【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マハティール・モハマド前首相は10日、アブドラ国王との謁見後に会見を開き、野党代表も含めた挙国一致の暫定政府、国家行動評議会(NOC、MAGERAN)の設置を提言したことを明らかにした。

野党・祖国戦士党(ペジュアン)を率いるマハティール氏は、1969年の危機の際にはMAGERANが立て直しのために機能したと強調。国家の危機に際して、野党側の意見を政治に反映できるメリットがあるとした。ただマハティール氏は権力を維持している側であるムヒディン•ヤシン政権が同調するとは思えないとし、実現は難しいとの考えを示した。

MAGERANは1969年5月13日に起きた民族衝突事件を受けて発令された非常事態宣言後に設置され、2年後の1971年に解散した。MAGERANが設置されれば議会の停止が非常事態宣言解除後も続くことになるので、早期の解散総選挙を望む与野党各党から批判的な意見が出ている。

国王は、9日からムヒディン・ヤシン首相をはじめとする主要各党党首を相次いで王宮に招いて、8月1日で期限が切れる非常事態宣言の今後の取り扱いについて意見聴取を行っている。

9日にはムヒディン首相のほか、野党連合・希望同盟(PH)を率いるアンワル・イブラヒム元副首相、民主行動党(DAP)のリム・グアンエン書記長、国民信任党(Amanah)のモハマド・サブ党首が王宮をおとずれ、10日午前には汎マレーシア・イスラム党(PAS)のトゥアン・イブラヒム副党首が病気療養中のハディ・アワン党首に代わって国王に面会した。

王宮は、16日に統治者会議を招集すると発表しており、各州の統治者(スルタン、ラジャ)からも非常事態宣言に関する意見を聞く方針だ。