【マラッカ】 マラッカ州沖を埋め立て3つの人工島を建設する「マラッカ・ゲートウエー」事業がとん挫した。
州政府は開発推進母体のKAJデベロップメントが事業を履行できなかったとして、2017年10月に交わした契約の失効を宣言した。KAJは用地を州政府に返却しなければならない。
開発面積246ヘクタールの大規模プロジェクトで、人工島には国際クルーズターミナル、マリーナ、高級コンドミニアム、ホテル、プライベートマリーナのある別荘風住宅、テーマパークの建設が計画されていた。中国企業3社との提携で深水港を整備する計画もあった。
プロジェクトには、シンガポールのTREデベロップメント、イタリア企業、韓国とマレーシア企業の合弁体、中国のカセン・インターナショナル、米ロイヤル・カリビアン・クルーズが参加していた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、11月16日)
北部回廊経済圏、今年の投資誘致目標をすでに突破
るマレーシア北部回廊実行庁(NCIA)は今年に入って155億リンギの投資案件を認可し、すでに通年目標の70億リンギを120%上回ったと明らかにした。新型コロナウイルス「Covid-19」が流行し経済は停滞する傾向にあるが、インセンティブや税の優遇措置を実施したことが奏功した。
雇用創出は認可ベースですでに2万3,000人分に達しており、今年通年目標としていた5,900人分を大幅に上回った。NCIAは、NCERの今年の総生産(GDP)成長率についてはマイナス4%となると予想した上で、今年9月にムヒディン・ヤシン首相が発表した「2021ー2025年戦略的開発計画(SDP)」の効果で来年には新型コロナ流行前の水準に戻ると予想した。
NCIAは、スキルアッププログラム「ジョムケルジャ(JomKerja)@NCER」と「ジョムニアガ(JomNiaga)@NCER」を今年8月に立ち上げており、人的資本プログラムにも力を入れている。
NCERでは、ペルリス州の「チュピン・バレー工業地域(CVIA)」、ケダ州のゴム産業集積地「ケダ・ラバー・シティ(KRC)」、「シダム物流・航空・製造ハブ(SLAM)」などの開発が進められている。
NCIAのジェバシンガム・イサアチェ・ジョン最高責任者(CEO)は、NCIAでは経済に大きな影響を及ぼすプロジェクトや人的資本プログラムを推進しており、NCERが世界的な経済、技術の拠点とすることに力添えしていると述べた。
第3四半期の為替相場、リンギが2.9%値上がり
【クアラルンプール】 リンギは第3四半期、対米ドル相場で2.9%値上がりした。非居住者による有価証券投資が買い越しだったことが主因だ。
中央銀行バンク・ネガラ(BNM)のノル・シャムシア総裁は経済統計発表会見で、各国が経済活動を再開し、また米連邦準備制度理事会(FRB)が金融緩和を長期化させる姿勢を明確にしたことなどで投資家心理が改善した。このためほかの域内通貨も米ドルに対し値上がりした。
中国経済の堅調な回復や、国際通貨基金(IMF)が今年の世界経済の見通しを上方修正したことも好材料だという。
マレーシア有価証券市場では9月以降も外国人による買い越しが続いており,9月末との比較で11月12日のリンギは米ドルに対し0.6%値上がりした。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月14日)
KLでの酒類販売ライセンス規定、来年10月より厳格化
【クアラルンプール】 クアラルンプール市政府(DBKL)は、アルコール飲料販売ライセンス申請条件及び販売ガイドラインを発表。来年10月1日付けで食料品店やコンビニエンスストア、中医薬局での高アルコール飲料(スピリッツ)の販売を薬用酒を除いて禁止すると明らかにした。
今月15日付けで発効した新ガイドラインによると、現行のアルコール飲料販売ライセンスの有効期限は来年9月30日までとなり、アルコール飲料を販売するすべての卸売店、バー、ラウンジ、飲食店、倉庫は来年10月以降の販売ライセンスを新たに取得する必要がある。事業所にはライセンスを表示し、入り口にQRコードを表示することが求められる。青は店内で飲めること、黄色は持ち帰りのみ可能であることを意味する。
バー、ラウンジ、飲食店では販売時間は原則午前10時から深夜零時までで、午前2時まで延長申請できる。また卸売店の販売時間は午前7時から深夜零時まで、来年9月末までの食料品店の販売時間は午前7時から午後9時までとする。プロモーション活動の現場では一時ライセンスを取得する必要がある。警察署、礼拝堂、学校、病院に面した場所でのアルコール飲料の販売は禁止となる。
このほか食料品店やコンビニエンスストア、中医薬局でビールを販売する場合、他のノンアルコール飲料と別の場所に置くことが求められる。販売時間についても午前7時から午後9時までとし、販売時間を過ぎたら施錠をする。また購入可能な年齢を18歳以上とする。
(星州日報、11月16日)
エアアジアとアリババ、物流部門の提携で急送宅配サービス
【深セン=マレーシアBIZナビ】 格安航空大手エアアジアの物流部門テレポートは、中国アリババの物流部門、菜鳥網絡(ツァイニャオ)と提携契約を交わした。アリババが運営する中国最大の小売りオンラインショッピングモールの天猫が受けた注文品を配送する。エアアジアが発表した。
当初の中国側拠点は広東省深センで、エアアジアの輸送網を活用し貨物をサバ州コタキナバルに運ぶ。注文確定から24時間以内の配達を実現する。
テレポートのピート・ジャロンウォンサク最高経営責任者(CEO)によれば、同社は菜鳥網絡と貨物チャーター便の運航で提携したことがあり、今回の取り決めは自然な流れだという。
当初は東マレーシア(サバ、サラワク州)への配送のみ扱うが、いずれ東南アジア全域への配送にも乗り出すという。
菜鳥網絡は、国境を越えた注文品輸送が増えるなか、迅速な配達が鍵になるとみている。
マレーシアのGDP、第3四半期は2.7%のマイナス成長

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)は13日、2020年第3四半期(7ー9月)の国内総生産(GDP)成長率が2.7%のマイナス成長になったと明らかにした。新型コロナウイルス「Covid-19」の感染拡大の影響を受けてマイナス17.1%に落ち込んだ前期からは改善した。
セクター別では、前期にマイナス18.3%だった製造業が堅調な対外需要を受けて3.3%にプラス回復した。また景気を牽引してきたサービス業も行動制限令(MCO)解除後の需要拡大から、マイナス16.2%からマイナス4.0%へ回復した。鉱業も石油ガス需要回復によりマイナス20.0%からマイナス6.8%へ、建設も工事再開によりマイナス44.5%からマイナス12.4%へといずれもマイナス成長ながらも回復した。ただ農業はアブラヤシ収量が減少したことから、前期の1.0%のプラス成長から0.7%のマイナス成長に落ち込んだ。
国内需要は前期のマイナス18.7%からマイナス3.3%に改善、民間消費もマイナス18.5%からマイナス2.1%に、民間投資もマイナス26.4%からマイナス9.3%にそれぞれ改善した。
公共支出は新型コロナ対策に基づく補助金拡大などにより前期のプラス2.3%からプラス6.9%に拡大。公共投資もマイナス38.7%からマイナス18.6%に改善した。
モノとサービスの輸出はマイナス21.7%からマイナス4.7%に回復。輸入もマイナス19.7%からマイナス7.8%に改善した。
■来年通年は6.5—7.5%のプラス成長■
中銀のノル・シャムシア・ユヌス総裁は、新型コロナの第三波にともなう全国規模の条件付き行動制限令(CMCO)が第4四半期の経済に一定の影響を及ぼす可能性があると指摘。マイナス3.5—5.5%としている今年通年の経済成長予想にはすでに織り込み済みだが、予想の下限に近づきつつあるとした。
また来年についても引き続き下振れリスクに晒されているとした上で、今年第2四半期のマイナス幅から推察するとそれほど深刻にならないと予想されると指摘。6.5—7.5%のプラス成長に回復するとの見方を示した。
ゴム手袋大手4社、計4億リンギをウイルス対策基金に拠出
【クアラルンプール】 大手ゴム手袋メーカー4社は、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)対策基金に対し、合計4億リンギの寄付を行うことを政府に約束した。テンク・ザフルル財務相が6日、2021年度予算案の提出に際し明らかにした。ゴム手袋メーカーはウイルス禍を原因とする世界的な需要増の恩恵を受けている。
基金原資は450億リンギだが、支援措置は2022年まで必要と政府はみており、テンク・ザフルル氏は基金枠の650億リンギへの拡大を提案した。
基金への予定拠出額は、トップ・グローブが1億8,500万リンギ、ハルタレガ・ホールディングスが9,000万リンギ、スーパーマックスが7,500万リンギ、コッサン・ラバー・インダストリーズが5,000万リンギ。
拠出金はワクチンと医療器材の購入に利用される。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月7日、エッジ、11月6日)
来年度予算案発表、過去最大規模の3225億リンギに
【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 テンク・ザフルル財務相は6日、下院議会に2021年度(2021年1月1日—12月31日)予算案を提出した。
新型コロナウイルス「Covid-19」対策などの支出増加のため、予算規模は過去最高の3,225億4,000万リンギとなり、今年度予算の2,970億リンギを255億4,000万リンギも上回った。2021年の歳入は2,369億リンギの見込み。なお今年の歳出は当初予算を177億リンギオーバーして3,147億リンギとなり、財政赤字の対国内総生産(GDP)比は当初の見込みの3.2%から6.0%に大幅に上昇した。
来年度の一般歳出は2,365億リンギで全体の73.3%を占めた。開発予算は690億リンギで全体の21.4%、このほか新型コロナウイルスの対策基金として5.3%に当たる170億リンギを割り当てた。予算のテーマは「我々の強さは我々の集団的勝利にある」で、▽国民の幸福▽ビジネスの継続性▽経済的回復力——の3つの柱に基づく。
新型コロナ第3波対策として10億リンギを計上。4億7,500万リンギを検査薬や消耗品の購入、3億1,800万リンギを個人用保護具(PPE)の購入、1億5,000万リンギを国家災害管理局(Nadma)にそれぞれ充てる。医療最前線のスタッフに500リンギの一時金を支払う。
低・中所得者向けの支援策「Kita Prihatin(私たちの関心事)」基金への拠出額をこれまでの200億リンギから650億リンギに増額する。
生活費に困窮している人に配慮し、従業員積立基金(EPF)の第一口座から向こう12カ月間、最大で月々500リンギの引き出しを認める。また2021年1月から従業員の最低拠出率を9%に引き下げる。このほか生命保険やタカフル購入、重大な疾病に際しては第2口座からの引き出しを認める。
年収5万—7万リンギを対象に所得税率を1ポイント引き下げる。140万人が対象になるとみられる。また最初の住宅購入に際する印紙税を、50万リンギを上限に免除する。
「プリンシプル・ハブ」の税制優遇条件緩和を2022年12月31日まで延長する。また選ばれた製造業におけるマレーシアへの移転に伴う税制優遇措置についても、2022年12月31日まで延長する。
国家デジタル・ネットワーク(JENDELA)に5億リンギ、2021—22年にかけブロードバンドサービス拡充のため74億リンギを計上する。ブミプトラ(マレー人および先住民族の総称)底上げに向けて46億リンギを割り当て、またブミ中小零細企業向けの融資に5.1億リンギ割り当てる。石油・ガスや航空宇宙産業などの高技術企業に30億リンギを充てる。
スポンサードリンク■来年のGDP成長、6.5ー7.5%と予想■
財務省は同日、「2020/21年経済リポート」を発表。 2020年の国内総生産(GDP)成長率予想についてマイナス4.5%、2021年についてはプラス6.5ー7.5%とした。
産業別の今年のGDP成長率予想は、建設業が18.7%、鉱業・採掘業が7.8%、サービス業が3.7%、製造業が3.0%、農業が1.2%と全てマイナス成長の見込み。2021年は建設業が13.9%、サービス業と製造業が7.0%、農業が4.7%、鉱業が4.1%とすべてプラス成長が見込まれている。
失業率は昨年3.3%だったが、今年は4.2%に上昇することが予想されるが、来年は3.5%に下降することが見込まれている。
今年の消費者物価指数(CPI=2010年を100として算出)はー1.0%で、来年はプラス2.5%に転じる予想だ。
来年度予算、「コロナ対策に最重点」ムヒディン首相
【プトラジャヤ=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン ヤシン首相は4日、来年度予算案発表を2日後に控えて記者会見を行ない、新型コロナウイルス「Covid-19」対策及び国民生活への支援、経済再建に注力する方針であることを強調。財政赤字拡大覚悟で歳出拡大に踏み切る可能性を示唆した。
ムヒディン首相は、かなりの額の予算を新型コロナ対策に割り当てるとし、特にインフラの形で医療の最前線が必要としている支援を増やすと言明。新型コロナ流行が去るまで予算投入を続けると強調した。
また2番目の重点分野については、脆弱な自営業や零細企業、特に新型コロナの影響を受けた企業の支援になるとし、第3の重点分野は雇用機会の拡大、事業活動活性化のための経済刺激策になると明らかにした。
ムヒディン首相は、公的債務残高の上限がこれまでの55%から60%に引き上げられたことから、歳出拡大の余地が十分あると指摘。与党だけでなく野党や非政府組織、経済団体などあらゆる方面の意見を取り入れた包括的な予算案になると強調した。
ムヒディン首相によると、新型コロナの影響で400億リンギ、率にして20%の歳入減が予想されている。一方で政府がこれまでに発表した経済対策の総額は国内総生産(GDP)の20%に相当する2,995億リンギに達しており、うち政府の拠出額は450億リンギに上っている。
新型コロナ第3波&CMCO、ホテル業界に打撃=ホテル協会
【クアラルンプール】 ホテル業界関係者によると、業界は新型コロナウイルス「Covid-19」の感染第3波およびその抑制に向けた条件付き行動制限令(CMCO)の発令による打撃を受けている。
マレーシア・ホテル協会(MAH)のヤップ・リップセン最高責任者(CEO)は、新型コロナ感染者数の急増によりホテルの予約キャンセルが相次ぎ、10月の第2週におけるホテルの稼働率が約30%に低下したと指摘。CMCOの施行対象となっているサバ州、クアラルンプール(KL)、プトラジャヤ、セランゴール州ではさらに低下するとの見方を示した。ホテル業界における標準運用手順(SOP)については、感染ピーク時にも対処できるよう設定されていると強調した。
MAHによると1 7月間の平均稼働率は32.3%。7月単月では36.69%に上り、パハン州、トレンガヌ州、ペラ州の稼働率は50%を超えた。稼働率のピークは8月の連休で、42%にまで上昇。その後やや減少し約39%を維持していた。1ー6月間の客室の損失額は33億リンギを超えるという。
マレーシア旅行代理店協会(MATTA)のモハド・アキル・モハド・ユソフ副会長は、観光地に隣接する州で新型コロナが蔓延しているため、9月から予約キャンセル数が増加していると言明。ホテル経営者、航空会社、飲食店など観光客から収入を得ている業界が打撃を受けていると述べた。これらの業界が生き残るためには、感染率の低い国との国境再開だと主張した。
(マレーシアン・リザーブ、10月28日)