【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア内務省が5月13、14日の両日、レインボーカラーのプライドコレクションを巡ってスイスの時計メーカー、スウォッチの全店舗を強制捜査したことが明らかになった。マレーシア政府が認知していないLGBT権利運動を支援していると判断されたためとみられるが、強制捜査はやり過ぎだとの声が上がっている。

▽パビリオン・クアラルンプール▽ワン・ウタマ▽サンウェイ・ピラミッド▽セティア・シティ・モール▽ミッドバレー・メガモール▽ミッドバレー・サウスキー▽サンウェイ・プトラ・モール▽そごうKL▽クイーンズベイ▽ファーレンハイト88▽スリア・サバーーの各店舗でレインボーカラーのコレクションが押収され、▽KTCC(トレンガヌ)▽イオンKB▽アマン・セントラル・ケダ▽シティ・スクエア▽ビバシティ・クチンーーの5店舗が警告を受けた。

LGBT権利運動を巡っては、これを支援する英国のバンド、コールドプレイが11月に予定しているコンサートについてイスラム保守派が中止するよう要求しており、スウォッチ店舗の捜索との関連が疑われている。

スウォッチ・グループのニック・ハイエック・ジュニア最高経営責任者(CEO)は失望と懸念を表明する一方でイノベーションと多様性を擁護する同ブランドの精神を強調した。スウォッチグループは押収された時計の返還を求めている。

民主行動党(DAP)サラワク州支部のアラン・リン書記長は、警察には販売店がどの法律に違反したのか説明する義務があるとした上で、国民や観光客の間に不必要な恐怖を引き起こしていると指摘。虹のモチーフは子供の絵画にも見られるもので、虹がダメであれば学校までが強制捜査に遭う恐れがあると批判した。

マレーシア統一民主同盟(MUDA)のアミラ・アイシャ副党首は、何が「有害」と解釈されるか定義が曖昧だと懸念を表明。虹が描かれたものを販売している店舗をすべて捜索するのかと疑問を呈し、サイフディン・ナスティオン内務相に政府の見解を説明するよう求めた。