コンビニやミニマートが積極拡大、コロナ禍で有利に

【クアラルンプール】 新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大の影響下にあって、コンビニエンスストアや小規模食料品店チェーンが店舗網を拡大しているほか、商品ラインナップを増強するなど顧客を取り込むための積極策をとっている。

小規模食料品店チェーンでは、KKスーパーマートや99スピードマート、コンビニではマイニュース(MyNews)、ファミリーマート、セブンイレブンなどが新型コロナの流行が始まって以来、来店者数や売り上げの両方で業績を伸ばしている。

マイニュースは先ごろ、ミニスーパー、「マイニース・スーパーバリュー」を立ち上げ、ベビー用品、食材、掃除用品、冷凍食品、ペットフードなどより幅広い商品を取扱いを開始。またソーセージ、バーガー パテ、ナゲット、シーフードなどの冷凍商品ブランド、「フローズン ディライツ」を立ち上げた。宅配にも力を入れている。

ホンリョン・インベストメント・バンクのアナリスト、ガン・フエンウェン氏は、行動制限令(MCO)下で様々な規制に晒されている大型ショッピングモールと比較して、コンビニは比較的安定した来店者数を記録しており、これが郊外で店舗数が増えている要因になっていると指摘。量販店より価格は高めだが商品の多様化が進んで利便性が向上させることで成長が期待できるとしている。

不動産仲介大手、サヴィルズ・マレーシアのムルリ・メノン氏は、新型コロナのパンデミックが起きる前からミニマートとコンビニが成長基調にあったが、ロックダウン期間中であっても遅くまで営業を許可されていることがさらなる成長の後押しとなっていると指摘。利便性という要素はコンビニにとって大きな利点であり、顧客は大勢の人混みや長い行列、社会的距離を心配することなく、必要な商品を気軽に購入することができることは大きいとしている

メノン氏によると、コンビニ普及率は日本やベトナムなどでは人口2,000人あたり1店舗となっているが、マレーシアは人口9,000人あたり1店舗にとどまっている。 (マレーシアン・リザーブ、6月9日)

アセスメントセンターが対応能力限界、コールセンターを増設へ

【クアラルンプール】 保健省のノール・ヒシャム事務次官は、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者数の急増により、アセスメントセンター(CAC)の対応能力が限界にきていると公表。悪化している感染者のモニタリング状況の改善に向け、一般からの問い合わせに対応するコールセンターをセランゴール州とクアラルンプール、プトラジャヤに新設する方針を明らかにした。

CACは今年1月に148カ所開設されたが、現在は198カ所に増えている。ノール・ヒシャム事務次官によると、CACを訪問する感染が疑わしい患者の数はそれまで1日当たり4,000人だったのが、4月以降に増加をはじめ、6月5日には150%増の1万人に達した。同様にCACがモニタリングしている感染者数もそれまでの1日5,300人から1万1,000人へと108%も増加した。

急激な業務量の増加にともない、CACスタッフが患者からの電話に出られなかったり、こちらから掛けることができないケースが増加。自宅で監視下に置かれていた患者から不安の声が上がっていたという。

コールセンターでは感染が疑われる症状のある患者については最寄りのCACを紹介し、緊急通報をマレーシア緊急対応サービス (MERS 999) に転送する。CACの電話回線も33本増やす。 (ニュー・ストレーツ・タイムズ、フリー・マレーシア・トゥデー、6月9日)

小売業の年内回復は絶望的=RGMリポート

【クアラルンプール】 小売業調査会社リテール・グループ・マレーシア(RGM)が6月9日発表した「2021年6月マレーシア小売業界リポート」によると、昨年末より一時期小売業の業績回復の兆しが見られたものの、直近の新型コロナウイルス「Covid-19」の感染急拡大により、年内の回復は難しい見込みだ。

人々がショッピングモールのような閉鎖された場所に行くことを避けたため、小売業者が大きな打撃を受けている。これに完全ロックダウンが追い打ちとなり、業績回復の見通しが立たなくなった。新型コロナとロックダウンの今後の行方が不透明なこともあり、向こう3カ月の予想は難しいという。

2021年第1四半期に実質GDP成長率は前年同期比マイナス0.5%となったが、それに比べて小売業売上高は前年同期比マイナス9.9%と大幅な減少となった。3四半期連続で低下していた平均物価上昇率は2021年第1四半期には0.5%とプラスに転じた。上昇率が高かったのは、食品・非アルコール飲料(1.5%)、雑貨・サービス(1.5%)など。2月から一時期行動規制が緩和されたことで、国内需要が増加したのが要因と見られる。(エッジ、6月9日)

マハティール前首相、国王に暫定政府設置を提言

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マハティール・モハマド前首相は10日、アブドラ国王との謁見後に会見を開き、野党代表も含めた挙国一致の暫定政府、国家行動評議会(NOC、MAGERAN)の設置を提言したことを明らかにした。

野党・祖国戦士党(ペジュアン)を率いるマハティール氏は、1969年の危機の際にはMAGERANが立て直しのために機能したと強調。国家の危機に際して、野党側の意見を政治に反映できるメリットがあるとした。ただマハティール氏は権力を維持している側であるムヒディン•ヤシン政権が同調するとは思えないとし、実現は難しいとの考えを示した。

MAGERANは1969年5月13日に起きた民族衝突事件を受けて発令された非常事態宣言後に設置され、2年後の1971年に解散した。MAGERANが設置されれば議会の停止が非常事態宣言解除後も続くことになるので、早期の解散総選挙を望む与野党各党から批判的な意見が出ている。

国王は、9日からムヒディン・ヤシン首相をはじめとする主要各党党首を相次いで王宮に招いて、8月1日で期限が切れる非常事態宣言の今後の取り扱いについて意見聴取を行っている。

9日にはムヒディン首相のほか、野党連合・希望同盟(PH)を率いるアンワル・イブラヒム元副首相、民主行動党(DAP)のリム・グアンエン書記長、国民信任党(Amanah)のモハマド・サブ党首が王宮をおとずれ、10日午前には汎マレーシア・イスラム党(PAS)のトゥアン・イブラヒム副党首が病気療養中のハディ・アワン党首に代わって国王に面会した。

王宮は、16日に統治者会議を招集すると発表しており、各州の統治者(スルタン、ラジャ)からも非常事態宣言に関する意見を聞く方針だ。

新型コロナの新規感染者数は6239人、セランゴール州が最多

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は10日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が5,671人となったと発表した。アクティブ感染者数は7万9,848人で、累計感染者数は63万9,562人となった。

州・地域別の感染者数はセランゴール州が最も多く1,510人だった。それに▽クアラルンプール(KL、769人)▽サラワク州(631人)▽ネグリ・センビラン州(593人)▽ジョホール州(524人)▽ケダ州(309人)▽クランタン州(262人)▽サバ州(233人)▽マラッカ州(184人)▽ペナン州(166人)▽ペラ州(143人)▽パハン州(112人)▽トレンガヌ州(108人)▽ラブアン(106人)▽プトラジャヤ(18人)▽ペルリス州(3人)ーーが続いた。新たに7,325人が回復し、累計治癒者は55万6,030人となった。死者数は73人で、累計で3,684人となった。

保健省のノール・ヒシャム事務次官は9日、15カ所のクラスターを新たに確認したと明らかにした。

職場では最も多い13カ所のクラスターを確認。コミュニティと教育機関でそれぞれ1カ所でクラスターが発生した

州別では、セランゴール州で5カ所、サバ州、クランタン州でそれぞれ2カ所、プトラジャヤ、ジョホール州、ケダ州、ペラ州、トレンガヌ州、ペナン州でそれぞれ1カ所発生した。