ボルボがバッテリー電気トラック発売、東南アジアで初

【クアラルンプール】 ボルボ・トラック・マレーシアは、バッテリー電気トラック(プライムムーバ)、「FH」、「FM」、「FMX」の3種の発売を開始した。

ボルボのバッテリー電気トラックの発売は、東南アジアではこれが初めて。すでに物流大手のスウィフト・ホーレージに納車されることが決まっている。

今回発表されたモデルは、最高出力666馬力(PS)、最大トルク2,400Nmを発揮する2ー3基のモーターで構成される電動パワートレインとバッテリー2ー6基が搭載され、電力容量は180ー540キロワット時(kWh)。バッテリーのフル充電までの充電時間は、43キロワット(kw)の交流(AC)充電で10時間、欧州規格の240kwのCCS2充電で1時間55分となる。44トンの貨物を積載した場合の航続距離は最長300キロメートル。「FH」モデルのディーゼル車との比較では、電動車の方が使用エネルギーを50%削減できるという。

価格は、牽引する車両やカスタマイズにより変わるが、バッテリー6基を搭載した「FM」の場合は200万リンギ程度になるという。
(ポールタン、7月11日)

アンワル首相が米テスラのマスクCEOと会談へ、投資拡大に向け

【セレンバン】 アンワル・イブラヒム首相は7日、9日週に電気自動車(EV)メーカーの米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)と会談する予定があり、マレーシアへの投資拡大について探る予定だと明らかにした。

アンワル首相は、マスクCEOの方から会談を申し出てきたとし、歳入を増やし、現在1兆5,000億リンギにのぼる負債を減らすためには、より多くの新規投資が必要だと言明。国内外からの直接投資を増やすことが急務で、投資は雇用の創出にも役立つと述べた。

投資貿易産業省は3月、米テスラに対し、バッテリー電気自動車(BEV)のマレーシアへの輸出およびマレーシア国内での本社機能や充電設備網、サービスセンターの設置について承認したと発表。進出条件には、2026年までに高速DC充電器「スーパーチャージャー」50基を設置することが含まれるとしている。テスラは6月にセランゴール州サイバージャヤで現地採用イベントを実施し、6,000人を超える求職者が殺到した。また、テスラ・マレーシアのインスタグラムを開設し、7月20日にマレーシア市場への正式参入を行うと発表している。
(ザ・スター、7月8日、ポールタン、7月7日)

石油輸出国機構、マレーシアなど4カ国に加盟を打診

【クアラルンプール】 石油輸出国機構(OPEC)のハイサム・アル・ガイス事務局長は、OPEC加盟に向けて協議が行われている4カ国の中にマレーシアも含まれていることを明らかにした。OPEC加盟国は世界の石油生産量の約30%を占めている。

マレーシアと共に加盟に向けた協議が行われているのは▽アゼルバイジャン▽ブルネイ▽メキシコーーの3カ国。マレーシアを加えたこれら4カ国は、自主的な生産量削減といったOPECが打ち出すイニシアティブに参加する23カ国からなる緩やかなグループであるOPEC+のメンバー国となっている。

ハイサム事務局長によると、OPECは石油市場の維持と安定化という同じ戦略目標を持つ国々をメンバーに加えるため、加盟国の数を増やすことを検討しているとした上で、4カ国は2017年以来OPECと連帯しているため加盟を打診されているという。

ハイサム事務局長は、「彼らは2020年の市場崩壊と新型コロナのパンデミックにより困難を経験しており、石油市場の安定化という共通の目標を持っている」と述べた。

1960年に設立されたOPECは、産油国間の石油政策に関する調整を図り、公平で安定した価格を確保することを目指している。現在13カ国が加盟しており、そのほとんどが中東とアフリカ諸国で占められている。
(フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、7月6日)

中銀バンクネガラ、政策金利を3%で維持

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は、5、6日の2日にわたって定例金融政策会合(MPC)を開催し、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を3.00%で維持することを決定した。BNMは2022年5月以降、段階的に金利を2.75%まで引き上げた後、据え置いていたが、今年5月に0.25ポイント引き上げて3.00%としていた。

BNMは声明の中で、金融政策のスタンスにおいて現在の金利水準はやや緩和的であり、依然として経済成長を下支えし続けていると説明。金融不均衡のリスクは限定的であるとして、今後も引き続き情勢を監視し、金融政策が物価安定の下で持続的な経済成長を確保するとした。

国内経済については、今年第1四半期は力強い成長を遂げたが、第2四半期は外需鈍化の影響で輸出が減少したことにより成長は緩やかなペースとなったと指摘。しかし、年末までは引き続き底堅い内需が成長を牽引すると予想した。また、良好な労働市場が家計支出を下支えし、外国人観光客増加による観光産業の成長、複数年にまたがる大型インフラプロジェクトによる投資活動の下支えが上振れ圧力となる一方、世界経済の成長が予想を下回る可能性などが成長リスクとなるとした。なおインフレ率は、概ね予想の範囲内で低下していくことが見込まれるという。

世界経済については、力強い労働市場に支えられた底堅い内需や中国経済の活動再開が経済成長を牽引したが、インフレや金利の上昇により圧迫されていると指摘。インフレ率の上昇率は緩やかになってきているものの依然高い水準にあり、今後も金融引き締めが行われると予想し、今後も予想を上回るインフレ率の上昇、地政学的緊張の高まり、急激な金融引き締めなどが景気の下振れリスクとなるとした。

タイの部品製造大手アピコ、プロトン部品子会社に出資

【クアラルンプール】 国民車メーカー、プロトン・ホールディングスは、タイ最大の自動車部品メーカーであるアピコ・ハイテックに自動車部品生産子会社アドバンスド・ビークル・エンジニアリング・グローバル(アヴィー・グローバル)の60%株式を売却すると発表した。

プロトンは40%株式を保有する。アヴィー・グローバルは社名をアピコ・アヴィーに変更し、プロトン車以外の部品の生産も開始する。アピコは、金型、治具、 熱間プレス成形部品、車体組立部品、シャーシ部品を生産する20エーカーの既存工場の拡張に向け、約4,000万リンギの初期投資を行う。2024年までに1億リンギの追加投資を行い、さらなる工場拡張と新機械導入を行う予定。

アヴィー・グローバルは、宮津製作所(現・富士テクニカ宮津)が2003年にプロトン、日商岩井(現・双日)と合弁で設立した、宮津マレーシアを前身としており、現在はタンジョン・マリムでプロトン車の部品生産および金属熱成形を行っている。

アピコは1996年に設立。トヨタ、いすゞ、ホンダ、日産フォード、三菱など、タイ現地生産車向けの1次請け部品サプライヤーで、47の子会社および関連会社で構成され、うち14社はタイ国外(マレーシア、シンガポール、インド、中国、英国、ドイツ、ポルトガル)にあり、従業員数は5,000人以上。2022年の売上高は37億リンギ、利益は2億4,000万リンギ。マレーシアには、ディーラー事業で進出しており、プロトン車を扱うディーラー4店舗を含む合計6店舗を運営している。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月4日、ポールタン、エッジ、7月3日)

リンギ安は経済基礎的要因を反映せず=中銀・金融市場委

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラの金融市場委員会(FMC)は27日、リンギ為替に影響を与えている最近の金融市場の動向について議論するための会合を開催。「現在のリンギ安はマレーシア経済のファンダメンタルズを反映しておらず、行き過ぎている」とする声明を発表した。

FMCは、2022年に世界でも最高水準となる国内総生産(GDP)成長率(+8.7%)を記録したマレーシアの成長の勢いが継続的な国内投資活動、労働市場状況の改善、観光業の活況に支えられ、より緩やかなレベルではあるものの2023年も継続すると予想されるとした上で、 マレーシアの広範かつ多様な経済構造は、世界経済の減速による影響を和らげるのに貢献していると指摘した。

また、リンギと中国元の強い相関関係は馬・中両国の強い貿易関係によるものだとした上で、マレーシアの対外部門は製品セグメントと貿易相手国の両方で多様性を保っていることに留意することが重要だと指摘。 この点がリンギと中国元の間の緊密な協調運動を緩和するのに役立つとみていると指摘した。

さらにFMCは、リンギのボラティリティは地域通貨のボラティリティと同じく上昇しているものの、ボラティリティの上昇幅は不釣り合いに高く、これまでの相対的な動きから乖離していると指摘。 にもかかわらず、オンショア金融市場は依然として強固な基盤を維持しており、 リンギ為替のボラティリティは依然として地域の同業諸国の中で最も低いとした。

また債券市場については、MGS債の非居住者保有率は長期平均値の23.5%に近い水準で推移しているが、 重要なのはMGSがプラスの実質利回りを維持し続けていることであり、マレーシア債券市場に対する外国人投資家の関心が維持していることにあると指摘した。

その上でFMGは今後について、マレーシアの強力な経済ファンダメンタルズに加えて、米連邦準備制度理事会(FRB)の金利の出口政策がより明確化し、中国の景気刺激策から明るい兆しが見えれば、リンギや他のアジア通貨全般を下支えする可能性があると考えているとし、年末までに米ドルに対して広範な回復が続くとのアナリストやエコノミストによる最近の予測を引用した。

ウェブバイツ、小売業向けソリューション体験センターを開設

【クアラルンプール】 販売時点情報管理(POS)などの小売業向けソリューションを手がけるウェブ・バイツは、セランゴール州ペタリンジャヤに「ジルネックス・リテール・テック・エクスペリエンス・センター」を開設した。

同社がPJオールドタウンにおいて運営するカフェ「ワンダーズ」内にオープンしたもので、セルフサービス注文キオスクや、アイパッドPOS、レストラン向けの待ち行列管理システム、キッチン用ディスプレイ・システム、無線周波数識別 (RFID) リーダーを内蔵した小売棚など食品・飲料(F&B)業者向けに特化した幅広い商品を体験できる店舗となっている。

オーイ・ブンシェン最高経営責任者(CEO)は、実際に運営しているカフェや小売店舗内でエクスペリエンス・センターを設置することで、小売業者は実際にどのように作動しているのかを確認したり、直接テクノロジーを体験したりできるとした上で、ショッピングとダイニングを組み合わせた、ハイブリッド店舗などの成長をサポートすることができるとコメント。また同センターを、小売技術のテストベッド(新技術の実証試験に使用されるプラットフォーム)としても活用していくと明らかにした。

開設式典に臨席したマレーシア小売チェーン協会(MRCA)のケン・プア副会長は、今年通年の小売業の成長率について、推定平均成長率である9%を上回り、2桁台になるとの見解を示した。
(ザ・サン、6月26日、ベルナマ通信、6月23日)

ボルネオ島初の大規模データセンターをサラワクに設立へ

【クアラルンプール】 ボルネオ島初の大規模データセンターがサラワク州のコタ・サマラハンに開設される計画だ。

サラワクを拠点とするTSGグループとシンガポールの技術パートナーであるサイクレクト・グループが参加する企業連合体フューチャーデータが運営主体となる。フューチャーグリーン地区の複合開発タウンシップに建設され、受電容量は200メガワット(MW)。カーボンニュートラルかつエネルギー効率の高い技術を活用する。入居企業の要望に添った設備を設計・建設・運営するビルド・トゥ・スーツ方式を導入し、国際企業の多様なニーズに応じてカスタマイズを行う。

TSGグループのクリス・チュン最高経営責任者(CEO)は、フューチャーグリーン地区は、医療や教育施設、クチン近郊でのセカンドハウスを求める外国人居住者向けの高級住宅などがグリーンインフラにより運営されるもので、循環型経済を実現し、各家庭でグリーンエネルギーを生産して電力網に戻すことを目指しているとコメント。サラワク版のグリーンなライフスタイルに向け、考え方や行動の変革が必要だと述べた。
(マレー・メイル、ボルネオポスト、6月22日)

宿泊料値上げや米ドル決済を検討すべき=ホテル協会

【クアラルンプール】 マレーシア・ホテル・オーナー協会(MAHO)は、同協会に加盟するホテルに対して、最低賃金の引き上げ、残業代の増加、電気代上昇によるコスト増の影響を軽減させるために、宿泊料金の値上げや、外国人観光客に対する米ドル決済を検討するよう呼びかけた。

テオ・チェンホン会長は、観光業とホテル業は新型コロナウイルス感染拡大に伴い打撃を受けたが、完全に回復しておらず、コロナ流行時に宿泊料金を30ー40%引き下げたままの状態で、料金を元に戻していないと言明。運営コストが非常に高くなっていることから、ホテルは収益を上げるために対策を取る必要があるとした。稼働率も45ー55%程度にとどまっており、回復していないという。

テオ会長によると、2022年5月に最低賃金が1,200リンギから1,500リンギに引き上げられたことで、人件費は最大で40%上昇し、2022年9月より週の労働時間が48時間から45時間に短縮されたことで、残業代も増加した。また一般家庭以外の電気料金が引き上げられたことで、電力コストも35ー50%上昇したという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月21日)

新格安航空会社エアアジアカンボジア、第4四半期に運航開始

【クアラルンプール 】 格安航空会社エアアジア・グループの親会社であるキャピタルAは、今年第4四半期に新格安航空会社、エアアジア・カンボジアが運航を開始すると明らかにした。

キャピタルAのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は、同社の幅広いネットワークと強力なブランド力に基づき、東南アジア諸国連合(ASEAN)全域に事業を拡大しており、まだ航空会社を設立していない残りのASEAN諸国で新会社設立の機会を模索していると述べた。

フェルナンデスCEOによると、キャピタルA傘下の航空子会社(エアアジア・マレーシア、エアアジア・タイランド、エアアジア・インドネシア、エアアジア・フィリピン)の保有航空機数は今年第1四半期に157機となり、航空運賃の合理化、外部要因の安定により収益性が向上した。これまで新型コロナウイルス「Covid-19」の影響で休止していた229路線を再開しており、今年第4四半期までには290路線とすることを目標に掲げている。なお貨物・物流部門であるテレポートでは、発注していた3機の貨物機「A321F」のうち1機目が6月に納入される見込みで、輸送能力が拡大する予定だ。

またフェルナンデスCEOは、モバイル決済アプリ「スーパーアプリ」や決済サービス「ビッグペイ」で構成されているデジタル部門、エアアジア・デジタルの名称を、ムーブへと変更する承認を株主総会で得たと言明。配車サービスなどすべての旅行者のニーズに応えることを目指すとした。
(エッジ、6月15日)