【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 「2012年国家安全(特別措置)法(Sosma)」における裁判なしに最長28日拘留できる規定の延長法案が23日、下院議会で野党による反対多数で否決された。
3分の2の賛成を要する憲法改正以外の一般法案が下院で否決されるのはこれが初めてとみられる。同法は言論弾圧などを目的に悪用される懸念があるとして、野党や人権団体などがかねてから撤廃を要求していた。規定延長法案の廃案に伴い、期限が来る7月31日で無効となる。
同規定は警察が治安維持違反の容疑者を拘束した際、捜査のために必要と判断すれば最大28日間、裁判なしに拘留できるというもので、5年ごとに上下両院の承認がなければ失効することになっていた。50人が欠席したことが影響して賛成は84票にとどまり、野党による反対が86票で上回った。
法案を提出したハムザ・ザイヌディン内務相は、政治的手段として使われるのではないかとの懸念の声があることを認めた上で、2013年のサバ州ラハドダトゥで起きた「スールー王国軍」侵攻事件や2016年のイスラム国(IS)メンバーによるナイトクラブ爆弾テロ事件を例に挙げ、「規定がなくなればテロリストに活動の余地を与えることになる」と懸念を示した。
2016年から今年1月までの間に合計3,717人が同法の適用を受けて拘留された。