カテゴリー4、5の重症者が増加傾向=アダム保健相

【クアラルンプール】 アダム・ババ保健相は、新型コロナウイルス「Covid-19」感染者のうちカテゴリー4、5に分類される重症者が増加傾向にあり、今後はさらに増加すると予想されるとして懸念を示した。

カテゴリー4、5の重症者数は4月には6,751人だったが、5月には3万287人に増加、6月は13日時点ですでに2万2,857人に達している。カテゴリー4は酸素吸入が必要なレベルで、カテゴリー5は人工呼吸器を装着する必要がある。

重症患者の増加のために集中治療室(ICU)の稼働率は97%に達している。アダム保健相によると、政府系病院や軍病院を含む全国のICU病棟にはベッドが合計1,767床あるが、1,161人が治療を受けており、うち452人が人工呼吸器によるサポートを受けている。

■民間医療施設での感染検査、不当な高額請求も■

新型コロナの感染検査の費用について、アダム保健相は民間のクリニックや医療施設に対し、保健省が設定した上限価格を超える場合、費用明細を提示する必要があると言明。不当に高額な費用を請求された場合には危機準備対応センター(CPRC)または民間医療行為管理室(CKAPS)に苦情を申し立てて欲しいと呼びかけた。

半島マレーシアにおける検査費用の上限は、RT-PCR検査が150リンギ 迅速分子検査が270リンギ、RTK抗原検査が60リンギ、迅速抗体検査が50リンギ。サバ・サラワク州ではRT-PCR検査が200リンギ、迅速分子検査が350リンギ、RTK抗原検査が80リンギ、迅速抗体検査が70リンギとなっている。 (ベルナマ通信、6月14日)

ワクチン接種、副作用は1千回あたり2.4件程度

【クアラルンプール】 アダム・ババ保健相は、新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン調整担当大臣を兼任するカイリー・ジャマルディン科学技術革新相と共同記者会見を行ない、ワクチンの副作用について、接種1,000回あたり2.4件程度発生しており、そのうち入院が必要な重篤なケースはわずか0.09件だったと述べた。

2月24日開始されたワクチン接種プログラム(NIP)により、6月12日までに470万回分のワクチン接種が行なわれた。軽度の接種後有害事象(AEFI)については、コロナ情報アプリMySejahteraを通じて接種1,000回あたり29.3件の報告があった。接種部位の痛み、頭痛、疲労感など、コロナワクチンに限らず、ワクチン接種後一般によく現れる症状だという。

国家医薬品規制庁(NPRA)のAEFI観察システムを通じては、1,000回の接種ごとに2.4件の副作用報告があった。これらの報告のうち、入院を余儀なくされる重篤な症状に分類されたのは、ワクチン接種1,000回あたり0.09件。入院は短期間で済み、治療後退院しているケースがほとんどだという。

(マレー・メイル、6月14日)

日本政府、マレーシアにアストラゼネカ製ワクチンを供与

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 日本の茂木敏充 外務大臣は15日、日本で製造した新型コロナウイルス「Covid-19」アストラゼネカ製ワクチンを供与する意向を明らかにした。マレーシアと共にインドネシア、フィリピン、タイにも供給する意向。7月からの供給開始に向けて調整を開始する。

在マレーシア日本大使館は、茂木外相の発表に基づきマレーシア政府と緊密に協力して、マレーシア国民にワクチンを提供していくとした上で、日本とマレーシアの友情のもう一つの象徴となるだろうとしている

日本は2020年3月から、新型コロナウイルスの脅威に際し、マレーシア政府との二国間の協力に加え国際機関を通じた緊急支援を行っており、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)を通じてマレーシアに97万米ドルを割り当てた。今年1月には、マレーシア政府に対して5億円(1,900万リンギ)相当の医療機器を無償で提供すると発表。2月には国際協力機構(JICA)を通じマレーシア国家災害管理庁(NADMA)へ個人用防護具を供与した。

新型コロナの新規感染者数は5419人、再び5千人台に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は15日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が5,419人となったと発表した。再び5,000人を超えた。アクティブ感染者数は7万112人で、累計感染者数は66万7,876人となった。

州・地域別の感染者数はセランゴール州が最も多く1,996人だった。それに▽サラワク州(718人)▽クアラルンプール(KL、650人)▽ネグリ・センビラン州(396人)▽ジョホール州(366人)▽ケダ州(252人)▽クランタン州(245人)▽サバ州(230人)▽マラッカ州(155人)▽ラブアン(138人)▽ペナン州(124人)▽ペラ州(68人)▽トレンガヌ州(43人)▽パハン州(32人)▽プトラジャヤ(5人)▽ペルリス州(1人)ーーが続いた。新たに6,831人が回復し、累計治癒者は59万3,695人となった。死者数は101人で、累計で4,069人となった。

職場では最も多い12カ所のクラスターを確認した。またコミュニティで4カ所、老人ホームで1カ所のクラスターが発生した。

ノール氏は職場に関連するクラスターはこれまで1,328カ所確認されており、14万7,040人が感染したと言明。うち68%となる10万86人が外国人労働者となっていると述べた。工場に関連するクラスターは639カ所となっており職場でも最も多いとして、改めて職場での標準的運用手順(SOP)順守を呼びかけた。

国家復興計画を発表、9月か10月の国会開催を約束

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン•ヤシン首相は15日午後に特別テレビ演説を行い、4つのフェーズから構成される国家復興計画(PKP)の概要を明らかにした。ムヒディン首相は、ほとんどの経済活動を認める第3フェーズへの移行を8月末までに達成することを目標に掲げ、9月か10月の国会開催を約束した。

国家復興計画において、フェーズ移行の指標となるのは▽新規感染者数に基づくコミュニティにおける感染状況▽集中治療室(ICU)病床使用率に基づく公衆衛生システムの対応能力▽2度のワクチン接種した人の割合——の3つ。各フェーズの標準的運用手順(SOP)については、後日、国家安全委員会(NSC)が発表する。

現在の完全ロックダウンである第1フェーズから第2フェーズに移行するための指標は▽新規感染者数が1日平均4千人以下になること▽ICU稼働率を中程度に下げるなど公共衛生システムの危機的状況から脱すること▽総人口の10%のワクチン接種完了——となる。

第2フェーズは第1フェーズの続きとの位置づけであり、社会活動やスポーツ活動は引き続き厳重に管理される。経済活動においても操業可能な業種リストは維持した上で、在宅勤務をサポートする電子機器販売やセメントなどいくつかのセクターを新たに追加。最大80%の従業員の出勤を認めるなど操業条件も段階的に緩和する。ただし州・地区を跨いだ移動は禁止する。

第3フェーズへの移行条件は、▽新規感染者2千人以下▽ICU病床稼働率が適切なレベルに低下▽総人口の40%のワクチン接種完了——で、8月末までの達成を目標とする。

第3フェーズでは感染拡大を引き起こす可能性のある、スパやパブなどのセクターを除いてすべてのセクターでの操業を認める。経済活動においては、第2フェーズに続いて最大80%の従業員の出勤を認める。教育や特定のスポーツ活動や社会活動も段階的に開放する。

第4フェーズへの移行条件は、▽新規感染者500人以下▽ICU病床稼働率が適切なレベルで公衆衛生システムが安全な水準▽総人口の60%のワクチン接種完了——で、早ければ10月末の達成を目指す。

第4フェーズでは可能な限り日常生活に戻すこととなり、すべての経済活動、より多くの社会活動が許可される。また州を越えた旅行が許可され、国内観光旅行も厳格な標準的運用手順(SOP)に従うことを条件に容認する。