首都圏で今年ショッピングモール8軒がオープン、飽和状態の悪化に懸念

【ペタリンジャヤ】 首都圏クランバレーでは、今年ショッピングモールが新たに8軒オープンする予定だ。すでに飽和状態にあるショッピングモール業界に、賃貸可能面積(NLA)が340万平方フィートの売場面積が増加するという。

ペナン州ジョージタウンや、ジョホール州ジョホールバルなどの地方都市においても、今年は133平方フィートのNLAが増加する見通し。

昨年は、首都圏クランバレーで7軒のショッピングモールが開業したが、Eコマースの台頭などにより、入居率は50%に止まっている上、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染拡大に伴い、空きテナントが増加しており、モール所有者は賃貸料を引き下げるなどして苦戦している。10年前から飽和状態の兆候はあったが、デベロッパーはそれを無視して開発を続けたという。その結果、入居率の低下とモール同士の共食い状態となった。

これについてマレーシア・モール協会のテオ・チェンコック会長は、事前調査や計画なしにショッピングモール開発を進めている訳ではないと説明。計画から事業の承認、建設まで3、4年を要するためそれまでに市況が変化することもあるとした。また賃貸面積の過剰供給についても、介入しなくても用途の変更などでバランスは取れるようになるとし、市場に歪みを引き起こす可能性があることから、介入はすべきではないとの見解を示した。

不動産評価専門家のマニ・ウシラッパン氏は、モールに客を引き付けるのには、マーケティングと販促活動が不可欠であるとし、ライブなどのイベントにより来客が増えることで、入居するテナントも増えると指摘。所有権付きの分譲形式はマーケティングやプロモーションの取り組みを制御できないため失敗するとし、小規模なモールについては小売店と同じようにニッチ路線でいくべきとした。
(フリー・マレーシア・トゥデー、5月2日)

マレーシア5Gのファーウェイ関与リスク、米とEUが警告

【ニューヨーク】 米国と欧州連合(EU)は、マレーシアが進めている第5世代移動通信(5G)ネットワーク計画の見直しについて懸念を示している。英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」が報じた。

マレーシアでは国営デジタル・ナショナル(DNB)がスウェーデン系通信機器大手のエリクソン(マレーシア)の協力の下、1社独占で国内5Gの展開を行っているが、今年1月にファーミ・ファジル通信デジタル相がその体制の見直しを図るとし、第1四半期中に最終結論を出すと発表していた。それに対し、米・EUは、万が一再入札を行った場合、中国の通信機器大手ファーウェイ(華為技術)が落札する可能性が高いため、国家安全保障上のリスクがあるとマレーシア政府に警告したという

米国はファーウェイをブラックリストに掲載し、ファーウェイ製品の米国内での販売停止および半導体・部品などのファーウェイへの輸出禁止措置を講じ、EUを含む同盟国に対しても5Gネットワークにファーウェイが関与することを避けるよう要求している。

DNBは2021年に5Gネットワーク整備に関する公開入札を実施。ファーウェイやZTE、シスコ、日本電機(NEC)、ノキア、サムスン、ファイバーホームなどが参加したが、同年7月にエリクソンが110億リンギで落札していた。
(マレー・メイル、ロイター、フリー・マレーシア・トゥデー、ソヤチンチャウ、5月2日)

双信エレクトロニクスマレーシア、不正アクセス被害でデータ流出

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 電子機器メーカーの双信電機(本社・東京都港区)は、マレーシアのグループ会社においてランサムウェアの感染被害があり、データが外部に流出したと明らかにした。

同社の発表によると、4月7日に海外グループ会社の双信エレクトロニクスマレーシアがサイバー攻撃を受けた。ランサムウェアに感染し、64ギガバイト相当のデータが流出。4月24日に一部のデータがウェブサイト上で公開されていることを確認した。

流出したデータには、双信エレクトロニクスマレーシアの従業員に関する個人情報や一部の顧客の社名が入ったファイルなどが含まれる。外部の専門家の協力のもと、原因について調査を進めており、侵害を受けたサーバやファイルの特定を進めている。全容解明にはしばらく時間を要する見込みだ。

復旧作業は4月25日の時点でおおむね完了した。同拠点における生産や出荷を継続しており、納品などに影響がでないよう努めている。

双信電機は顧客をはじめ、関係者に心配、迷惑をかける事態となったとして、謝罪の意を表明した。

プロドゥア「アジア」、交通安全研究所が独自評価試験を実施へ

【クアラルンプール】 トヨタ自動車の子会社ダイハツ工業の海外向け乗用車4車種における認証不正を受け、運輸省傘下のマレーシア交通安全研究所(MIROS)は、ダイハツ系プルサハアン・オトモビル・クドゥア(プロドゥア)のAセグメント車「アジア」に対し、独自に評価試験を実施すると発表した。

MIROSのウォン・シャウブン所長は、英字紙「フリー・マレーシア・トゥデー」の取材に対し、衝突試験に合格しやすくするため不適切な加工がなされていたとされる「アジア」に関して、消費者からの安全性に関する苦情はまだ受けていないが、最新モデルの評価試験を実施し、安全であるというプロドゥアの主張について調査すると述べた。

プロドゥアのザイナル・アビディン・アハマド社長兼最高経営責任者(CEO)は、不正発覚後、4月30日付けで声明を発表し、安全性に問題がないとした上で、「アジア」のリコールや出荷停止は実施しない方針を明らかにしていた。
(ザ・サン電子版、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、ポールタン、5月2日、フリー・マレーシア・トゥデー、5月1日)

中銀バンクネガラ、政策金利を3%に引き上げ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は3日、定例金融政策会合(MPC)を開催し、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を0.25ポイント引き上げて3.00%とすると決定した。

BNMは長く3.25%で維持していたOPRを2019年5月以降、段階的に1.75%まで引き下げていたが、2022年5月以降、段階的に2.75%まで引き上げた。中銀はその後金利を据え置いており、今回も据え置き予想が支配的だった。

BNMは声明の中で、国内経済の見通しが底堅く推移していることから、金融緩和策の正常化に踏み出すのに適時であると判断したと述べた上で、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大に伴う危機に対応するために実施してた金融緩和策を撤回することを決定したと説明。金融政策のスタンスにおいて現在の金利水準は依然として緩和的であり、経済成長を下支え続けているとした上で、今後もインフレ率や経済成長の見通しとのバランスを考慮して金利を調整するとした。

国内経済については、昨年通年の好調な成長に続き、今年第1四半期もさらに成長が加速すると予想。輸出減速が見込まれるものの、内需が経済成長を牽引し続けるとした上で、失業率低下に伴う家計支出の拡大や外国人観光客増加による観光産業の成長、複数年にわたって実施されている大型プロジェクトによる投資活動の下支えが上振れ圧力となるとした。その一方で、世界経済の成長が予想を下回る可能性、世界金融市場の不安定さが成長リスクとなるという。

インフレ率については、今年は2.8ー3.8%と穏やかな上昇率にとどまるとの見込みを示した。

世界経済についてBNMは、力強い労働市場に支えられた内需や中国経済の力強い回復に牽引されたものの、コスト圧力の高まりや金利の上昇により圧迫されており、インフレ率の上昇率は緩やかになってきているが、今後も利上げが行われると予想。その上で、今後も地政学的緊張の高まり、予想を上回るインフレ率の上昇、急激な金融引き締めなどが依然下振れリスクとなるとした。