【クアラルンプール】 中国系証券会社2社が、マレーシアのオンライン証券市場に近く参入する予定だ。

ナスダック上場企業である香港・富途が展開するネット証券「ムームー証券」は18日、東南アジアではシンガポールに次ぎ2カ国目となるマレーシア市場への参入を発表。現地法人が証券委員会(SC)から資本市場サービスライセンス(CMSL)を取得したと述べた。口座開設費が無料で、米国株などの国際市場取引を行える。リアルタイム相場情報、業界分析、最新金融情報なども提供する。同社サービスの月間ユーザー数は2,000万人を突破、昨年3月には豪州市場にも参入している。

中国・福米科技の「ウィブル証券」もマレーシア市場への参入を計画している。アナリストによる調査・評価情報、金融ニュース、取引データなどを無料提供する。シンガポール、豪州に続き、最近日本でもサービスを開始している。ディーリングのみのライセンスであるため、決済は地元業者と協力する必要がある。

SCは、英字紙「ザ・スター」の取材に対し、国内証券市場への海外プレーヤーの新規参入は、「デジタル化やテクノロジー導入を通じて資本市場を成長させる」という取り組みの一環であり、資本市場が投資家にとり魅力的かつアクセスしやすい状態を維持することを目指していると言明。SCは、革新的なデジタルビジネスモデルを歓迎するとし、新規外資系プレイヤーの参入は健全な競争をもたらし、幅広い選択肢や機会を提供することで国内投資家コミュニティが大幅に拡大すると述べた。その上で全プレーヤーに公平な競争環境を提供できるよう、関係者と緊密に協力していくとしている。

業界関係者は、中国国内での規制が厳しさを増しているため、中国のネット証券が投資意欲の高い東南アジアへ進出しているとし、新規参入は既存企業に脅威を与えるが、競争は顧客にとり間違いなく良いことだと述べた。
(ザ・スター、6月3日)