【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラは30日、2021年版経済・金融レビュー(EMR2021)を発表。昨年3.1%成長だった国内総生産(GDP)について、今年については2月時点で5.5ー6.5%としていた先の予想をやや引き下げて5.3ー6.3%としている。
 中銀は、今年のマレーシア経済が主に▽外需の継続的な拡大▽新型コロナウイルス「Covid-19」封じ込め措置の全面解除▽国境の再開▽労働市場のさらなる改善ーーによって下支えされると分析。リスク要因として▽新型コロナの今後の状況▽国際的地域紛争の影響▽インフレ・コスト上昇ーーを挙げている。
セクター別では、経済成長を牽引してきたサービス業については、国境再開と移動制限解除にともなう消費および観光関連サブセクターの回復に牽引されるとの見方から6.9%との高い予想。製造業は世界的な電気・電子(E&E)製品の高い需要、石油化学や油脂化学などの一次産品関連製造や建材などの建設関連の回復に支えられて5.2%と堅調な成長を予想している。
昨年0.7%成長だった鉱業については、東マレーシア沖のブロックSK320油田の操業などによる増産で2.5%の成長を予想。マイナス0.2%だった農業については、主にパーム油生産増加に支えられて1.5%のプラス成長を回復すると予想している。同じくマイナス5.2%だった建設については、進行中の大規模インフラプロジェクトと2022年度予算の下での小規模プロジェクトの実施に支えられて6.1%プラス成長への復帰を予想している。
需要サイドでは、昨年1.9%成長だった民間消費については9.0%、同じく2.6%成長だった民間投資については5.3%成長を予想。輸出については10.9%、輸出は8.1%のそれぞれプラス成長を予想している。
また、昨年2.5%までアップした総合インフレ率(消費者物価指数=CPI)については2.2ー3.2%、0.7%上昇したコアCPIについては2.0ー3.0%とそれぞれ予想。昨年4.6%まで上昇していた失業率については、4%まで低下すると予想している。