ハラル食品宅配サービス「オデジー」、11月末に運用開始

【クアラルンプール】 マレーシア初となるハラル(イスラムの戒律に則った)飲料(F&B)の食事宅配サービス「オデジー(Odejee)」が、11月末までにジョホール州ジョホールバルおよびその周辺地域(パシルグダン、セナイ、クライなど)で運用を開始する。
オデジーのイスマイル・アルワシ・カン会長によると、ジョホールバルとその周辺地域を担当する宅配ドライバー数は約500人。12月までに州全体にサービスを拡大し、2021年第1四半期までにクランバレーおよびネグリ・センビラン州やマラッカ州など各州で展開する予定だ。段階的にサービスを開発し、オデジー・マカナン(食品)、オデジー・ペンハンター(配達)、オデジー・マートやオデジー・サービスといった様々な宅配サービスを提供する。利益の10%は、ジョホール州民ワカフファンドに寄付される。
オデジーについてイスマイル会長は、これまでに約600社のベンダーが同サービスへの登録に関心を示していると言明。他社の食事宅配サービスと競合するわけではなく、イスラム教徒が求めるハラルF&Bへの需要を満たすことを目的としていると強調した上で、イスラム教徒だけでなくすべての消費者を対象にしているとした。新型コロナウイルス「Covid-19」の影響により、食事宅配サービスの需要はジョホール州内で増加しているという。
オデジーのオフィス立ち上げ式に臨席したジョホール州イスラム宗教委員会(MAIJ)のアドバイザーを務めるノー・ガドゥット氏は、顧客に提供される食品がハラルであることを保証するという非常に良いサービスであり、すべての当事者、特にイスラム教徒はオデジーを支援すべきだと述べた。
(ベルナマ通信、10月27日)

ロックダウン、都市部で10万—20万人が貧困に陥る恐れ

【クアラルンプール】 首都圏やサバ州その他で新型コロナウイルス「Covid-19」感染の再拡大が起きていることから条件付き行動制限令(CMCO)や強化行動制限令(EMCO)が発令されており、正規の会社登録を行なっていないインフォーマルセクター(非公式経済)に携わる労働者が最も打撃を受けるとみられている。
マラヤ大学経済学部のニアズ・アサドゥラー教授は、ロックダウンやMCOにより都市部で10万人から20万人が貧困に陥る恐れがあるとし、その半分がインフォーマルセクターが占めていると指摘。社会保険機構(Socso)などの支援対象になっていないだけでなく、預貯金や資産もほとんど持たない状態だとし、最新のデータは不明だが大多数が世帯収入が貧困ラインの2,208リンギを下回っているとの見方を示した。ニアズ教授によると、首都圏では5人に1人がインフォーマルセクターに携わっており、重要な労働力となっているという。
ビナリー大学のスロチャナ・ナイル副学長(経済学)は、インフォーマルセクターが政府の公式統計の盲点となっており、経済対策の恩恵が受けられないでいると指摘。今年第1四半期に実施された労働力調査ではマレーシアの総労働力の17.4%に当たる約266万人が自営業者であることが判明したとし、社会保障の対象になっていないことは問題だとした。
(フリー・マレーシア・トゥデー、10月28日)

今年のGDP成長率、MIERがマイナス5.5%に下方修正

【クアラルンプール】 独立系シンクタンクのマレーシア経済研究所(MIER)は26日、今年通年の実質国内総生産(GDP)の成長予想をマイナス5.5%に下方修正した。
MIERは、下方修正をした理由について、第2四半期の経済成長率がマイナス17.1%と大幅に落ち込んだこと、新型コロナウイルス「Covid-19」の感染者が再び増えていること、条件付き行動制限令(CMCO)、政府が中小企業(SME)向けに第4四半期の影響緩和策を追加で導入しなかったことを挙げた。
2021年のGDP成長率について、MIERは5.2ー6.7%を予想。来年初頭に発表される「第12次マレーシア計画(12MP、対象期間:2021ー2025年)」などが奏功するとした。新型コロナの流行第1波から回復まで6カ月を要したとし、現在直面している第3波から回復するまでに同等の時間を要するとして、回復は来年第1四半期頃になると予想。非常事態宣言の発令が提案され国王により却下されたが、発動した場合には経済が停滞し、来年の経済回復はさらに遅れることになっていたと指摘した。
(ザ・サン、10月27日、ベルナマ通信、10月16日)

「ワン・ウタマ」モール、17日に営業再開

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」の大規模クラスターが発生していたセランゴール州ペタリンジャヤの「ワン・ウタマ」ショッピングモールは、施設内の消毒作業が終わったとして17日から営業を再開すると発表した。保健省から承認が出たという。

スポークスマンによると、27日までの条件付き行動制限令(CMCO)の期間中も、営業時間は午前10時—午後10時で維持する。一部のテナントは午前11時から午後8時までの間でフレキシブルに営業を行なう。

「ワン・ウタマ」クラスターでは15日までに132人の感染者が確認され、一部のテナント店員を除きほとんどを警備員や清掃員が占めた。このため11日より全面的に閉鎖となり、従業員やテナントの店員ら6,000人を対象にスクリーニングを実施した。

■ケダ州バリンの村で新たにCMCO発令■

イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相(兼国防相)は、25人の感染者が確認されたケダ州バリンのカンポン・パダン・チェ・マスが新たに条件付き行動制限令(CMCO)に指定されたと発表した。発令は18日付けで期間は31日までの14日間。

完全回復は来年11月の見込み=MATTA副会長

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 マレーシア旅行代理店協会(MATTA)のシンティア・タン・アウトバンド担当副会長は、「マレーシアBIZナビ」の取材に対し、新型コロナウイルス「Covid-19」の落ち込みから回復するのは来年4月以降、完全回復は来年11月を見込んでいると述べた。
タン副会長は、MATTAに訪日旅行を売り込みたい日本側から日本の観光業界における感染防止の取り組みなどをマレーシア側に紹介するウェビナーを開催したい旨のオファーが寄せられていることに触れ、「こうしたポスト・コロナの取り組みを積極的に発信していこうというのは日本が初めて」と歓迎する意向を表明した。
その上でタン副会長は、訪日観光ウェビナーをマレーシアで行うのであれば復興に向けた行動制限令(RMCO)が明けた来年1月か2月が望ましく、その際にはマレーシアの地元メディアを使ったPRするのが好ましいと言明。それを踏まえた上で4月頃にメディアを連れて観光視察旅行(FAMツアー)を実施するとさらに効果的ではないかとの考えを示した。
またタン副会長はマレーシア人訪日旅行の傾向について、今後は4泊程度の短期間になっていくとの見方を示し、中部地方で1カ所に絞った旅行が選ばれる傾向にあると指摘。美しい景色、ショッピング、グルメのほかマレーシアで決して出会えない特別な体験、ユニークな製品、美しい景色、新しい体験が人気を博すだろうと述べた。

家計債務の伸びが4%に縮小、新型コロナで消費に慎重姿勢

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は14日、2020年上半期の金融安定性報告書を公表した。家計債務の伸びが、前期の5.5%から4%に縮小した。新型コロナウイルス「Covid-19」の発生により消費に慎重になったため、住宅不動産と自動車の融資の伸びがそれぞれ8.5%から7.2%、マイナス0.4%からマイナス0.9%に縮小したことが影響した。
家計負債の伸びが鈍化した一方で対国内総生産(GDP)比率は、2015年の最高値(86.9%)を上回り、87.5%に上昇した。しかしこれらの債務は、値債務返済比率(DSR)の中央値が示す未払いローン(35%)および新たに承認されたローン(43%)の範囲内で借り入れされており、経済活動が改善し徐々にローンの返済が再開されることで、この比率は低下するとBNMは見ている。
政府とBNMが導入した救済措置により、水準の金融資産と流動性が高い金融資産(LFAs)はそれぞれ2.2倍と1.4倍の負債で維持した。
また主に持ち家キャンペーン(HOC)が再導入され、住宅購入に充てる借入が増加したことで、特に月収5,000リンギ未満の世帯(借り手)でレバレッジが上昇した。
BNMは、労働市場の改善が今後期待される中で、国民や企業は引き続き金銭的問題に直面する可能性が高いとした上で、政府による賃金補助や再スキルアップなどのプログラムが借り手を支援に役立つとした。

首都圏でのCMCO発令、経済下ぶれリスクに

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 首都圏クランバレー(セランゴール州、クアラルンプール=KL、プトラジャヤ)とサバ州で条件付き行動制限令(CMCO)が施行されたことを受け、エコノミストらは経済の下ぶれリスクになるとみている。
CGS-CIMBは、CMCOに指定された地域がマレーシアの国内総生産(GDP)の46.6%を占めている点(セランゴール州24.2%、KL&プトラジャヤ16.4%、サバ州6.0%)を指摘。2週間のCMCOが、個人消費の減少により企業収益の回復が遠のくとの懸念から市場心理を悪化させるとした。
CGS-CIMBによると、影響を受けそうな業種は、醸造業者(販売減)、建設(工事の中断)、消費関連(客足減少、外食減少、コンビニの営業時間短縮)、公営賭博・宝くじ(売上減少、旅行制限によるゲンティンハイランドへの客足減少)、不動産投信(REIT、ショッピングモールの客足減少、テナントの売上減少、ホテル予約キャンセル)、運輸(国内旅行の回復の鈍化)、銀行(OPRの更なる引き下げ可能性)。
一方MIDFリサーチは、影響を受ける業種についてはほぼ同意見だが、eコマース、宅配サービス、eウォレットやオンラインバンキングなどのオンライン・サービスの利用拡大によって促進されるオンライン購入の増加によって、個人消費が下支えされると指摘。第4四半期のGDPに与える影響は限定的だとして現状の通年GDP成長予想(マイナス4.8%)を維持するとした。

投資の手続き簡略化は日本からの投資増加に繋がる=岡大使

【クアラルンプール】 在マレーシア日本大使館の岡浩大使は、新規投資に関する手続きが簡素化された場合、日本からの投資が大幅に増加する可能性があるとの見解を示した。
岡大使は、日本政府はここ最近、マレーシアへの新規投資を促進するために取り組んでいると言明。マレーシアはこれまで日本企業にとり電気・電子(E&E)の投資先であったが、新たな産業へ多様化する傾向にあると述べた。潜在的な新規投資を実現させるために、マレーシアには改善の余地があると指摘。新規投資を促進するためにワンストップ・センターの開設や、手続きの合理化や簡素化を行うことができるとの見解を示した。具体的な例として、マレーシア投資開発庁(MIDA)が投資促進機関としてワンストップ・センターとなり、新規投資家を手続きなどの面において支援することができるとした。
また岡大使は、大使館の職員が投資環境の改善などについてMIDAや通産省(MITI)と定期的に話し合っていると言明。それらの取り組みや協力により、医療機器やハラル(イスラムの戒律に則った)食品、航空産業などの新しい産業への投資に繋がっていると述べた。
(ザ・サン、ザ・スター、10月13日)

小売業5万店舗以上が閉店の見込み、新型コロナの影響で

【クアラルンプール】 小売セクターのリサーチ会社、リテール・グループ・マレーシア(RGM)は、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大に伴う環境の変化に対応できない小売業者は5万1,000店舗以上となっており、今後4、5カ月内に閉店することになるとの予想を示した。
タン・ハイシン社長は、9月末で銀行の融資返済猶予期間が終了したことから、国内の小売業者の15%となる5万1,000社が閉店に追い込まれると予想。閉店する動きはすでに全国的に出ており、RGMが実施した調査によると、ショッピング・センターのテナントの5%が行動制限令(MCO)実施後に閉店したと明らかにした。閉店したのはインド系マレーシア人が経営する「ママック」レストランや、カフェ、フードコート、ファッション、ヘアサロン、ビューティーサロンなど幅広い業種の店舗が閉鎖していると指摘。新型コロナの流行前にすでに厳しい状況にあった小売業者は、永久的な店舗の閉鎖を決めることになるとの予想を示した。
RGMは、今年第4四半期小売業の成長率について、ー1.5%からー2.5%に下方修正した。また通年についてもー8.7%からー9.3%とした。年末まで給与の引き下げが行われることや今後もさらに解雇が行われること、フル稼働できないことを下方修正の理由として挙げた。
(マレーシアン・リザーブ、10月12日)

新配車サービスのGOJO、2カ月間で登録者数4.5万人に

【クアラルンプール】 8月8日からマレーシアでのサービスを開始した配車サービスのゴジョ(GOJO)は、立上げから2カ月間でユーザー登録数が4万5,000人、ドライバー登録者数は1万2,000人に達し、1日あたりの配車予約数が約1,000件に上ると明らかにした。
プラディープ・クマル取締役兼最高執行責任者(COO)によると、地元ドライバーを支援するためドライバーのスケジュール管理システム「マーケットプレイス(MarketPlace)」や12カ月分の利益分配イニシアチブ「ファンダーズ・ファンド」を導入し、新型コロナウイルス「Covid-19」感染症への予防策に関しては、顔認識技術によるドライバーのマスク着用有無の検出機能をアプリに追加した。
プラディープ氏はGOJOについて、新型コロナによる厳しい経済状況下において着実な成長を続けていると言明。新型コロナの発生によりすべての業界においてデジタル変革が促進されており、同社のオープンプラットフォームを通して地元業者のデジタル変革をサポートしていくと述べた。ドライバー登録者数については、向こう数カ月以内に既存登録数から約3倍に増加するとの見込みを示した。
GOJOは世界300都市において200社のモビリティプロバイダーとアフィリエイトシステムを構築し、400万人以上のユーザーにサービスを提供しているという。
(ベルナマ通信、10月10日)