玩具の中国ポップマート、1号店をパビリオンKLに開設

【クアラルンプール】 中国の玩具メーカー、ポップマート(北京泡泡瑪特文化創意)は、マレーシア1号店をクアラルンプール(KL)のショッピングモール「パビリオンKL」に開設した。

店舗面積は1,569平方フィート。人気のコレクターズアイテムや限定商品を取り揃え、ドアの色が変わるRGBライトや目を引く楽しいディスプレイを採用するなど、若者やミレニアル世代にアピールするような店舗デザインを取り入れている。営業時間は毎日午前10時ー午後10時。

グローバル事業責任者のジャスティン・ムーン氏は、マレーシアは、ポップマートの主要市場としてシンガポールの次に大きな可能性があるとし、今回の新店舗開設は、東南アジアにおける同社の事業展開が新段階に入ったことを示しているとコメント。シンガポールとマレーシアの社会や文化は似ており、一定規模のアートトイ収集市場が形成されているため、シンガポールでの店舗展開の経験を活かし、マレーシアでも事業を展開していくと述べた。また、急速に経済発展している東南アジアの国々では消費者の購買力が高く、市場成長も見込めることから、将来的には近隣諸国にも進出する可能性があるとした。

ポップマートは2018年に世界展開を開始。2022年末時点で実店舗を80店舗以上、ロボショップ(自動販売機)を200カ所以上海外に設置しており、その70%は東・東南アジア、30%は欧州、米国、豪州が占めている。2021年にシンガポールで実店舗を開設し、同国内で8店舗を展開。マレーシア向けオンライン販売も同年にスタートした。
(マレー・メイル、イーツァイ・グローバル、マレーシアキニ、5月22日)

米国株式の端株取引、楽天トレードが導入

【クアラルンプール】 オンライン証券の日系楽天トレードは米ニューヨーク証券取引所およびナスダックに上場している株式の端株取引を導入したと発表した。マレーシアでの米国株式の端株取引は初めて。

三瀬和正 最高経営責任者(CEO)は「端株取引はマレーシアの投資家に変革をもたらす。米国株の入手が容易になり、アップル、アマゾン、テスラといったなじみのブランドの株をマレーシアの一般投資家も持てるようになる」と語った。

端株とは1株未満の株のことで、最小単位は0.01株(1株の100分の1)。楽天トレードで売買可能な米国株の米国預託証券(ADR)か上場投資信託(ETF)が原株。取引手数料は1ー100リンギ(30.39ー3,039円)。

楽天トレードは昨年8月、米国株取引プラットフォームで、リンギ以外に米ドルでも決済可能な外国通貨決済サービスを導入していた。

過去1年半の間に3万余りの顧客が外国株取引システムに参加しており、三瀬氏は「楽天トレードの外国株取引プラットフォームは、投資家が取引戦略をマレーシアで試し、その後、米国市場に参加する触媒になっている」と語った。
(ザ・サン、5月23日)

電子部品受託製造のEG、ヤマハ発動機と提携で無人ライン導入へ

【クアラルンプール】 電子機器受託製造サービス(EMS)のEGインダストリーズ(EIB)は、ヤマハ発動機(本社・静岡県磐田市)と提携し、ペナン州バトゥ・カワン工業団地に建設中のスマート工場に5G自動インテリジェント表面実装技術(SMT)製造ラインを設置すると発表した。

EIBの声明によると、EIB子会社であるSMTテクノロジーズ、ヤマハ、ヤマハのマレーシア国内販売代理店であるプレムトロニックの3社間で提携契約を締結した。ヤマハの自動化に関する専門知識とEIBの最先端5G接続モジュールを活用して製造工程を無人化し、遠隔管理を行う。2024年前半の稼働開始を目指す。EIBは自動化ラインの導入・試運転に向け、2年間で8,000万リンギを段階的に投資する計画だ。ヤマハは、日本や東南アジアで製造工程の自動化を行ってきたが、マレーシアでは初の試みとなる。

EIBのアレックス・カン最高経営責任者(CEO)は、ヤマハの先端技術の活用により、無停止・無欠陥で効率的な生産プロセスを実装できるとし、EIBはスマート工場の稼働により世界最大級のEMS企業としての評価を得られると述べた。

EIBにとり初の自動化工場となるバトゥ・カワン工場は、既存のケダ州スンガイ・ペタニ工場を補完するもので、面積は2万2,500平方メートル。オフィスビルや倉庫も併設する。バトゥ・カワン工場完成後には、同社の総工場面積は45%増の8万平方メートルとなる見込み。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、マレーシアン・リザーブ、エッジ、5月22日)

来年6月から売上1億リンギ以上の企業に電子請求書を義務化

【クアラルンプール】 内国歳入庁(IRB)は22日、来年6月から年間売上高1億リンギ以上の企業に対して、電子請求書の導入を義務化すると明らかにした。

モハマド・ニゾム・サイリ最高責任者(CEO)は、現在、電子請求書の仕組みを開発中で、来年6月に年間売上高が1億リンギ以上の企業を対象に試験導入を開始する予定だと述べた。対象企業数は約4,000社になる見込み。2025年1月から年間売上高5,000万リンギ以上に、2026年から2,500万リンギ以上に対象を広げ、2027年からは全企業に義務づける計画だ。

今回導入される電子請求書は、取引企業間で互いの取引文書を提示・監視し、取引契約の条件が満たされていることを確認するためのもの。ビジネス運営や税務管理の効率化を図り、脱税や非公式な経済活動をなくすことを目的としている。

モハマド・ニゾムCEOは現時点で脱税や申告漏れなどによる納税不足額が歳入の20ー30%を占めると推定されており、また、国内総生産(GDP)の約18%を税収が占めていると説明。今後は企業間取引(B2B)に電子請求書を適用し、その後、企業対個人間取引(B2C)についても導入を検討するとし、電子請求書の導入は、ビジネスの効率化やコスト削減に加え、税制を公正なものにする前向きな取り組みだと述べた。

テンク・ザフルル元財務相(現・投資貿易産業相)が昨年10月に発表した2023年度予算案にも、電子請求書の段階的導入が組み込まれていた。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、5月23日、エッジ、5月22日)

高所得者層への電力料金補助金、廃止の方針=アンワル首相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム首相は、電力補助金や巡礼資金援助について、上位20%を占める高所得者層(T20)は将来的に受けられなくなると明らかにした。T20への補助をなくすことで、支援を必要としている層にターゲットを絞って効果的に配分するのが狙い。

財務相を兼任するアンワル首相は22日に行われた下院議会質疑の中で、年内に完成予定の世帯社会経済データベース「パンカラン・データ・ウタマ(パドゥ)」の導入を通じて所得階層に応じた補助金の配分を調整すると言明。一般家庭、中小企業、農業生産者向けの電力料金を維持するため、政府が2023年上半期に目標を定めた料金制度を開始したと指摘した上で、これに基づきT20以外の層に対しては電気料金の値上げは行わないと述べた。

アンワル首相は、「扇風機3台とエアコン4台を使用している世帯などは消費にかかる実費を負担すべき」と述べて、消費電力に応じた電力料金負担を負うべきという考えを示した上で、「9割の国民は値上げの影響を受けないが、電力を過剰に使用している場合には値上げがあることを理解する必要がある」と述べた。

3月初旬、ニック・ナズミ天然資源環境気候変動相は、一般家庭や小規模事業者向け低電圧カテゴリーの電気料金補助に政府が107億6,000万リンギを割り当てたと発表していた。

アンワル首相はこのほか巡礼資金の政府援助についても言及し、裕福な高所得者層は全額自己負担すべきだとしてT20には今後支援を行わない考えを示した。