仮想通貨取引所のフォビグローバル、証券委員会が業務停止命令

【クアラルンプール】 マレーシア証券委員会(SC)は22日、仮想通貨取引所「フォビ・グローバル」に対し、国内で無認可のデジタル資産取引所(DAX)を運営しているとして業務を停止するよう命じた。

SCはフォビの業務停止とともにウェブサイト、アプリの無効化や国内投資家に対する広告配信の停止も命じており、レオン・リー最高経営責任者(CEO)に対しても、命令を確実に実行するよう要求した。また、無認可でのDAX運営は「2007年資本市場およびサービス法」第7条1項に違反しており、投資家の利益を損ねる懸念があると言明。国内投資家に対し、フォビのプラットフォーム上での取引を直ちに停止し、投資資金を引き出した上で、口座を閉鎖するよう呼びかけた。無免許または未登録の団体や個人に投資する場合、詐欺の危険性があり、証券法の下で保護されない可能性もあるとした。

SCはさらに、投資プラットフォームの選択や、投資の意思決定を行う際には常に注意し、事前調査を行うべきだとし、低リスク高リターンを約束する投資には注意する必要があると警告。これらの予防措置を講じることで、詐欺被害を予防できるとした。

現時点で、SCに登録されている仮想通貨取引所は、▽ルノ・マレーシア▽MXグローバル▽シネジー▽トークナイズ・テクノロジーーーの4社となっている。
(コインデスク、ファイナンスフィーズ、フリー・マレーシア・トゥデー、5月22日、マレーシア証券委員会発表資料)

ランカウイ国際海事航空宇宙展示会が開幕、27日まで開催

【クアラルンプール】 2019年以来4年ぶりとなるランカウイ国際海事・航空宇宙展示会(LIMA)が23日に開幕した。会期は27日までの5日間。

LIMAは国防省と運輸省が主催する、アジア太平洋地域最大級の防衛・商業分野の国際展示会。通常は2年に1度開催されるが、新型コロナ感染拡大の影響で2021年は開催が見送られていた。今年のテーマは「アジア海洋・航空貿易のつながり」。

23日に開催された海事部門の開会式には、アンワル・イブラヒム首相、モハマド・ハサン国防相、ザンブリー・アブドル・カディル外相、ファーミ・ファジル通信デジタル相が臨席。特別海軍チームの戦闘水中部隊がヘリコプターから水中に飛び込むなど、各種実演が行われた。海上での実演は27日まで開催され、特殊部隊による合同実演、船舶などの静態展示が行われる予定。

航空ショーも同日に開催され、モハマド・ハサン国防相、アンソニー・ローク運輸相、サイフディン・ナスシオン内務相、ケダ州のムハンマド・サヌシ首相が臨席。空軍戦闘機の飛行やヘリコプターによる救助実演などが行われた。会期中にインドネシア、中国、韓国、アラブ首長国連邦、ロシアの5カ国も曲技飛行を行う予定だという。
(ボルネオポスト、ベルナマ通信、5月23日)

来年6月から売上1億リンギ以上の企業に電子請求書を義務化

【クアラルンプール】 内国歳入庁(IRB)は22日、来年6月から年間売上高1億リンギ以上の企業に対して、電子請求書の導入を義務化すると明らかにした。

モハマド・ニゾム・サイリ最高責任者(CEO)は、現在、電子請求書の仕組みを開発中で、来年6月に年間売上高が1億リンギ以上の企業を対象に試験導入を開始する予定だと述べた。対象企業数は約4,000社になる見込み。2025年1月から年間売上高5,000万リンギ以上に、2026年から2,500万リンギ以上に対象を広げ、2027年からは全企業に義務づける計画だ。

今回導入される電子請求書は、取引企業間で互いの取引文書を提示・監視し、取引契約の条件が満たされていることを確認するためのもの。ビジネス運営や税務管理の効率化を図り、脱税や非公式な経済活動をなくすことを目的としている。

モハマド・ニゾムCEOは現時点で脱税や申告漏れなどによる納税不足額が歳入の20ー30%を占めると推定されており、また、国内総生産(GDP)の約18%を税収が占めていると説明。今後は企業間取引(B2B)に電子請求書を適用し、その後、企業対個人間取引(B2C)についても導入を検討するとし、電子請求書の導入は、ビジネスの効率化やコスト削減に加え、税制を公正なものにする前向きな取り組みだと述べた。

テンク・ザフルル元財務相(現・投資貿易産業相)が昨年10月に発表した2023年度予算案にも、電子請求書の段階的導入が組み込まれていた。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、5月23日、エッジ、5月22日)

高所得者層への電力料金補助金、廃止の方針=アンワル首相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム首相は、電力補助金や巡礼資金援助について、上位20%を占める高所得者層(T20)は将来的に受けられなくなると明らかにした。T20への補助をなくすことで、支援を必要としている層にターゲットを絞って効果的に配分するのが狙い。

財務相を兼任するアンワル首相は22日に行われた下院議会質疑の中で、年内に完成予定の世帯社会経済データベース「パンカラン・データ・ウタマ(パドゥ)」の導入を通じて所得階層に応じた補助金の配分を調整すると言明。一般家庭、中小企業、農業生産者向けの電力料金を維持するため、政府が2023年上半期に目標を定めた料金制度を開始したと指摘した上で、これに基づきT20以外の層に対しては電気料金の値上げは行わないと述べた。

アンワル首相は、「扇風機3台とエアコン4台を使用している世帯などは消費にかかる実費を負担すべき」と述べて、消費電力に応じた電力料金負担を負うべきという考えを示した上で、「9割の国民は値上げの影響を受けないが、電力を過剰に使用している場合には値上げがあることを理解する必要がある」と述べた。

3月初旬、ニック・ナズミ天然資源環境気候変動相は、一般家庭や小規模事業者向け低電圧カテゴリーの電気料金補助に政府が107億6,000万リンギを割り当てたと発表していた。

アンワル首相はこのほか巡礼資金の政府援助についても言及し、裕福な高所得者層は全額自己負担すべきだとしてT20には今後支援を行わない考えを示した。

TRGシリカ、トレンガヌ州で方珪石と高純度シリカを採掘

【マラン(トレンガヌ州)=マレーシアBIZナビ】 TRGインダストリアル・ミネラルズ子会社のTRGシリカ(マラン)(TSM)は、アジア・オセアニア地域で初となるクリストバライト(方珪石)と超高純度工業用シリカの統合採掘プロジェクトを開始すると発表した。

16日にはトレンガヌ州マランのムキム・メルチャンで起工式を開催した。TSMは総面積826.36ヘクタールのシリカサンド鉱床5カ所の60年間の採掘権を取得した。採掘するクリストバライトと超高純度工業用シリカはエンジニアリング用途や透明ガラス製造に使用される。

53483鉱区に超高純度工業用シリカの選鉱プラントを建設し、53482鉱区、53628鉱区と段階的に採掘活動を行い、最終的に100年以上採掘を続ける計画だ。総投資額は5億リンギを超えるとみられており、計画には第7世代の最新施設の建設のほか、マランにおける専用ターミナル建設も含まれる。

シリカは電子ディスプレイ用ガラス、スマートフォン用ガラス、超薄型ソーラーガラス、半導体、眼科用ガラスなどのハイエンドガラスに用いられ、サプライチェーンの多様化が求められていることからも、高い需要が見込まれる。またクリストバライトは人工石、コーティング、ポリマー、歯科、道路標示、その他の産業用途など、さまざまな分野で幅広く使用されており、国内での採掘は、業界全体の競争力強化に寄与すると期待されている。

マレーシアとWEF、共同で第4次産業革命センターを設立

【クアラルンプール】 マレーシアは15日、世界経済フォーラム(WEF)と共同で、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域で初となる「第4産業革命(4IR)センター」を設立した。デジタル・トランスフォーメーション(DX)やグリーンエネルギー移行などの取り組みにおける官民連携を支援する。

アンワル・イブラヒム首相は発足式で、4IRセンターの設立はマレーシアがデジタル技術を駆使した高所得国やデジタル経済における地域リーダーとなるための重要な一歩であり、インフラ強化、イノベーションの促進、全国民の生活水準向上に向けたエコシステムの構築を通じて、デジタル経済への転換を加速できると述べた。

WEFのグローバル4IRセンター網の19番目のセンターとなり、官民連携プラットフォームとして、政府、企業、市民、学術界のリーダーが集まり、協業やプロジェクトを進める場となる。政府が2021年2月に発表した、2030年までのデジタル経済促進を図る青写真「マイデジタル」の実行主体であるマイデジタル・コーポレーションが運営を担当する。

発足式には、ラフィジ・ラムリ経済相やWEFのボルゲ・ブレンデ総裁も参加した。
(ザ・サン、ザ・スター、5月16日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、エッジ、5月15日)

第1四半期のGDP成長率、プラス5.6%に減速

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラ・マレーシア(BNM)は12日、2023年第1四半期(1ー3月)の国内総生産(GDP)成長率が前年同期比プラス5.6%だったと発表した。前期の7.1%を下回ったものの、個人消費の拡大や継続的な投資活動、インバウンド観光客数の増加に支えられて、6四半期連続でプラス成長を維持した。

セクター別の成長率が最も高かったのは建設業で、前期のプラス10.1%から7.4%にダウンしたものの、公共交通機関などの大規模プロジェクトなどに支えられてプラス成長を維持した。サービス業はプラス9.1%から7.3%となったが、小売業での売上高増加や観光産業の回復が見られた。製造は前期(プラス3.9%)から3.2%にややダウンしたものの、自動車産業と電気・電子産業成長を下支えした。また鉱業もプラス6.3%から2.4%に、農業もプラス1.1%から0.9%に減速した。

国内需要はプラス6.8%から4.6%にダウン。民間消費と民間投資も5.9%、4.7%となり、前期(前期7.3%、10.3%)を下回った。また公共支出は前期のプラス3.9%からマイナス0.3%に転落。プラス6.0%だった公共投資は5.7%の微減にとどまった。前期はプラス8.6%だったモノとサービスの輸出はマイナス3.3%、輸入もプラス7.2%からマイナス6.5%にそれぞれ失速した。

ノル・シャムシア総裁は、2023年通年のGDP成長率予想について4.0%ー5.0%に据え置くとし、観光産業の回復や今年度予算案に盛り込まれたプロジェクトの実施などが上振れリスクとなると説明。その一方で、世界の経済成長率が予想を下回ることや不安定な世界金融市場の動向などが下振れリスクとなるが、リスクは比較的バランスが取れているとした。またインフレ率については、年間を通じて緩やかな水準に止まるものの、コア・インフレ率は高水準で推移する見通しだと述べた。

米マスターカード、KLにデータ&サービス拠点を設立

【クアラルンプール】 米マスターカードは9日、クアラルンプールにデータ・アンド・サービス(D&S)ハブを新設したと発表した。

サイバーセキュリティ、デジタルトランスフォーメーション(DX)、信用リスクなどの分野で、アジア太平洋地域の企業や政府に高度なサービスを提供し、マレーシアや近隣地域の人材にキャリアアップやスキル向上の機会を創出する。

開所式に参加したファーミ・ファジル通信デジタル相は、マスターカードの新拠点設立により、域内デジタル環境での役割強化や地元人材のスキルアップにつながるとコメント。今後も相乗効果を得られるよう、マスターカードへの支援を続けていくと述べた。

マスターカードのアジア太平洋地域担当責任者であるアリ・サーカー氏は、アジア太平洋地域の多くの新興市場がデジタル化を飛躍的に進めているため、専門知識を身につけた人材がより多く必要だとし、クアラルンプール拠点は、東南アジア、中国、日本、オーストラリア、ニュージーランドの顧客に向けたサービスを提供していくことになると述べた。

D&Sハブの開設は、3月に発表されたマスターカードとマレーシア工科大学(UTM)の提携によるサイバー・イノベーション・ハブの設立に続くもの。サイバー・イノベーション・ハブは、マスターカードが有するサイバーセキュリティの専門知識とUTMの教育インフラを活用し、サイバーセキュリティ人材育成を目指している。
(エッジ、5月9日、マスターカード発表資料)

連邦政府、バヤンレパス軽便鉄道に追加資金提供へ

【ペナン州ブキ・メルタジャム】 アンワル・イブラヒム首相は6日、ペナン州のバヤンレパス軽便鉄道(BLLRT)プロジェクトについて、連邦政府が追加資金を提供すると発表した。

アンワル首相は、ペナン州のジョージタウンは首都圏に次ぐマレーシア第2の都市であるにも関わらず、これまで連邦政府が十分な資金を提供してこなかったとし、今後BLLRT建設費用に関してペナン州政府と協議するための会議を開催すると述べた。

首相発言に対しコメントを求められたアンソニー・ローク運輸相は、BLLRT建設は原則決定されており、連邦政府も資金提供に対して準備ができているとしたが、資金調達の具体的な方法について詳細な検討が必要だと述べた。ペナン州のチョウ・コンヨウ首相は、「ペナンの人々に対する贈り物だ」とし、喜びの意を表した。

BLLRTは、交通渋滞問題解決に向けた長期戦略「ペナン交通マスタープラン」の一部で、ジョージタウンの行政センターが入るコムターと空港や工業地帯のある南部バヤンレパスを結ぶ全長22キロメートル超の路線。将来的には、テルク・クンバル海岸沖の3つの埋立地への延長も検討されている。
(ザ・スター、5月7日、マレー・メイル、ベルナマ通信、5月6日)

マレーシア5Gのファーウェイ関与リスク、米とEUが警告

【ニューヨーク】 米国と欧州連合(EU)は、マレーシアが進めている第5世代移動通信(5G)ネットワーク計画の見直しについて懸念を示している。英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」が報じた。

マレーシアでは国営デジタル・ナショナル(DNB)がスウェーデン系通信機器大手のエリクソン(マレーシア)の協力の下、1社独占で国内5Gの展開を行っているが、今年1月にファーミ・ファジル通信デジタル相がその体制の見直しを図るとし、第1四半期中に最終結論を出すと発表していた。それに対し、米・EUは、万が一再入札を行った場合、中国の通信機器大手ファーウェイ(華為技術)が落札する可能性が高いため、国家安全保障上のリスクがあるとマレーシア政府に警告したという

米国はファーウェイをブラックリストに掲載し、ファーウェイ製品の米国内での販売停止および半導体・部品などのファーウェイへの輸出禁止措置を講じ、EUを含む同盟国に対しても5Gネットワークにファーウェイが関与することを避けるよう要求している。

DNBは2021年に5Gネットワーク整備に関する公開入札を実施。ファーウェイやZTE、シスコ、日本電機(NEC)、ノキア、サムスン、ファイバーホームなどが参加したが、同年7月にエリクソンが110億リンギで落札していた。
(マレー・メイル、ロイター、フリー・マレーシア・トゥデー、ソヤチンチャウ、5月2日)