【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)は11日、2021年通年の国内総生産(GDP)成長率について3.1%だったと発表した。前年は新型コロナウィルス「Covid-19」の感染拡大の影響で、マイナス4.6%と1998年のアジア通貨危機以以来最大の落ち込みとなっていた反動で2年ぶりにプラス成長となったものの、2019年の水準には回復しなかった。
製造業は、ロックダウンが実施された第3四半期にマイナス0.8%となったが、第1、2、4四半期はプラス成長で、通年では9.5%となり、前年のマイナス2.6%から回復した。サービス業は通年ではプラス1.9%で、前年のマイナス5.5%からプラス転換した。昨年はマイナス10.6%成長だった鉱業もプラス0.7%に回復。マイナス19.4%だった建設業は、工事の再開に伴いマイナス5.2%に上昇した。前年から外国人労働者不足の影響で生産力が減少している農業もマイナス19.4%からマイナス0.2%に回復した。
通年の民間消費は前年のマイナス4.3%からプラス1.9%に、民間投資はマイナス11.9%からプラス2.6%に改善。公共消費はプラス3.9%からプラス6.6%に、公共投資はマイナス21.3%からマイナス11.4%に上昇した。輸出と輸入はそれぞれ15.9%と18.5%のプラスで、共に前年の8.9%、8.4%のマイナスから大幅に改善した。
第4四半期(10ー12月)のGDP成長率は、労働市場の回復や政策支援が奏功し、プラス3.6%となった。ロックダウンの影響を受けた前期(マイナス4.5%)からプラス転換した。
製造業のプラス9.1%を筆頭に、サービス業、農業はそれぞれ3.2%、2.8%とプラス成長となった。その一方で、鉱業、建設業は0.9%、12.2%のそれぞれマイナスとなった。
前期にマイナス4.2%だった民間消費はプラス3.7%に改善、民間投資もマイナス4.8%からマイナス3.0%に回復した。公共消費は8.1%から4.3%に縮小したが、公共投資はマイナス28.9%からマイナス3.8%に上昇した。貿易も取引量増加に伴い、輸出はプラス5.1%から13.3%に、輸入は11.7%から14.6%にそれぞれ加速した。
ノル・シャムシア総裁は会見で、国内外の需要改善に伴い、マレーシア経済の回復は続くと予想。その一方で、深刻かつワクチン耐性を持つ変異株が出現しており、世界や国内で新たな感染拡大抑制策につながるとし、リスクは依然として下向きであると懸念を表明した。