極貧層の撲滅プログラム、5月中旬より実施

【クアラルンプール】 ムスタパ・モハメド首相府相(経済担当)は、5月半ばより「マレーシア家族・極度の貧困層撲滅プログラム」を実施すると発表。2025年末までに19万5,664世帯ある極度の貧困層を根絶したいと述べた。
ムスタパ大臣によると、極度の貧困層はサラワク州で5万8,611世帯、サバ州で3万1,598世帯と東マレーシアで多い傾向にあり、マレー半島部では、クランタン州で2万8,553世帯、ケダ州で1万5,964世帯となっている。
政府は、同プログラムの下で生活を改善するための支援を州政府などと協力して実施する。各世帯の収入増加を目指し、子供達の教育格差を埋めることにも焦点を充てる。第1期は80地域の5,000世帯を対象に実施する。うちサバ州とサラワク州のそれぞれ10地域、残りはマレー半島で行う。それぞれの地域によりニーズが違うため、各地域で戦略を変え、漁村では漁具などの提供、農村地帯では畜産などの支援を行うという。
(エッジ、5月1日、4月30日)

有料テレビのアストロ、光ブロードバンドの単体提供を開始

【クアラルンプール】 有料テレビ放送のアストロ・マレーシア・ホールディングスは5日、従来は有料テレビの付属サービスだった光ファイバーブロードバンド接続サービス「アストロファイバー」の単体提供を開始すると発表した。
速度別に、▽50メガビット毎秒(Mbps)プラン(月額99リンギ)▽100Mbpsプラン(月額129リンギ)▽500Mbpsプラン(月額189リンギ)▽800Mbpsプラン(月額249リンギ)ーーの4種のプランを用意。100Mbps以上のプランには、24か月間利用料金無料のメッシュWifiルーター1台が付属する。
「アストロファイバー」は、通信大手のテレコム・マレーシア(TM)との提携により今年3月に開始したサービス。TMはアストロにブロードバンド回線を卸売している。
マレーシア・中国合弁証券のCGS・CIMBのアナリストであるカマルル・アンワル氏は、経済紙「エッジ」の取材に対し、アストロは「2025年までに全国民がインターネット接続できるようにする」という国家デジタル・ネットワーク計画(JENDELA)により、ブロードバンド市場でシェアを開拓できると言明。格安な価格設定からも工夫が伺えるが、ブロードバンド市場での成功が現実的かどうかは時間が経ってみないとわからないと述べた。アストロはコンテンツ分野で優位性があるように見えるが、正規コンテンツよりも安い海賊版を選ぶ層が存在しているため、有料テレビとブロードバンド接続のパッケージ販売は魅力的ではないとし、アストロファイバーの単独提供により、「有料放送には興味がないが、ブロードバンド接続サービスには興味がある」という層を惹きつけられる可能性があるとした。
(ザ・スター、5月6日、エッジ、5月5日)

ドリアン生産が60%減、国内価格上昇の懸念

【クアラルンプール】 マレーシアのドリアン生産者は、国内のドリアン生産量が今年60%減少しており、生産コストの増大も加わって国内価格が上昇することが懸念されるとしている。
「マレーシア・インサイト」(TMI)によると、通常5月に行われるドリアンの収穫が大雨の影響を受けており、ペナン、ジョホール、パハン各州で「ムサン・キング」と「ブラックソーン」の2品種が60ー80%減少している。
またロシアによるウクライナ侵略に影響を受けた肥料価格の上昇と、新型コロナウイルス「Covid-19」封じ込めのためのゼロ・コロナ政策により1カ月にわたるロックダウンを続けている上海港の閉鎖が影響をもたらしている。それに加えて、営業コスト上昇や労働力不足、輸送コストの増大、燃料や肥料価格の上昇も価格上昇に拍車をかけている。
 ドリアン農園、オーキーキング・エンタープライズのオーナー、ヘン・ミーオー氏は、通常ならば1シーズンに10トン収穫できるが今年は天候不順で2トンにとどまっていると指摘。肥料価格は1トン当たり通常の2倍の6,000リンギになっており、通常1キログラム当たり75ー80リンギ程度の「ブラックソーン」の価格が100リンギまで上昇しているとしている。

 トップ・フルーツのタン・スーシアン社長は、2016年に6,990万リンギだったドリアン輸出額は2020年には1億4,500万リンギと107%増となったが、今年については冷凍ドリアンの輸出額が50%減少すると予想しており、国内価格についても「ムサン・キング」で60リンギに上昇すると予想している。
ドゥライ・フルーツ・エンタープライズのエリック・チャン社長は、特にロジスティクスに関して多くの不確実性があるため、ゼロ・コロナ政策による中国・上海港の閉鎖で売り上げが30%減少すると予想している。
(マレー・メイル、5月6日)

報道自由度、マレーシアは世界113位も東南アジアでトップ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 5月3日の世界報道自由デーに合わせて「国境なき記者団(RSF)」が発表した2022年度版の「世界報道自由度インデックス」で、マレーシアは前年から6ランクアップしたものの、世界180カ国・地域中で113位にとどまった。
RSFは今回から評価方式を変更し、影響を与える元として▽政治▽経済▽法律▽社会▽安全――の5指標で判定した。マレーシアは「安全」で73位、「経済」で88位とまずまずの評価だったが、「政治」は122位、「社会」は128位と低く、とりわけ「法律」は155位と低評価だった。
報告書は、メディアがタブーに取り組んだり政治家や官僚を批判しないようマレーシア政府が多大な政治的圧力をかけていること、微妙な問題を孕むスルタン制に関する報道に対する検閲を強いていると指摘。マレーシアのジャーナリストが物理的な攻撃の標的になることはめったにないが、一部は司法嫌がらせや誹謗キャンペーンの対象になっているとした。
ただマレーシアの評価は東南アジアではトップで、他のASEAN(東南アジア諸国連合)加盟国は、タイ(115)、インドネシア(117)、シンガポール(139)、カンボジア(142)、ブルネイ(144)、フィリピン(147)、ラオス(161)、ベトナム(174)、ミャンマー(176)だった。
ランクトップはノルウェーで、デンマークやスウェーデンなど北欧諸国が上位を占めた。日本は71位、プーチン政権によるメディア弾圧が批判されているロシアは155位、中国は175位、最下位は北朝鮮だった。

新型コロナの感染者数は1278人、2日連続で千人超える

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」感染症に関する情報提供サイト「コビドナウ(COVIDNOW)」によると、5日の新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は1,278人だった。累計感染者数は445万4,113人となった。
新たに2,599人が回復し、累計治癒者は439万1,090人となった。死者数は2人で、累計は3万5,569人。アクティブ感染者は、前日から1,323人減って2万7,454人となった。うち96.2%が自宅、0.1%が低リスク者用隔離・治療センター(PKRC)、3.5%が医療機関、0.2%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。病床使用率は49.0%にアップした。
同日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は2,674万4,537人で、接種率は81.9%。ブースター接種完了者は1,603万8,512人で、接種率は49.1%だった。
新たに発生したクラスターはゼロで、現在感染者を出し続けているアクティブなクラスター数は76カ所に減った。