能性融資を行う契約を交わした。

契約に基づきISFは、あらかじめ合意された持続可能性の目標達成に応じ、金利の割り戻しを受けることができる。ISFの業務、サプライチェーンへの関与などにおける、パーム油の持続可能性の向上に貢献する内容だ。ISFはパーム油由来の付加価値油などの製造・販売を行っている。

RHBバンキング・グループのラシド・モハマド最高経営責任者(CEO)は「今回の融資は、持続可能な開発に対するわが社のビジョンを体現するだけでなく、積極的変化の触媒というRHBの役割を強化する」と述べた。

ISFの石神高CEOは、RHBとの協働は持続可能性および環境・社会・企業統治(ESG)原則への両社のコミットを体現していると述べた。

IFSは2019年に、マレーシア三井住友銀行から環境配慮評価融資を受けた実績がある。銀行側の環境配慮評価基準に基づき、企業の環境配慮状況を評価し、評価結果に応じ融資条件が設定される内容だった。
(ザ・サン、3月22日)

NECマレーシア、イスカンダルプテリに新サービス拠点を開設

【クアラルンプール】 日本電気(本社・東京都港区)のマレーシア現地法人NECマレーシアは20日、ジョホール州イスカンダル・プテリにITサービス拠点である「インテリジェント・センター・オペレーションズ・オブ・NEC(ICON)」を開設した。

ICONは、サービスデスク業務、ネットワーク・オペレーション・センター、セキュリティ・オペレーション・センターの機能を統合した拠点。コールセンターとしてAI自動化ツールを活用しつつ、アジア顧客の多様なニーズに対応するため、8カ国語でサポートを提供する。知識移転の拠点としても位置づけられており、優秀な現地人材に対し、NECの技術に関する総合的なトレーニングを提供し、今後5年間での人材育成を目指す。

NECマレーシアは2021年にイスカンダル・プテリのサンウェイ・シトリン・ハブに東南アジア向けのカスタマーサポートセンターを開設しており、今回はその拡張移転となる。
(ビジネス・トゥデー、3月21日、NEC発表資料)

米テスラ、第2四半期に全国5カ所に充電器設置へ

【クアラルンプール】 電気自動車(EV)メーカーの米テスラは20日、今年第2四半期に同社のEV充電網を拡充すると発表した。

急速充電器「スーパーチャージャー」およびテスラ車所有者が無料で利用できる充電器「デスティネーション・チャージング」を今年第2四半期から全国5カ所に設置する。内訳は、クアラルンプール(KL)に2カ所、プトラジャヤに1カ所、ペナン州セベラン・プライに1カ所、パハン州クアンタンに1カ所となる見込みだ。

テスラは同日、セランゴール州のタウンシップ「ガムダ・コープ」の駐車場にスーパーチャージャー6基とデスティネーション・チャージング18基を設置したと発表した。これにより同社がマレーシア国内に現時点で設置しているEV充電器数は、スーパーチャージャーが7カ所・36基、デスティネーション・チャージングが9カ所・55基となった。
(ポールタン、ビジネス・トゥデー、3月20日)

冷却装置の米ベンティバ、クラリオンマレーシアと提携

【フリーモント(米カリフォルニア州)=マレーシアBIZナビ】 電子機器用冷却ソリューションの米ベンティバは19日、マレーシアでの独自の「イオン冷却エンジン(ICE)」装置の製造拡大に向け、クラリオン(マレーシア)傘下のクリスタル・プレシジョン(M)と提携すると発表した。

ベンティバのプレスリリースによると、クリスタル・プレシジョン(M)の4万平方フィートの工場に、月産400万個の生産能力を持つ生産ラインを設置する。これにより2025年から、「ICE」の大量出荷が可能になるという。

ベンティバの「ICE」は静音で熱伝達を可能とする熱管理技術で、薄型、軽量、超小型のノートパソコンなどの電子機器に装備されることを想定している。電気流体力学の気流の原理に基づいて構築されており、電子機器の唯一の可動部品であるファンを排除し、極小プラズマ場の力を利用して空気の流れを生成する。ベンティバは現在、熱設計電力(TDP)30ワットまでのノートパソコンに冷却システムを提供している。

能登半島地震の募金活動、イオンタマンマルリ店で開催へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 石川県出身者らが中心となった能登半島地震の被災者支援募金活動が、イオン・カンパニー(M)やアジアインフォネット(M)などの協力で2週にわたって週末にイオン・タマンマルリ店で行われる。

同地震のニュースを知らないマレーシア市民らに被害の実態を知ってもらうことが目的。募金は被災地にピンポイントかつ速やかに届ける。募金活動の実施日は3月23、24、30、31日の4日間で、時間は12時―17時を予定している。

今年元旦に起きた同地震では、能登地方にある酒蔵11カ所すべてが大きな被害を受けたが、日本酒を輸入しているマレーシア輸入卸会社などから1万5,000リンギの寄付が寄せられており、義援金は石川県庁や石川県酒造組合連合会に送られている。

エニーマインド、マレーシアのEC支援企業を子会社化へ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ブランドコマース・パートナーグロースのエニーマインド・グループ(本社・東京都港区) は21日、マレーシアでEC支援事業を展開するアーチェデジタルの全株式を取得し、子会社化すると発表した。マレーシアのEC支援事業体制の強化を図る。

アーチェデジタルは2015年の創業以来、グローバルスキンケアブランドや日用品ブランドを含むさまざまな企業のEC事業をサポートし、100万件以上の注文を獲得してきた。エニーマインドにとって今回の買収は、2023年のインドネシアのDDIに続き、2社目のEC支援会社の買収となる。

エニーマインドは今回の買収により、同社のEC関連プラットフォームをはじめとするテクノロジー技術や現地法人のグローバルネットワークと、アーチェデジタルのマレーシアにおけるECオペレーションチームやクライアントネットワークをかけ合わせたBPaaSモデル(ソフトウェアとオペレーション支援機能を組み合わせて提供するビジネスモデル)のソリューションにより、国内外のブランドのマレーシアにおけるEC事業をサポートできるようになるとしている。

今年のマレーシア経済、景気上昇の見込み=ニッセイ基礎研究所

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 シンクタンクのニッセイ基礎研究所は19日、「東南アジア経済の見通しー輸出底打ちで再び緩やかな回復軌道に復帰」と題したレポートを発表した。

同社経済研究部准主任研究員の斉藤誠氏によると、東南アジア5カ国(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム)の2024年の経済は、輸出と製造業が持ち直して景気回復局面が続くものの、サービス業の増勢が鈍化して実体経済は盛り上がりに欠ける展開となるという。

マレーシア経済については、2024年は堅調な内需と輸出の回復により景気が上向くと予想している。外需は半導体需要の回復により電気・電子(E&E)セクターが持ち直して輸出が回復に向かい、外国人観光客の増加によるサービス輸出の持続的な拡大も見込まれる。民間消費は観光業の回復などが下支えとなるが、インフレの加速により増勢が鈍化する見込みだ。

投資は東海岸鉄道線(ECRL)など進行中のインフラ計画の進展などが追い風となる一方、サービス税率引き上げなどの財政再建を行う計画であるため、景気のサポートは限定的だとしている。

金融政策については、中央銀行バンク・ネガラ(BNM)が利上げを段階的に実施した後、現在は据え置いている状態だが、今後もインフレ加速の動向を見極めつつ、年内は現行水準を維持すると予想。2024年の実質GDP成長率はプラス4.2%に上昇する(2023年はプラス3.7%)と見込まれるという。

マレーシア人訪日者数、2月は88.2%増の6万200人

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本政府観光局(JNTO)が発表した2024年2月の訪日者数統計(推計値)によると、マレーシアからの訪日者数は6万200人となり、前年同月比で88.2%、前月比で87.5%増加した。 2月としては過去最高となった。

JNTOによると、旅行代金の高騰、LCCの地方路線の回復の遅れ等の影響があったが、スノーシーズンによる訪日需要の高まり、旧正月とスクールホリデー時期の重なり等の影響もあり大幅に増加した。なお、新型コロナ前の2019年同月との比較でも64.2%増となった。

クアラルンプール(KL)ー新千歳間の復便もあり、日本への直行便数は前年同月に比べ回復傾向にある。

2月の世界全体の訪日者数は、前年同月から 89.0%増の278万8,800人、2019年同月からは7.1%増となった。うるう年の影響で日数が例年より 1日多かったことに加え、2023年は1月だった旧正月(春節)が 2月中旬となったことも影響した。コロナ禍以降で最多を更新し、2月としても過去最高となった。

JNTOは、昨年3月に策定された第4次観光立国推進基本計画で3つの柱「持続可能な観光」、「消費額拡大」、「地方誘客促進」が示されるとともに、旅行消費額・地方部宿泊数等に関する新たな政府目標が掲げられたとし、これらの実現に向けて、市場動向を綿密に分析しながら、戦略的な訪日旅行プロモーションに取り組んでいくとしている。