中国・王毅外相が訪馬しアンワル首相と会談、両国関係強化へ

【ジョージタウン】 中国の王毅外相は11日、マレーシアを公式訪問し、アンワル・イブラヒム首相とペナンで会談を行った。
アンワル首相は、今年3月の中国訪問を振り返り、中国はマレーシアにとって信頼できる良き友人であるとし、両国首脳間の合意内容が実行に移されており、経済、貿易、投資、文化、観光面での二国間協力が大きく前進していると述べた。


 王外相は、両国はともに発展途上の新興市場であり、類似した発展コンセプトや共通の関心を幅広く有しているとし、一帯一路構想はマレーシアにおいて、東海岸鉄道線(ECRL)や両国にそれぞれ相手国向けに工業団地を開発する「ツー・カントリー・ツー・パーク(両国双園)」などの建設につながり、経済・社会的効果をもたらしていると言明。中国はマレーシアとの間で協力分野を拡大することで、相互に利益をもたらし、共通の発展を達成することを望んでいると述べた。

アンワル首相はまた、王外相と非公開会談も実施したとし、ドリアン輸出強化や研究・教育面での協力強化、中国とフィリピンなどとの間で領有権が争われている南シナ海問題に対処するための「ASEAN(東南アジア諸国連合)メカニズム」などについて協議したと述べた。

 王外相は10ー13日の日程でシンガポール、マレーシア、カンボジアの東南アジア3国を訪問した。
(ザ・スター、8月13日、ニュー・ストレーツ・タイムズ電子版、東方日報、ベルナマ通信、8月11日)

ペナンなど3州で州首相続投、他の2州も続投の見通し

【クアラルンプ―ル=マレーシアBIZナビ】 12日に行われた6州の同時州議会選挙は与野党両勢力がそれまで保有していた3州の政権をそれぞれ確保したことで、14日午後5時までに4州で新たな州首相人事が固まった。

アンワル首相率いる連立政権を構成する希望同盟(PH)と国民戦線(BN)の連合が勝利したペナン州は、チョウ・コンヨウ前州首相(民主行動党=DAP)の再任が決まり、13日に宣誓式が行われた。14日には野党連合・国民同盟(PN)が勝利したケダ州でモハマド・サヌシ前首相(汎マレーシア・イスラム党=PAS)、PH-BNが勝利したネグリ・センビラン州ではアミヌディン・ハルン前首相(人民正義党=PKR)ががそれぞれ再任され、宣誓式が行われた。

PH-BNが勝利したセランゴール州では、アミルディン・シャリ前首相(PKR)が続投することが決定的。PNが勝利したトレンガヌ州ではアハマド・サムスリ・モクタル前首相(PAS)の続投の公算が大きいが、14日午後5時までに発表はない。アハマド・ヤコブ前州首相が続投しない方針を示しているクランタン州については、新任首相が指名される見通し。テマンガン選挙区のファズリ・ハッサン氏(PAS)が最有力候補とみられている。

6州議会選挙、与野党が3勝3敗で現状維持に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 アンワル・イブラヒム政権の信任を問う意味で注目されていた6州の同時州議会選挙が12日に行われ、与野党政党連合がそれまで維持してきた3州の政権をそれぞれ確保に成功し、形の上では引き分けの結果となった。勢力図には変動はなかったものの与党連合はすべての州で議席を減らし、アンワル政権にとって有権者の厳しい審判が突き付けられた格好だ

アンワル首相率いる連立政権を構成する希望同盟(PH)と国民戦線(BN)の連合は、それまで保持していた▽セランゴール▽ペナン▽ネグリ・センビランーーの3州を、野党連合・国民同盟(PN)は▽クランタン▽トレンガヌ▽ケダーーの3州の政権をそれぞれ維持した。

最大の人口を誇るセランゴール州はPH-BN連合が勝利したものの改選前の45議席から34議席に議席を減らし、州憲法改正に必要な3分の2議席に届かなかった。
ペナン州はPH-BN連合がなんとか3分の2の安定多数を確保したものの、改選前から6議席減らした。ネグリ・センビラン州もPH-BN連合が安定多数で圧勝したが、6議席減らした。

一方、トレンガヌ州は全32議席をPNが独占する圧勝。下院議席も含めて同州からはPH-BN連合の勢力が一掃された。クランタン州もPNが改選前の37議席から43議席に増やし、PH-BN連合はわずか2議席となった。ケダ州もPNが改選前の20議席から33議席に躍進。3分の2の安定多数を確保した。

最大の勝者はPN構成党の汎マレーシア・イスラム党(PAS)で、127選挙区に候補者を擁立して117選挙区で勝利した。一方、かつてはマレーシア国政を牛耳っていた、統一マレー国民組織(UMNO)が率いるBNは、PH-BN連合として108選挙区に候補者を擁立したが、勝ったのはわずか19議席のみの惨敗。党勢衰退は明らかで、党内からはアハマド・ザヒド党首(副首相)に対する辞任圧力が強まっている。
第三勢力として期待されていた若手政治家のサイド・サディク党首(元青年・スポーツ相)率いるマレーシア統一民主同盟(MUDA)は、19選挙区で全敗。下院とジョホール州議会1議席ずつ有するのみとなった。

スウォッチのレインポーカラー腕時計所持を全面禁止=内務省

【クアラルンプール】 内務省は10日、スイスの時計メーカー、スウォッチのレインボーカラーのプライドコレクションの国内での所持をすべて禁止すると発表した。

同省によると、印刷出版(好ましくない出版物の禁止)法第7条の規定に基づき、禁止されたスウォッチ製品の時計本体、包装紙、箱などを所持した場合、最高3年の懲役、最高2万リンギの罰金、またはその両方を科される可能性がある。

内務省は声明で、政府は、社会におけるモラルや国民・国家の利益を害する可能性のある要素の拡散を阻止することに全力を尽くしているとし、LGBTQ+権利活動の促進や支援は、道徳的、公共的、国家的利益に有害であるため、禁止したと述べた。

内務省は5月13ー14日にスウォッチの11店舗を強制捜査し、レインボーカラー・コレクションを押収した。スウォッチがマレーシア政府が認知していないLGBT権利運動を支援していると判断されたためとみられ、スウォッチ・マレーシアは、クアラルンプール高等裁判所に時計172個の押収に対する異議申し立てを行っている。
(ザ・スター、ニュー・ストレーツ・タイムズ、8月11日、マレー・メイル、フリー・マレーシア・トゥデー、8月10日)

セランゴール州、与党連合勝利の場合は月曜を祝日に

【ペタリンジャヤ】 セランゴール州のアミルディン・シャリ首相は、12日に行われる6州の州議会同時選挙において、セランゴール州で与党連合・希望同盟(PH)および共闘している国民戦線(BN)が勝利した場合、14日を州の祝日にすると発表した。

アミルディン州首相はまた、選挙は今後5年間のセランゴール州の将来を決めるもので、有権者に対し、賢明な選択をするよう促した。

PHは2008年よりセランゴール州を掌握。今回の州議選でも与党連合が有利とみられており、アミルディン州首相も全56議席中、PH・BN合わせ合計40議席を獲得できるとしている。一方、政権奪取を狙う野党連合・国民同盟(PN)はマレー系有権者の支持を得て29議席を確保できるという見解を示した。

解散前の議席数は、PHが40議席、BNが5議席、PNが5議席だった。

(フリー・マレーシア・トゥデー、8月11日)

電子請求書システムを来年上半期に導入=内国歳入庁

【クアラルンプール】 内国歳入庁(IRB、LHDN)は1日、電子請求書システムを来年上半期に導入すると発表した。IRBは今年5月、「来年6月から年間売上高1億リンギ以上の企業に対して、電子請求書の導入を義務化する」と発表していた。
IRBのモハマド・ニゾム・サイリ最高責任者(CEO)は、電子請求書は、税制を合理化し、透明性の促進や正確なコンプライアンス・リスク評価を行うためのものだとし、経済統計には現れないシャドーエコノミーによる歳入漏れにも対処できるようになると述べた。

モハマド・ニゾムCEOはまた、IRBでは税務の確実性を高めるため、「税務コーポレートガバナンス・プログラム(TCG)」を導入したとし、TCGは、法人税のコンプライアンス強化に向け、税務行政と納税者の双方が、オープンかつ誠実な方法で協力する場として機能すると述べた。今年6月から約1年間実施中の「特別自主開示プログラム2.0(SVDP 2.0)」については、納税者が自発的に所得を報告できるもので、徴税額の増加よりも、新規納税者の所得申告促進に重点を置いており、納税者が国家に対する納税義務を果たし、何世代にもわたる持続可能な社会を支えることが期待されるとした

モハド・ニゾムCEOは、世界経済の先行きが不透明な中、経済の持続可能性は、国内経済が回復し、回復力を保ち、成長するための重要な柱の一つであり、歳入が持続可能でなかったら、国を危機から脱却させることは不可能に近く、特に現在の不安定な環境下では、政府が経済成長と国家発展を税収に依存している以上、税金の必要性はいくら強調しても足りないと述べた。
(ザ・サン電子版、ベルナマ通信、8月1日)

国内メディアへの広告費返還法案を起草へ=通信デジタル相

【プトラジャヤ】 ファーミ・ファジル通信デジタル相は、国内メディア組織の存続のために、巨大IT企業に対し国外に持ち出されている広告費の返還を求める法案を起草する考えを明らかにした。

ファーミ大臣は、国内メディア関係者がこれ以上失職したり、自主退職スキーム(VSS)を実施したりするのを見たくないとし、米グーグルやメタ、中国ティックトックなどの巨大企業が広告費を独占し、国外に持ち出していることが原因だと言明。労働者解雇は政府にとって軽視できない問題であるため、国内メディア組織への広告費の返還に関する具体的な法案の起草に取り組むつもりだと述べた。また、通信デジタル省が主導し、国営「ベルナマ通信」を通じて実施している、元メディア関係者支援のためのカシ@ハワナ基金の利用拡大も推進し、マレーシア・メディア評議会設立のための法案を来年3月までに完成させ、国会に上程する予定だとしている。

政府系通信会社のテレコム・マレーシア(TM)や有料テレビ放送のアストロ・マレーシア・ホールディングスが先ごろVSSの実施を発表していた。
(ザ・スター、ザ・バイブス、ベルナマ通信、7月31日)

セランゴール州の政治的安定性が重要、議選控え産業界が指摘

【クアラルンプール】 6州の州議会同時選挙が8月12日に行われるが、産業界は特に多くの産業が集積している経済圏であるセランゴール州議選の行方に注目しており、社会的・政治的安定性が重要と指摘している。

セランゴール州はこれまで与党連合・希望同盟(PH)が政権を掌握していたが、汎マレーシア・イスラム党(PAS)が構成党となっている野党連合・国民同盟(PN)が政権奪取を狙っている。

マレーシア製造業者連盟(FMM)のソー・ティエンライ会長は、特にセランゴール州の社会政治的安定は州と国にとって重要だと指摘。安定は同州をさらに前進させるための政府の政策や計画の継続的な実施を可能にするとした上で、「これによりセランゴール州は確実に繁栄を続け、既存の投資家を支援するとともに、主要産業に新たな投資家を呼び込んでより高い利益を獲得し、経済を成長させることができるだろう」と述べた。

マレーシア経営者連盟(MEF)のサイド・フセイン会長も、雇用主が事業拡大や成長を計画するには長期的な安定が必要だと指摘。雇用・労働政策は政府の経済成長にとって重要であるが、安定した政府であれば、試行錯誤を重ね確立された政策が継続されると述べた。

その上で「マレーシアの全登録企業の98%以上が零細・中小企業(MSME)だが、その多くは新型コロナウイルスのパンデミックの影響からまだ立ち直っていない。ビジネス政策に大きな変更を加えることは、ビジネスコストに直接的な影響を与えるため不適切。安定した環境を持つことが事業と成長を計画する上で最善だ」と強調。セランゴール州は巨大な経済エリアであり、最終的には国の経済にも影響を与えるため、政策変更によって企業が混乱に直面しないことを望んでいると述べた。

両氏によると、セランゴール州の人口は700万人を超え、昨年の経済成長率は11.9%と国内総生産(GDP、8.7%)を上回った。同州の製造業は9%成長し、国内製造業の約3分の1を占めた。サービス業も昨年は13.6%と他の州より高い成長を記録した。
(ザ・サン、8月1日)

6州議会の選挙戦がスタート、245選挙区に570人が立候補

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 先ごろ解散した6州の州議会同時選挙の公示が7月29日に行われ、合計245の選挙区で合計570人の立候補届けが選挙委員会(EC)に受理された。8月8日に期日前投票、8月12日に投開票が行われる。
選挙が行われるのは▽セランゴール(定数56)▽ネグリ・センビラン(同36)▽ペナン(同40)▽クランタン(同45)▽トレンガヌ(同32)▽ケダ(同36)ーーの6州で、立候補者はそれぞれ147人、83人、95人、96人、66人、83人。245の議席を争う。

立候補者数を党派別でみると、野党連合・国民同盟(PN)が168人で最も多く、次いで与党連合・希望同盟(PH)が137人、PHと共闘している国民戦線(BN)が108人、汎マレーシア・イスラム党(PAS)が77人と続いた。

無風選挙となった選挙区はゼロで、180の選挙区で一騎打ち、51選挙区で3つ巴、13選挙区で4つ巴、1選挙区で5つ巴の争いとなった。

解散前は▽セランゴール▽ネグリ・センビラン▽ペナンーーの3州は大連立政権を構成するPHとBNが、▽クランタン▽トレンガヌ▽ケダーーの3州は野党のPNとPASがそれぞれ保有しており、与野党の各陣営が州政権を維持できるかが注目される。アンワル・イブラヒム首相にとっては信任投票の意味合いもある。

このほか同一日程で、選挙違反によって当選無効となった下院クアラトレンガヌ選挙区の補欠選挙が行われる予定で、失職したPASのアハマド・アムザド氏(前副科学技術革新相)とPHのアザン・イスマイル氏(人民正義党=PKR)が立候補した。

AI規制法案を検討中=科学技術革新相

【ペタリンジャヤ】 チャン・リーカン科学技術革新相は、マレーシアにおける人工知能(AI)アプリケーションを規制する可能性を検討していると明らかにした

チャン大臣は、英字紙「ザ・スター」の取材に対し、技術専門家、法律専門家、利害関係者、一般市民と協議し、強固かつ適切な法案を作成することを検討しており、AI規制強化に向けた世界的な傾向を考慮した上で検討を続けていると述べた。生成AIによって制作されたあらゆる素材に「AI生成」や「AI支援」と表示することが不可欠であり、AI制作コンテンツが明確に識別されることを義務づける政策を実施すべきだとし、具体的には、AIの透明性に関するグローバルスタンダードを採用し、AI制作コンテンツに対するラベル付与や、AIシステムの仕組みの説明に関するガイドラインの制定などに取り組むべきだと言明。AI法の制定により、データ・プライバシーやAI利用に対する認識向上といった面をカバーしていくと述べた。

また、AIが経済や社会に貢献し続けるためには、リスク管理とイノベーションの間のバランスをとることが重要で、AIや機械学習技術の研究開発を継続的に進め、倫理ガイドラインを推進し、誤報や有害コンテンツの検出や対策に役立つイノベーションを支援することが科学技術革新省にとり重要だとした。

一方で、誹謗中傷や誤報によって選挙でAIが悪用される可能性についてチャン大臣は、強力な法的枠組みや倫理ガイドラインが不可欠だと指摘。それには情報源の透明性を義務づける法律や、AIツールを使って虚偽の情報を広めた者に対する厳しい罰則などが含まれるとし、関係省庁やソーシャルメディア企業などと協力し、そのようなコンテンツを特定し、削除する取り組みを強化するよう働きかける必要があると述べた。
(ザ・スター、7月23日)