【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム首相は、電力補助金や巡礼資金援助について、上位20%を占める高所得者層(T20)は将来的に受けられなくなると明らかにした。T20への補助をなくすことで、支援を必要としている層にターゲットを絞って効果的に配分するのが狙い。

財務相を兼任するアンワル首相は22日に行われた下院議会質疑の中で、年内に完成予定の世帯社会経済データベース「パンカラン・データ・ウタマ(パドゥ)」の導入を通じて所得階層に応じた補助金の配分を調整すると言明。一般家庭、中小企業、農業生産者向けの電力料金を維持するため、政府が2023年上半期に目標を定めた料金制度を開始したと指摘した上で、これに基づきT20以外の層に対しては電気料金の値上げは行わないと述べた。

アンワル首相は、「扇風機3台とエアコン4台を使用している世帯などは消費にかかる実費を負担すべき」と述べて、消費電力に応じた電力料金負担を負うべきという考えを示した上で、「9割の国民は値上げの影響を受けないが、電力を過剰に使用している場合には値上げがあることを理解する必要がある」と述べた。

3月初旬、ニック・ナズミ天然資源環境気候変動相は、一般家庭や小規模事業者向け低電圧カテゴリーの電気料金補助に政府が107億6,000万リンギを割り当てたと発表していた。

アンワル首相はこのほか巡礼資金の政府援助についても言及し、裕福な高所得者層は全額自己負担すべきだとしてT20には今後支援を行わない考えを示した。