マレーシアの見通しが改善、原油価格上昇などで=ムーディーズ

【クアラルンプール】 ムーディーズ・アナリティクスは、マレーシアの経済見通しについて石油価格の上昇と新型コロナウイルス「Covid-19」で閉鎖されていた経済の再開によって改善されたとし、6月時点における今年通年の国内総生産(GDP)成長予想を7%に引き上げたことを明らかにした。
ムーディーズ・アナリティクス・アジア太平洋(APAC)地区チーフエコノミストのスティーブ・コクラン氏は、新型コロナ流行が終焉に向かい社会的距離のルールが緩和される中、国内消費の伸びが予想よりも速く加速したため、東南アジアにおいてはフィリピンと共にマレーシアの今年第1四半期のGDPが予想を上回る伸びを見せたと指摘。マレーシアについては原油の純輸出国であるという面から原油価格の高騰の恩恵、更には好調なハイテク製品の輸出の恩恵を受けているとし、マレーシアの輸出基盤が広範囲にわたっている点はマレーシアにとって良い兆候だと分析した。
さらにコクラン氏は、マレーシアの国内消費の伸びが全体的に回復したと指摘。行動制限が解除されたことで経済活動が復活したことで、内需回復がさらに加速すると予想した。
(マレーシアン・リザーブ、6月30日)

TMGが飲食店チェーン2社を買収、フランチャイズ展開目指す

【クアラルンプール】 飲食店経営のTMGベンチャーズは、米国風ピザチェーン「ミッキーズ・オリジナル・ニューヨーク・ピザ」および米国風ハンバーガーチェーン「NYバーガー・コー」を買収したと発表した。両店とも首都圏にそれぞれ10店舗を展開している。
TMGは、財務省傘下企業でフランチャイズ支援を行っているペルバダン・ナショナル(ペルナス)社と国内の飲食フランチャイズ業界の活性化およびアジア太平洋地域への参入支援を目的として提携しており、今回の買収はそれを受けてのもの。
TMGのスバハン・カマル会長は、ペルナスとの提携は、国内でフランチャイズ化可能なレストランブランドをより大きな成功に導くためのものであり、グローバル基準のフランチャイズを作り上げ、国内外に展開することを目指すと述べた。
TMGのマニシェル・スブラ取締役は、買収した両レストランのフランチャイズ加盟希望者には、手頃な価格で始められるプランを用意していると言明。フランチャイズは参入が容易で、収益性が高く、ブランドが直面する成長課題にも対応できるとし、TMGのビジネスモデルは、政府の「マレーシアをASEAN(東南アジア諸国連合)のフランチャイズハブにする」という目標にも合致していると述べた。
TMGは、これまでに東南アジア料理の「マジャパヒット」、和食フュージョン料理の「テイル・アンド・フィン」、チキン料理の「ウィングス・オブ・ザ・ワールド」などのレストランブランドを買収している。
(ザ・サン、ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月1日、フリー・マレーシア・トゥデー、6月30日)

コタキナバル国際空港、移転に向け実現可能性調査開始へ

【クアラルンプール】 サバ州投資会社のカザナ・サバは6月30日、コタキナバル国際空港 (KKIA) 移転の実現可能性調査に向け、不動産開発のベルジャヤ・ランドとの間で覚書 (MoU) を締結した。移転先候補は、約60キロメートル離れた同州キマニス。
カザナ・サバのアハマド・リザル・ダーリ最高経営責任者(CEO)は、KKIAの移転は10年以上前から検討されてきたが、今回のMoU締結によって経済的な実現可能性、社会的な影響評価についてより詳細に検討することができるようになったと言明。ただ今はまだ検討段階であり、正式決定には全ての利害関係者の意見を考慮し同意を得ることが必要だと述べた。
アハマドCEOによると、KKIAは、市街地に近く土地面積が限られていることからターミナルビルや滑走路などの施設拡張が難しく、増大する需要に対応できないと見られている。空港に近いことから市街地にも規制や制限が設定されており、それがコタキナバルの市街地開発を遅らせる要因にもなっているという。
 キマニスへの移転によって複数のターミナルビルや滑走路が設置可能となるため、サバ州は東南アジアの地理的中心地という立地条件を活かして航空ハブになれる可能性がある。また、今回締結されたMoUには、空港移転に加え、キマニスでの新国際空港建設の可能性や、空港近隣での持続可能な開発計画の検討といった内容も含まれているという。

通信6社、5Gネットワーク運営のDNBに均等出資へ

【プトラジャヤ】 国内通信会社6社は、第5世代移動通信(5G)ネットワーク展開のために設立された特別目的事業体(SPV)デジタル・ナショナル(DNB)に均等出資することに合意した。アヌアル・ムサ通信マルチメディア相が明らかにした。
シンガポールの英字紙「ストレーツ・タイムズ」によると、拘束力のない条件概要書(タームシート)が通信会社6社との間で締結された。6社は▽セルコム・アシアタ▽Digiドットコム▽マキシス▽ユーモバイル▽テレコム・マレーシア▽YTLコミュニケーションズーーで、それぞれ株式の11.66%を約2億リンギで購入する。政府が株式の30%を5億リンギで購入するため、DNBには合計約17億リンギが投入されることになる。
アヌアル大臣によると、争点となっていた5G卸売価格の透明性や価格設定については解決済みで、公式発表は7月8日頃になる見込みだという。
5Gネットワークについては、政府系企業であるDNBが単独で所有・運営し、各通信会社に卸売する1社独占方式(SWN)に対して、通信会社から不満の声が上がっていた。通信大手4社が代替案として2社方式を政府へ提案したが、政府は今年3月、5G導入の迅速化のためSWNを採用すると最終決定。DNBの株式70%を通信会社に提供し、6月末までに株式売却交渉を完了させるとしていた。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、7月1日、6月30日)

新型コロナの新規感染者数は2867人、病床使用率は73.8%

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」感染症に関する情報提供サイト「コビドナウ(COVIDNOW)」によると、6月30日の新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は2,867人で、累計感染者数は456万6,055人となった。
新たに2,145人が回復し、累計治癒者は450万856人となった。死者数は2人で、累計は3万5,765人。アクティブ感染者は、前日から720人増の2万9,434人だった。うち95.5%が自宅、0.1%が低リスク者用隔離・治療センター(PKRC)、4.2%が医療機関、0.2%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。病床使用率は71.2%に下降した。
同日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は2,727万6,391人で、接種率は83.5%。ブースター接種完了者は1,614万3,753人で、接種率は49.4%だった。
新たに発生したクラスターは1カ所で、ペラ州の教育機関で確認。現在感染者を出し続けているアクティブなクラスター数は7カ所に増えた。