昨年12月の大雨洪水による経済損失は53億ー65億リンギ

【クアラルンプール】 再保険会社マレーシアン・リインシュアランスは、年次発行物「マレーシア保険ハイライト(MIH 2021)」で、昨年12月の水害による経済損失は53億ー65億リンギだったと明らかにした。
MIH2021によると、水害による経済的損失のうち約10%しか保険が適用されていない。クアラルンプールやセランゴール州では製造施設の被害が多く、保険会社が経済損失の20ー30%にあたる約15ー20億リンギ(3億6,000万ー4億8,000万米ドル)を負担した。
また、12月の水害が国内保険市場における洪水補償の価格設定に影響を与え、洪水リスクに対する理解も変化したことから、保険会社は再保険の仕組みを見直し、十分な補償を確保することが期待されているという。
ザイヌディン・イシャック社長兼最高経営責任者(CEO)は、水災補償は標準的な火災保険に付帯でき、金額は保険金額の0.086%程度であるため低コストだが、個人向け保険では高いと認識されており、洪水が起こりやすい地域や水害発生後にしか加入されないことが多いと言明。住宅所有者は、銀行が住宅ローンの一部として保険を手配するためほとんどが保険に加入しているが、洪水リスクの高い低所得者層は災害が発生した場合に政府を頼りにしている。今回の水害でも、政府は14億リンギを拠出し、被災者を支援した。そのため、中央銀行バンク・ネガラ(BNM)および国家災害管理局(NADMA)と協力して、保険に加入できる余裕がある人とそうでない人を結び付けるソリューションを開発しているという。
ザイヌディン社長は、保険会社、バンク・ネガラ、NADMA、政府が一体となって、洪水リスクをカバーするための解決策を見出すために議論を深める必要があると言明。以前は、低所得者層への補償に重点が置かれていたが、現在では、社会のあらゆる層を網羅することを目指しているとした。

MIH 2021は、国内保険会社、再保険会社、仲介業者、業界団体合計22社の代表者24名以上を対象として、2021年9月-12月に実施したインタビューに基づき作成された。

(ザ・サン、5月18日、ベルナマ通信、5月17日)

フェローテック東南アジア初の工場開設に5億リンギ、近く着工

【クアラルンプール】 フェローテック・ホールディングス(本社・東京都中央区)の米国事業であるフェローテック・アメリカは、マレーシアにおいて製造工場設立するために5億リンギを投資する計画だ。同社にとり東南アジア初の工場となる。
「貿易・投資ミッション」のため訪米中のアズミン・アリ上級相(兼通産相)は、フェローテック(アメリカ)の宮永英治最高経営責任者(CEO)との会合を行った。その後アズミン大臣が「ベルナマ通信」の取材に明らかにしたところによると、フェローテックは、ケダ州のクリム・ハイテクパーク内に面積80万平方フィートの工場を開設する計画があり、数週間内に工場建設に着工する予定だ。
また宮永CEOによると、東南アジアはサプライチェーンの中心になっていることから、マレーシアへの投資を決定した。フェローテックは今後、人材に投資する方針で、マレーシア人向けに250ー500人の雇用を創出することを計画しているという。
一方でアズミン大臣は、太陽光発電のネクストラッカーの創立者であるマルコ・ミラー最高執行責任者(COO)とも会談を行った。ミラーCOOは、マレーシア製品を米国市場だけではなく、他の市場にも進出できるように努めるとの意向を表明。マレーシア企業間との取引額は現在、1億米ドル(4億3,903万リンギ)程度だが、マレーシアでの事業を今後拡大し、マレーシアを主要な製造パートナーとしたいと述べたという。
(ザ・サン、5月18日、ベルナマ通信、5月17日)

東方政策40周年、「日本への留学生を増やせ」マハティール氏

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア国際戦略問題研究所(ISIS)は18日、東方政策(ルックイースト政策=LEP)40周年を記念して、東方政策の生みの親であるマハティール・モハマド元首相をゲストに招いてウェビナーを開催した。
ウェビナーにはマハティール氏のほか、在マレーシア日本大使館の髙橋克彦大使、ISISのへリザル・ハズリ最高責任者(CEO)、「マレーシアBIZナビ・ウィークリー」でコラムを連載しているマレーシア経済研究所(MIER)客員研究員/ジェトロ・アジア経済研究所(IDE-JETRO)海外調査員の熊谷聡氏が参加した。
マハティール氏は、日本を学ぶ対象に選んだことについて、第二次大戦後のどん底から復興を遂げた日本人の勤勉さや最善を尽くす姿勢など労働倫理について学ぶことが多かったからと強調。これまで1万人以上の留学生が日本で学んだと述べた。その上で、就学前から大学レベルまでの日本の教育システムに注目すべきだとし、より多くの学生と政府関係者を日本に派遣すべきだと述べた。
また両国の経済関係については、80年代半ばのプラザ合意により円高が進行し日本企業の海外進出が盛んになったことでマレーシアにも日本からの多くの投資がもたらされたと述べた。
髙橋大使は、今後のLEPでは両国間において潜在性のある分野での協力があるとし、マレーシアは日本の水マネジメント、防災などを学び、日本はマレーシアの多様性を学ぶべきだとした。

熊谷氏は、マレーシアは先進国入りの手前まで来ており、LEP開始時の40年前とは両国の関係性が変わってきていると指摘。これからのLEPは日本もマレーシアから多様性・多文化を学ぶことによって「Look Each Other Policy」(相互に学ぶ政策)になるべきだとし、日・マ両国が補完関係になることができると述べた。

全日空、7月1日から成田ーKL線を毎日運航に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 全日本空輸(ANA)は10日、北米・アジア方面の旅客需要拡大を踏まえ、5月、6月の一部運航路線を増便すると発表。成田ークアラルンプール(KL)線については6月13日から週1便増やして週5便にすると明らかにした。
現在、成田発「NH815」便は火、水、金、日曜だが、月曜日を増やして、月、火、水、金、日曜日の運航とする。またKL発の「NH816」便についても、現行の月、水、木、土曜日の週4便から火曜日を増やして月、火、水、木、土曜日の運航とする。
発着時間は「NH815」成田発が17時30分でKL着が23時55分、「NH816」KL発が7時15分で成田着が15時25分となっている。
ANAは新型コロナウイルス「Covid-19」感染症の影響に伴うる日本を含む各国の出入国規制等緩和に伴い主に北米・アジア路線中心に渡航需要が拡大していると説明。2022年5月15日から6月30日までの運航計画の見直しを行うとしている。

新型コロナの感染者数は1469人、病床使用率は63.3%

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」感染症に関する情報提供サイト「コビドナウ(COVIDNOW)」によると、17日の新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は1,469人で、累計感染者数は448万1,278人となった。
新たに1,836人が回復し、累計治癒者は441万5,146人となった。死者数は3人で、累計は3万5,623人。アクティブ感染者は、前日から370人減り3万509人だった。うち95.9%が自宅、0.1%が低リスク者用隔離・治療センター(PKRC)、3.9%が医療機関、0.2%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。病床使用率は63.3%に上昇した。
同日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は2,695万1,190人で、接種率は82.5%。ブースター接種完了者は1,606万9,133人で、接種率は49.2%だった。
新たに発生したクラスターはゼロで、現在感染者を出し続けているアクティブなクラスター数は49カ所に減少した。